ソニー・ピクチャーズが人気シリーズをリブート。『アメイジング・スパイダーマン』公開

『アメイジング・スパイダーマン』

アメコミの代表的ヒーロー、スパイダーマンが活躍する新作『アメイジング・スパイダーマン』の公開がいよいよ始まった。『アメイジング・スパイダーマン』は、以前のサム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズとは全くの別物の作品である。


以前のサム・ライミ版はソニー・ピクチャーズの代表作と呼べるほどの大ヒットを記録。3部作で一応完結していたが、またこのキャラクターで何かできないかと動きだしたのがこの『アメイジング・スパイダーマン』である。


秘密主義のもと撮影が行われていたので、以前日本で行われた記者会見でもほとんど内容が明かされることはなかった。それから約半年が経ち、ようやく無事に公開初日を迎えたわけだが、フタを開けてみると、これはスパイダーマンの誕生を描いたヒューマン・ドラマになっていた。製作者陣が「空を飛んだりする素晴らしいスペクタクル以外にも、そこに息づいているイノセントなハート、それを守ることがこの映画にとって大切なことだと思った。これはスパイダーマンではなくピーター・パーカーの物語だ」と言っていたように、スパイダーマンよりもピーターの登場シーンが大半を占めており、ピーターの揺れ動く心を重点に描いた作品になっている。


ヒロインも敵キャラもサム・ライミ版とは違っており、考えてみればサム・ライミ版の延長としてやってみても不思議ではない内容である。サム・ライミ版の作品の完成度はきわめて高く、すでに完璧といえる内容だった。しかし、そこをあえてまったく新しい監督・キャストで映画化したことに、この新作では、以前のものを超えるものを作ってやろうじゃないかという、アヴィ・アラドら製作者陣のめらめらと燃える情熱を見た気がする。彼らは実に良い仕事をやってくれている。


本作は、まったく新鮮な気持ちで見ることができるだろう。いかにしてピーター・パーカーがスパイダーマンとなったか。前シリーズとの大きな違いは、3Dで作られているということである。そして今回最も功を奏している演出は、ピーター・パーカーから見た視点カメラの映像が使われていることである。まるで本当に自分がビルから飛び降りるような、そんな疑似体験が迫力の映像のもとに体感できるのである。壁と壁の隙間をぬうようにクモの糸の弾力性を利用して飛ぶ様など、Gを感じるような映像で、これは実際に見てみなければその臨場感は伝わらないだろう。ストーリーも秀逸で、もうすぐにでも続編が見たくなる内容である。


これはリメイクとは言わない。製作者陣は、自ら人気シリーズに終止符を打ち、また新たな人気シリーズを作り上げた。マーク・ウェブ監督ら新チームは、こうしてサム・ライミ版よりも優れた作品を作ってみせたわけである。「リブート」というリスキーな試みに挑戦し、こうも見事に達成してくれたとなれば、今後はこれがセルフリブート・ブームの火付け役になって続々とリブート作品が誕生するかもしれない。そう予感させる作品でもあった。


ちなみに、本作が世界で最初に公開された国は日本である。世界最初のワールドプレミアも6月13日に日本で行われた。このプレミアにはキャスト・スタッフが総出で参加し、六本木ヒルズのレッドカーペットをかっ歩した。下にその模様を捉えたフォトギャラリーを掲載しておく。これほどの傑作が、日本で最初に公開されたことは、我々日本人にとっては大きな誇りである。(澤田)

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2012/07/02 2:24

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