マイケル・ジャクソンの軌道をたどる『THRILLER Live』レポート

Thriller live

『THRILLER Live/スリラーライブ』の東京公演が9月29日(土)から始まった。アメリカのポピュラー歌手マイケル・ジャクソンの軌道をたどるライブとして、2006年にイギリス・ロンドンにてプレビュー。2007年にイギリス・ツアーを成功させ、2009年からロンドンのウエストエンドよりロングランを開始。マイケルの突然の悲報の後も、現在も上演を続けている。このライブが日本にやってきた。今週はこのライブの魅力について書きたいと思う。


筆者も中学の頃に『ムーンウォーカー』をテレビで見て以来、ずっとマイケル・ジャクソンのファンなので、これは前々からちょっと気になっていたライブである。結果から言うと、とても楽しめた。どういうライブか一言で説明するなら、改めて「マイケルすげえよ」と再確認できるライブといえる。もちろんマイケル本人がやってるわけじゃないから、本物と同等のレベルは始めから期待はしてなかったけど、マイケルを本当に好きな人たちがマイケルを生で演奏して生で歌って踊ってくれている、その気持ちだけで十分ではないだろうか。我々観客はマイケルの曲を一緒に楽しむという心構えで見に行けば良い。ライブでは、マイケルの代表曲の数々をいっぱい歌って踊って演奏してくれる。もうそれだけでファンとしては嬉しい限りのステージである。


このライブは、そっくりさんの物まねと思ってもらっては困る。これは「トリビュート」であるから、あえて似せようとはしていない。マイケルの偉大さを讃えるバラエティ・ショウとしての趣に重点が置かれており、6人のマイケルが登場して曲ごとに交替で次々と衣装を変えて色彩豊かに歌ってくれるのである。6人のうちの1人は子供で、1人は女性である。それぞれのパフォーマーに得意なジャンルがあって、ソウル担当、ポップ担当、ロック担当、ダンス担当と、役割を分けていて飽きさせない。一人でも気に入ったパフォーマーがいればライブも楽しくなるだろう。筆者が特に気に入ったのはサマンサ・ジョンソン(23)という女性シンガー。マイケルの曲を女性が歌う意外性も良かったが、グラマーでチャーミングで、彼女のオーラは飛び抜けていた。


第1幕がジャクソン5時代の曲を集めたソウル・パートなら、第2幕は「キング・オブ・ポップ」と讃えられ音楽史に数々の伝説を残したマイケルの代表曲の数々を歌うポップ&ロック・パートになっている。筆者含め、マイケルといえば「ミュージック・ビデオ」という人も多いと思うが、第2幕ではマイケルの「ミュージック・ビデオ」の世界をシアトリカルに再現していて、知っている人ならかなり興奮ものである。ミュージック・ビデオの永遠の最高傑作『THRILLER』も見事にステージでやってみせている。そして注目は『SMOOTH CRIMINAL』。映画『ムーンウォーカー』の世界をそのままステージに持ってきている。あの白いスーツにハット姿で登場したときには「待ってました!」と筆者も心の中で叫んでしまった。体を45度に傾ける「ゼログラヴィティ」もちゃんとステージ上で披露してくれるが、筆者はこれを生で見たことがなかったので感激した(これだけは普通のステージではどうしても真似できないものだからね)。


選曲と曲順もかなり良かったと思う。マイケルのトーレドマークともいえるムーンウォークを不滅のものにした『BILLY JEAN』など「キング・オブ・ポップ」の代表曲は当然のこと、『DON'T STOP 'TIL YOU GET ENOUGH』、『CAN YOU FEEL IT』といったコテコテのソウル曲、『DIRTY DIANA』、『THEY DON'T CARE ABOUT US』といったヘヴィなロック曲など、様々なジャンル、様々な時代の曲をおりまぜて楽しませてくれる。メッセージ性の強い『MAN IN THE MIRROR』から『HEAL THE WORLD』までの一連の流れで見せるコーラスなど、よくできたものである。


筆者は、アンコールのあと『BAD』を歌ったところでダンサーが全員登場して、いよいよライブも大詰めになったところで「そろそろ『BLACK OR WHITE』が聞きたいな」と思ったところで、絶妙のタイミングで『BLACK OR WHITE』のギターリフが流れたので、かなりゴキゲンノリノリ、今夜はビート・イット!な気分になった。最後にはオーディエンスも全員総立ちになって踊りまくっていた。


マイケル・ジャクソン(1958-2009)。享年52。マイケルが亡くなってからこのライブの意味もだいぶ違ってきている。マイケルを偲ぶという意味でも、このトリビュート・ライブには注目が集まっているのだ。曲と曲の間に「マイケルはこういうことをしてきたんだ」という功績を語り合い、我がことのように互いに喜びを分かち合うところなど、マイケルへの愛に満ちあふれている。もうマイケルはこの世にはいない。もうマイケルのライブを見ることはできない。しかし、こうしてマイケルが残したものは、永遠に語り継がれて行く。その意味では、これはマイケルに捧げる最高のトリビュート・ライブではないかと思った。(澤田英繁)


『THRILLER Live(スリラーライブ)』は、2012年9月29日(土)から12月9日(日)まで、六本木ブルーシアターにて上演中。

BAD25周年記念デラックス・エディション(完全生産限定盤)(DVD付)

曲名 活動時期区分け 発表年 フォト
第1幕
1 ABC THE JACKSON 5 1970 1
2 I WANT YOU BACK THE JACKSON 5 1969
3 I'LL BE THERE THE JACKSON 5 1970 1
4 SHOW YOU THE WAY TO GO THE JACKSONS 1976 1
5 THIS PLACE HOTEL THE JACKSONS 1980
6 SHAKE YOUR BODY THE JACKSONS 1978 1
7 BLAME IT ON THE BOOGIE THE JACKSONS 1978 1
8 SHE'S OUT OF MY LIFE OFF THE WALL 1979
9 OFF THE WALL OFF THE WALL 1979 1
10 GET ON THE FLOOR OFF THE WALL 1979 1
11 ROCK WITH YOU OFF THE WALL 1979 1
12 NEVER CAN SAY GOODBYE OFF THE WALL 1979
13 DON'T STOP 'TIL YOU GET ENOUGH OFF THE WALL 1979 1
14 CAN YOU FEEL IT THE JACKSONS 1980 1
第2幕
15 WANNA BE STARTIN' SOMETHIN' THRILLER 1982
16 DANCING MACHINE THE JACKSON 5 1974
17 P.Y.T. (PRETTY YOUNG THING) THRILLER 1982 1
18 BEAT IT THRILLER 1982 1 2 3
19 THE WAY YOU MAKE ME FEEL BAD 1987 1 2
20 I JUST CAN'T STOP LOVING YOU BAD 1987 1
21 SMOOTH CRIMINAL BAD 1987 1 2 3 4 5
22 DIRTY DIANA BAD 1987 1 2
23 DANGEROUS DANGEROUS 1991 1
24 MAN IN THE MIRROR BAD 1987 1
25 THEY DON'T CARE ABOUT US HISTORY 1995 1
26 HEAL THE WORLD DENGEROUS 1991 1
27 BILLIE JEAN THRILLER 1982 1 2 3
28 THRILLER THRILLER 1982 1 2
アンコール
29 BAD BAD 1987 1
30 BLACK OR WHITE DANGEROUS 1991 1
フィナーレ

[PR] 戦国時代カードゲーム「秀吉軍団」好評発売中

2012/10/01 0:47

サイトのコンテンツをすべて楽しむためにはJavaScriptを有効にする必要があります。