アカデミー賞主演女優賞を受賞したメリル・ストリープが来日

『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

3月7日(水)、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』のPRのためにメリル・ストリープが来日。フィリダ・ロイド監督と記者会見に出席した。


メリル・ストリープの来日はこれで5回目。といっても、これまでに来日した作品が、92年『永遠に美しく』、94年『愛と精霊の家』、97年『マイ・ルーム』と、彼女にとっては代表作とは言えない微妙なものばかりだった。夫のドン・ガマーが彫刻家で、夫の仕事に同伴する形での来日は何度かあったようだが、彼女の映画女優としてのキャリアで考えると、来日回数はあまり多いとは言えない。3年前の『マンマ・ミーア!』の来日のときも実に12年ぶりの来日だった。3年前はちょうど別の作品でアカデミー賞にノミネートされていて、授賞式の直前の会見であったため、記者の質問もアカデミー賞を目前にしての気持ちを訊く質問が多かったように記憶している。


一方、今回はアカデミー賞授賞式で見事主演女優賞を受賞してからの来日である。日本でも「メリルおめでとう」の熱が冷めぬ前に、メリルはオスカー像を持参して(会見には持ち込まず)、絶妙のタイミングでの来日となった。毎年のようにアカデミー賞にノミネートされていながら、いつも受賞を逃して来たメリルも、29年ぶりについに受賞。3つ目のオスカーを手にしたわけだが「34年でたったの3つよ」とメリルは謙遜して言う。しかし、3つも受賞したことは大変なこと。史上最多受賞者のキャサリン・ヘプバーンは3つ目のオスカーを取るのに36年もかかっているのだから。


やっと「代表作」をひっさげての来日である。3年前の『マンマ・ミーア!』のときと比べても、メリルには若さと活気が戻ったような感じだった。幸せ気分まっただ中のメリルは、まるでイタズラ好きの小学生みたいで、62歳とは思えないくらい元気にはしゃいでいた。


本作でメリルは、英国の政治家マーガレット・サッチャーを演じている。メリルは「私はアメリカ人ですから英国ということですでにアウトサイダーなんです。サッチャーは、愛され、憎まれた女性。お歳をめされてからや彼女の日常を知らないので、この二つを融合するのが難しかったです。たとえ首相になっても女らしさを失わなかった。政治家であり男社会で生きる中、女らしさを捨てたいとは思ったんじゃないでしょうか。しかし、ハンドバックやキラキラしたブラウスを着て女らしさを保っていました。涙や笑いなど女の弱々しいところは許さなかったので、「鉄の女」と呼ばれたんでしょうね。サッチャーさんは責任感があります。実在の人物を演じるには、正確で真実に近い役作りをしていきました。観た人が彼女の人生に自分を重ね合わせられるように演じたかった。自分自身の親の世代のことを学ぶ素晴らしい機会を持つこともできました」と会見で語っていた。


演じるのが政治家ということで、「現代の日本の野田首相に何かアドバイスを」という質問もあったが、メリルは照れるように「演技のことなら何でも相談にのるわ」と返して記者の笑いを誘っていた。


会見のあと、ヒットを祈願して鏡開きを行ったが、鏡開き初体験であるメリルはここでも大はしゃぎ。樽を叩くと、「やったわ!」と満面の笑顔でガッツポーズ。樽の中のお酒を指につけてぺろりとなめて「うふっ」と肩をあげてチャーミングな笑顔を振りまいた。なんでも会見の前にも何度か練習していたそうだ。監督とガールズトークでキャッキャと盛り上がる様子が伝わってくる会見であった。


『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』は3月16日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー。

[PR] 戦国時代カードゲーム「秀吉軍団」好評発売中

2012/03/12 23:42

サイトのコンテンツをすべて楽しむためにはJavaScriptを有効にする必要があります。