ほっしゃん。初主演『幸運の壺 Good Fortune』女房の殺し方教えます

『幸運の壺 Good Fortune』

2月25日(土)からコメディ映画『幸運の壺 Good Fortune』が公開中だ。よしもとが送る、ほっしゃん。(40)初主演の映画である。この初日舞台挨拶を取材したので、舞台挨拶の模様をお伝えしつつ、映画の見どころについて書きたいと思う。


舞台挨拶に出席したのは、主演のほっしゃん。と、佐津川愛美(23)。それから前田公輝(20)、逢沢りな(20)、麿赤兒(69)、小川通仁監督ら。そこにヨネスケ(63)が自身のライフワーク「突撃!隣の晩ごはん」よろしく乱入し、さらに特別ゲストとして『さや侍』の野見隆明がかけつけ、映画の成功を約束していた。


実はこの映画、たったの3日間で撮った超低予算映画。出演者の中には、麻生久美子、戸田恵子といった名女優も名を連ねているが、戸田恵子も「こんなに短い撮影期間でこれだけのケッサクを作ったのは前例がない」と言っていたほど。しかし、せっかくの初日なのに、スケジュールの都合で舞台挨拶には麻生久美子も戸田恵子も来られずビデオレターでの参加となった。その代わり、1シーンしか登場していないが熱心なファンが多い逢沢りなが参加して花を添え、更に何とあの麿赤兒さん(シビれるほどかっこいい人でした)まで同席するという何やらすごい顔ぶれで初日を飾っていた。


ほっしゃん。は初主演に大抜擢されて、最初思わず「アホちゃうか」と言ったそうだが、実際に出演してみると、自分で自分の演技力に惚れて「俺天才やな」と思ったという。舞台挨拶でもつい自画自賛していたが、いゃ、これは冗談でもなく、本当にこの映画のほっしゃん。の演技は真に迫っていて、それでいてユーモラスで、これから先俳優としてやっていっても良いんじゃないかというくらいうまかった。監督は「役が憑依していた」と褒めていたけれど、ほっしゃん。も「そうなんですよ。撮影中、役に入りすぎてホンマに自分の嫁殺そうかと思った」と笑っていた。


このストーリーは、ほっしゃん。演じる売れない役者が鬼嫁を事故で死なせてしまい、保険金目当ての殺人と疑われるのが怖くて、自分の部屋に隠し続ける話である。「幸運の壺」をもらってきてから彼の人生はたちまち狂い出し、極限状態へと追い詰められていく。


次から次へと押しかける訪問客を前に、ほっしゃん。があたふたする様子が最高に可笑しい。戸田もヨネスケもまさにここだという絶妙すぎるタイミングで登場してくれて、観客の笑いは一気に爆発する。漫才や落語などではなく、きちんと「映画」としての笑いの取り方が追求されているところがよろしい。後半はもうてんやわんやの中、一気にクライマックスのラストへと加速していく。映画における笑いのダイナミズムがここにある。密室劇に近いシチュエーションを用いて、低予算でも役者が面白ければ映画はこんなにもケッサクになることを本作は証明してくれた。


もう一人注目して欲しいのは佐津川愛美。ほっしゃん。の妹役だが、これがまたいかにも妹らしい妹で、とにかく可愛いこと。芸人ほっしゃん。にも引けを取らない見事なコメディエンヌぶりで、役の小生意気な性格まで、出てくるたびに愛おしくなってくる。初日には「ほっしゃん。さんが主役というだけで面白いです。台本を読んだだけで、主人公のキャラクターがすごく想像できて、これは絶対面白いなと撮影の前から楽しみにしていました。全力投球でやってるんですけど、全力で面白いです。自分で撮っていたのに完成した作品を自分で見ても面白かったです」と感想を語っていた。


しかし、こんなに中世西洋の甲冑が出てくる現代劇も初めて見たものである。甲冑というインテリアとして普通ならあり得ないものを現実として納得させる説得力があるし、ある意味、壺よりも重要なシンボルで、甲冑だけでここまで観客を爆笑させられるのも素晴らしい。マドリードの映画祭にも出品するとのことだが、スペイン人にもこの映画のユーモアが通用するのは嬉しい話である。甲冑を中心にして笑いは国境を超えていく。


『幸運の壺 Good Fortune』は、2月25日(土)より、シネマート新宿、シネマート六本木、シネマート心斎橋、コロナシネマワールド他にて全国公開中。(澤田英繁)

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2012/02/27 0:34

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