有森裕子 「20年間、松野明美を避けて来た」と吐露
6月16日(土)、有楽町にて、『[劇場版]ライバル伝説 光と影』の公開初日舞台挨拶が行われ、出演者の有森裕子と、菊野浩樹プロデューサーが登場した。
『[劇場版]ライバル伝説 光と影』は、TBSテレビで放送され、好評を博した「ライバル伝説…光と影」と「スポーツ人間交差点…光と影」を40分以上の未公開シーンを加えて劇場用に再編集したもの。巨人でエースを争った江川卓と西本聖、マラソンの代表争いをした有森裕子と松野明美を取材したスポーツドキュメントである。
今から20年前、有森裕子がバルセロナ五輪に出場し銀メダルを獲得したことは、オリンピック史に残る名シーンとして日本人の心に記憶されている。このバルセロナへの出場をかけて有森裕子と松野明美が争ったことは、日本中の注目を集めた一大事件であった。2人の実力は比べようがなく、日本陸上競技連盟は「五輪でメダルを取る可能性が高い方を選ぶ」と発表。どちらが選ばれても、落とされた方が納得するわけがなかった。松野明美は選考前に「私を選んで下さい。私なら必ずメダルを獲りますから」という異例の記者会見さえ行っているほどで、本番以上に壮絶なバトルが繰り広げられていた。しかし、代表は有森裕子に決定した。この結果には抗議の電話も殺到したという。以来、2人は一度も言葉を交わすことはなかった。それから20年の時を経て、この企画を通じて、2人はついに再会することになったのである。
この日、観客と一緒に初めて映画を鑑賞した有森は「懐かしかった」とコメント。自分が最初にインタビューされる場面を見て「どうしてああいうふてくされた態度してたのかなって。自分で見ていて嫌になってきました。自分がインタビュアーだったら殴ってますね。態度も姿勢も本当に悪くて申し訳ないです」と照れ笑いしていた。20年ぶりに再会するシーンについては「以前も何回か対面の機会はあったのですが、心情簡単には会えないなと思いまして、私の方が避けていました」と吐露した。
有森へのサプライズとして、松野から届けられた電報が司会者から代読された。「有森裕子様。初日おめでとうございます。この企画で有森さんと話すことができて本当に良かったです。あのバルセロナ五輪の選考争いから20年近くたって心の中にずっと残っていたものがスッとなくなりました。つらかったのは私だけではなかった。そう思えて良かったです。でもやっぱり私なら金を獲れたと今でも思っています(会場笑)。いつかまた一緒に走りましょう。松野明美」
有森は「松野さんの気持ち、わかります。そんなに人間すんなり変われるものではないので変わらなくてもいいと思いますし、それをプラスにしていって欲しいです。私もお会いできて良かったです」と嬉しそうに語っていた。また、「松野さんは議員として熊本でがんばってらっしゃるので。お子さんの関係で私が所属している組織と関われることも希望していますので、その後も何度か連絡を取らせていただいていました」とのことで、現在も交流を続けているという。
『[劇場版]ライバル伝説 光と影』は、6月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田ほか、全国順次ロードショー。
2012/06/17 20:49