岩井俊二のドキュメンタリー『friends after 3.11【劇場版】』
3月10日(土)オーディトリウム渋谷にて、震災についてのドキュメンタリー『friends after 3.11【劇場版】』の初日舞台挨拶が行われ、仙台出身の映画監督・岩井俊二と、女優の松田美由紀、脱原発を訴えるアイドルの藤波心が登壇した。
本作はタイトルからも想像できるとおり、岩井俊二監督が震災後の日本をテーマに描いた社会派ドキュメンタリーである。岩井監督本人が様々な人たちにインタビューをする形で映画は進んでいき、原発やメディアの嘘など様々な問題を提起する意欲作だ。
劇映画ではかつて『Love Letter』『スワロウテイル』などで一時代を築いた岩井監督だが、ナビゲーターとしてこれだけ自分の意見を語る様はある意味貴重である。本人も最初は冷静に傍観するように撮っていたのだが、色々な出会いを通じていくうちに、自分でも何かできないかという気持ちがわき上がってきたという。これは岩井俊二だからこそ実現できた映画かもしれない。岩井監督は「大人も子供も真剣に向き合っていかなければならないという思いでこの作品を作りました」と語っていた。
松田はナビゲーターとして参加している。「政治・国・マスコミによって、これだけ多くの国民が今までなにも知らされていなかったんだということを、こんなに不自由だったんだっていうことを、私たちは知ってしまいました。誠実で規律正しい日本人ですが、ここは立ち上がらなくてはいけないと思って活動を続けています。政治を動かすのは政治家ではありません。国民一人ひとりです。それを代弁するのが政治家であるということをみなさん一人ひとりに自覚していただきたいです」と訴えた。
藤波は、原発についての発言からブログが炎上し、それを機に「脱原発アイドル」として活動を開始した。その活動の様子は映画の中にも見ることができる。「この作品の撮影で私は宮城に行きましたが、そのときは自分の気持ちをうまく言葉にすることができませんでした。撮影から戻って当たり前に家族と生活が出来ることが本当にありがたいことなんだと気付かされました。震災から1年経ちますが、国民の関心が薄れてしまっていると感じています。この作品を観て感じたことを家族や仲間と話し合っていただきたいと思っています」と語っていた。
『friends after 3.11【劇場版】』は現在公開中。
2012/03/13 0:58