ニコニコ超会議で異彩を放っていたスクウェア・エニックスのブラウザゲーム『戦国IXA』
先週のニコニコ超会議で、ゲーム関連のブースを出展している会社がいくつかあった。その中でかっこいい武将たちのイラストででかでかと人目を引いていたのが『戦国IXA』(スクウェア・エニックス)のブースである。過去にスクエニの和田洋一社長とニワンゴ取締役の西村博之氏との対決イベントなんてのもやった縁もある。本作は、オンライン戦国シミュレーションゲームであるが、ダウンロードしなくてもブラウザ上で動く今流行りの「ブラウザゲーム」の最たる成功例といえるものである。
今から1年半前にスクウェア・エニックスがYahoo!とタッグを組んで、初の戦国ゲームを発表したのが始まり。ベースの開発は『ブラウザ三国志』のONE-UPが担当しているので、基本的に『ブラウザ三国志』の箱庭シミュレーションスタイルが踏襲されているが、正式サービスを開始してからはスクウェア・エニックスが単独運営し、ハンゲーム、msnゲーム、mixiと多チャンネルに展開中。今ではスクウェア・エニックス最大のキラー・タイトルとなっている。しかし、スクエニ内では他のタイトルとは違って異色感があり、独自に発展を続けている印象もある。
ゲームの内容は、織田信長や徳川家康など12名の有力大名の中から自分の仕える大殿を選び、内政で自分の領地を発展させていき、武将カードを育成して、同盟を結んでいる他のユーザーたちと協力して週に一度の合戦で戦功をあげ、その戦功の合計を競い合って天下一を目指すというもの。スクエニはそれまでファンタジーRPGなどに定評があったメーカーだが、モチーフを戦国としたところが目の付け所。ファンタジーに興味がない人でも戦国時代ならば食指が動くというものである。現に30代・40代の男性に人気が高いという。
最もアップデートが早いのはYahoo!版であるが、ハンゲーム版ではNHNとの連携でアバタープレゼントなど独自イベントを次々展開していて華がある。また、mixiではマイミク招待機能などを備えており、どこから始めるかは好み次第である。
基本的に無料で遊べるゲームだが、便利機能を利用するのにリアルマネーがかかる。また、強力な武将カードが当たるかもしれない「金くじ」が600円と結構いい値段である。「つい当たりを期待して買ってしまう」というユーザーが多く、上杉謙信や武田信玄などの最強ランクのカード欲しさに数百万円を注ぎ込んだという声も少なくない。もちろん一切課金しなくても十分に遊べるようにできており、ユーザーの9割以上は無課金ユーザーだと言われているから安心して遊べる(筆者も無課金ユーザーである)。低ランクのカードの中にも今川義元、明智光秀などビッグネームのカードも用意されており初心者でも取得は容易である。
GoogleのDouble Click Ad Plannerによると『戦国IXA』のウェブサイトは現在推定月間3億ページビュー推定46万ユニークユーザーという驚異的数値を弾き出している。ある経済専門家は1年間の売上推定を40億円超と計上しており、映画産業と比べてもあり得ない大ヒットを飛ばしていることは間違いない。最もコストをかけているのは宣伝費と思われ、現在もあらゆるサイトで広告が貼られているのを見かけるが、売上は今も引き続き積み重なってあがっているのだから、同社の『ファイナルファンタジー』シリーズの遥かに上を行く稼ぎっぷりと言える。こうなると普通の販売用ソフトよりも遥かに課金制ゲームの方が会社にとってメリットが高いということになる。前述のように和田社長が博之氏とキャンペーンで顔出しでゲームをPRしていたくらいだから社長も『戦国IXA』にはかなり力を入れていると思われる。
去年は『戦国IXA』の天下だった。ビジネスでは他社の追随を許さない感があるスクエニだが、これでは他社も黙ってはいない。第2の『戦国IXA』を投入すべく、カプコンなど競争各社もこぞって戦国ブラウザゲームに参入の名乗りを上げているので今年は激戦が予想される。ニコニコ超会議では、あらたにスマホ版の『戦国IXA 千万の覇者』をPRしていたが、ブース上ではゲーム画面のディスプレイはなく、直接会員登録しなければならず、まだまだ未知数という印象だった。30代・40代の男性に人気があるゲームなのに客層が異なるゴールデンボンバーをイメージキャラクターに起用するなど、実験的な試みもみられた。『戦国IXA』はブラウザ戦国ゲームの先鞭を着けたパイオニアとして、今後の動向にも注目が集まりそうだ。
こちらが戦国IXAのゲーム画面。
上段左から、小西行長、加藤清正、黒田長政、島津義弘、長宗我部元親、下段左から、小早川隆景、毛利輝元、宇喜多秀家、細川忠興、藤堂高虎。有名な人気戦国武将たちがカード化されている。イラストのデザインもかなり凝っていて戦国ファンにはたまらないぞ!
(C)2010, 2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
2012/05/04 23:05