トム・クルーズ最大級のファンサービス これぞ映画スターの鑑

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

トム・クルーズ(49)が『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のPRで来日した。といっても、滞在時間はたったの27時間。ほとんど日帰りにも近いレベルである。この滞在期間中に、トムは東京スカイツリーを訪問、12月1日には六本木ヒルズアリーナで1500人のファンと対面して「ファンミーティング」を行っている。

このファンミーティング。レッドカーペットをトム・クルーズ他様々な著名人が歩くイベントで、内容としてはよくあるジャパンプレミアと同じものだ。しかし、イベントのどこを見ても一切「ジャパンプレミア」という文字は書かれていない。あくまでジャパンプレミアを「ファンミーティング」と題させたところにトム・クルーズらしいこだわりがある。


■やはり他のスターとは格が違った

以前当サイトでは、トム・クルーズのことを「最もレッド・カーペットをゆっくり歩く人」という風に書いたことがある。筆者はトムの徹底したファンサービスは以前からすごいと思っていたが、今回はそれが確信のものに変わった。もはやトム・クルーズのジャパンプレミアはジャパンプレミアにあらず。ファンミーティングなのである。

『ワルキューレ』のジャパンプレミアは伝説的といえるものだった。さすがに今回は『ワルキューレ』ほどではないのだが、あのときとは状況が違っていることを考慮しておきたい。『ワルキューレ』のときは家族と休暇もかねての来日だった。時間もたっぷりあったので、筆者の記憶ではあの時はたしか5時間近くファンたちと交流していたと思う。一方、今回は27時間のフラッシュ来日。ゆっくりしてはいられない。それでもトムは3時間くらいファンたちと交流を楽しんでいるのだ。

この日は、作品を見るために梅宮アンナ、田丸麻紀など、沢山の著名人が訪れ、レッドカーペットに華を添えていたが、その中でトムは誰よりも早い時間に会場に到着している。最もレッドカーペットをゆっくり歩くトムだから、最初に登場しても結局は最後に歩き終えることになるのである。

他の映画スターと比較してみると、トムの格の違いに驚かされる。こういうプレミアイベントはいくつも見て来たが、どのスターも、突き出された紙にちゃっちゃとサインしていくだけである。そのサインもほとんど横線で終わっていたりする。握手するときも突き出された手しか見ていない。しかしトムは違う。握手するときはちゃんと相手の目を見るし、サインも実に丁寧だ。

ファンからサインを見せてもらったが、紙いっぱい隅から隅にバランスよく大きくサインしていて、誰が見てもトム・クルーズのサインだとわかる力強い見事な筆致であった。それに加えてファンがカメラを渡せばトムは気さくに写真を撮らせてくれる。ここまでやってくれるスターはそういるものではない。まさしく映画スターの鑑。筆者はただ遠くからトムの写真を撮っていただけだが、この仕事をしていて、トム・クルーズほど、一度でもいいから客席の方に行ってみたいという気持ちにさせられた人はない。トムと交流できたファンが実にうらやましい。


■スタントなしで世界一高いビルに挑んだこと

さて、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』だが、これはシリーズの4作目である。元々は『スパイ大作戦』の映画化だったものだが、もはや誰もそれを意識しなくなった。1作目から一貫してプロデューサーとして作品を作って来たトム・クルーズにとっては、自身のライフワークといえるものになっている。毎回監督を変えて来て、毎回違ったスタイルの作品に仕上げて来たことも作品のユニークなところで、今回監督を務めたのは『Mr.インクレディブル』などアニメ畑のブラッド・バード(54)である。アニメ界では第一級の才能が認められている監督だが、実写では未知数。思い切った人選であるが、面白い化学反応が起こりそうで、トムもそれを狙ったに違いない。

海外のメインビジュアルでは、パーカージャンパー姿のトムの写真がかなりカッコイイのだが、日本では高層ビルにしがみつくトムのゴーグル姿がメインビジュアルになっている。このビル、ドバイにある世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」である。作品の最大の見どころは、このビルの上をトムがスタントなしで撮影していることである。高さ828メートルで、エンパイアステートビルのおよそ2倍。東京スカイツリーが634メートルなので、高いなんてもんじゃない。トムはこのてっぺんにも立ったとのことで、撮影を想像するだけで思わず浮き足立ってしまう。

このビルでの撮影は、以前からネットでも話題になっていて、現地で一般人が撮影した映像などもネットでは流れていて、撮影の合間にも空中でぶら下がったままファンの声援に手を振って応えるトムの姿にみんな感心していた。ブラッド・バード監督はイベントで「大変だったことは皆無事に家族のもとに帰ることだね」と語っており、その撮影がいかに危険なものだったのか想像できる。

ブラッドがあえてこのシーンを撮ったことには、彼なりの挑戦心があったからだ。アニメの世界では重力の制約はなく、いくらでもごまかせるが、実写ではごまかせない。だからこそ挑戦したのだという。CGがなかったころからこういうシーンは合成で描くのが当たり前だが、あえて本当に撮ったところにブラッドの意気込みの強さが感じられる。ブラッドが今後実写の世界に行くのか、それともまたアニメに戻るのか、両立していくのか。今後の動向が気になってくる。


■イベントも派手!導火線に火がついて大爆発

イベントには、ヒロインのポーラ・パットン(35)、共同プロデューサーのブライアン・バークらも参加した。『ミッション:インポッシブル』と聞けば即座にあのテーマ曲が頭の中で流れるものだが、このテーマ曲をエレキギターでアレンジしたのが世界一著名な日本人ギタリスト布袋寅泰(49)。布袋の楽曲は現在映画のプロモーションBGMに使用されており、渋谷駅交差点の巨大モニターなどでもガシガシ使われている。イベントには布袋本人も直接参加し、ノリノリのライブパフォーマンスを披露してくれた。布袋はトムと同年齢であり、キャリアもトムと同じ30年。縁を感じていた布袋はトムを前にがっちりと握手を交わしていた。トムもエアギターで布袋の真似をしながら「素晴らしかったよ。ロックは大好きだ」とゴキゲンだった。

最初ステージからカメラ席までえらく距離が離れているなと思ったが、イベントを取材してその理由がわかった。爆発パフォーマンスがあったのだ。『ミッション:インポッシブル』といえば、導火線である。イベントでは導火線に火がつき、火がステージを一周して大爆発するド派手な仕掛けがあった。ドカンときたときには筆者も一瞬びっくりして腰が抜けそうになったが、こういう火薬を使った演出は豊洲のジャパンプレミアではよくあるけれど、六本木ヒルズでは初めての体験だった。今年はあまり大きなジャパンプレミアがなかったけれど、今回は景気よくぶっ放してくれて、やはりハリウッドスターを招くからにはこうでなければならないと思った。

ステージでの挨拶では、主にドバイのビルでの撮影のエピソードに話題が集中した。アリーナのスクリーンにトムが頂上に座ってカメラに笑顔を送っている写真がでかでかと映し出されると、トムは自分の顔を指差して「ヘッヘッへ」と照れ笑い。「最初はビルの中腹あたりで撮っていたけど、最終的にはてっぺんまで登ったんだ。すごく怖かったよ。ヘッヘッヘ」と振り返っていた。

最後に、トムはファンに向かって投げキッスを飛ばした。これには女性ファンも大絶叫。しかし、女性スターの投げキッスはよくあるけれど、男性スターの投げキッスなんて、普通なら嫌味に見えるところだが、トムの場合、「僕から皆さんに口付けを送りたいと思います」みたいな、すごく紳士的な投げキッスだった。トムだからこそ絵になる貴重な投げキッスであった。

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』は、12月16日から全国ロードショー。(取材・澤田英繁)

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2011/12/05 1:50

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