中山美穂『新しい靴を買わなくちゃ』ささいな一通のメールから誕生した魔法のようなラブストーリー

『新しい靴を買わなくちゃ』

10月6日(土)、有楽町の丸の内TOEIで行われた『新しい靴を買わなくちゃ』の初日舞台挨拶に、中山美穂(42)、向井理(30)、桐谷美玲(22)、綾野剛(30)、プロデュースの岩井俊二(49)、監督・脚本の北川悦吏子(50)が登壇した。

北川監督は、この映画ができた経緯から語った。『新しい靴を買わなくちゃ』は、6年前、たった一通のメールから始まったという。北川監督が中山美穂とメールで「パリで靴を買う話ができないか」とやりとりしているうちに、映画化する話がだんだんと現実のものに近づいていった。まだ映画化が現実的になる前から北川監督は岩井俊二に協力をお願いしていたが、岩井は軽くOKを出していた。岩井は「あのときは軽い気持ちで安請け合いしてしまったけど、あれから6年もかかるとは思わなかった。完成までにいろんなことがありました」と振り返っていた。ほんの些細な一言から、それがいつしか本気になって、こうして映画になる。ひとつの奇跡から生まれたような作品である。

本作は舞台がパリというところが最大のポイントである。メインキャストは日本人だけれど、舞台はパリである。パリの街をバックに描く、ロマンチックなラブストーリー。岩井俊二は撮影監督も兼任。『Love Letter』以上に熱意がこもっている様子。レンズを通して見るその街は鑑賞者を魅了してやまない。ここではあらゆるものが魔法にかかったように輝いてみえる。向井は「やっぱりロケーションがもってる力は大きいですし、毎日晴れてたことが、太陽の光だったり風景だったり、古い街並みですから、そこに当たる光が作る建物の表情というのは、何もしないでもすごい感じるものがあったので、その説得力というのはその場所じゃないと醸し出せなせないものを感じました」と話していた。桐谷も出演していながら「大人になったらこんな恋愛したいなと思わせる」とパリの街に魅了された様子だ。中山は、この撮影のために日本とパリを4往復したというが、「遠くなかったです。どこでもドアを開けたみたいな感じでした。エヘっ」とまるで魔法にかかったようなコメントだった。

北川監督は、「たまにケンカみたいなことをしながら、こうしようああしようといって、心を込めて作りました。それが皆さんのどこかに響くことを信じています」と感無量の様子。6年も月日が流れたことについては、自分の体調が悪かったことを打ち明け、岩井俊二と中山美穂がずっと励ましてくれたお陰でここまで来られたのだと感謝を述べた。「人の気持ちでずっと守られていく。そして皆さんに見てもらえると生きているといいことがあるなと。これがゴールだったような気がしてるんですけど、美穂ちゃんが新しい扉を開けたんだよと言ってくれて。興奮でした」と、初日のこの舞台で思わず声を詰まらせていた。

向井は、フォトセッションのときに客席を振り向くとファンが黄色い歓声をあげるほどの人気スターになっていた。黄色い歓声を浴びて、向井もすごく嬉しそうに照れ笑いしていたが、そんな向井の表情を見て中山も思わず顔がほころんでいた。向井は「また共演したいですね」というと中山は「だったら私が撮りたいです。今度はアクションコメディがいいな。異国でやりたいですね」と返答。「僕はアクションやったことないし、やります? アクションコメディだったらブラッド・ピットとアンジーがやってたようなのはどう?」と向井はノリノリだった。

日本とパリで映画の撮影現場はどれほど違うのか。映画ファンなら興味があるところだが、MCに質問されても綾野は「とくに・・・」と言って客席は大笑い。ただ、ひとつ思い出したのは食事。「食事は仮設のテントで、まず前菜があるんです。エビとアボガドのマリネ。日本ではロケ弁が普通なんで前菜があることに大爆笑していて、その次にメインディッシュ。パンとか配る人もいたんです。お肉か魚か。”俺、何しに来てるんだろう”という状態でした。そういう時間がパリのスタッフには大事で、そういうことを共有していくということが文化交流じゃないんですけど、とても豊かでしたね」と話していた。

最後に、中山美穂は、この作品をとても小粋なコメントで紹介して舞台挨拶を締めくくった。「撮影してから、そのときからずっとこの作品の魔法にかかったような感じでした。今日初日を迎えて魔法が解けちゃうんだなと感じたんですけど、どうか皆さんご覧いただいて素敵な魔法にかかってください」

『新しい靴を買わなくちゃ』は現在公開中。(澤田)

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2012/10/09 5:02

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