白羽ゆり 男と女の様々なシチュエーションを描く『アイ ラブ ユー』

I LOVE YOU

オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『アイ ラブ ユー』が10月8日(土)から公演中だ。12年間、5003回ものロングランを記録した伝説のミュージカルの待望の日本語版である。

本場オフ・ブロードウェイで本作の演出・振付をしていたジョエル・ビショッフがこのために来日して直々に日本人キャストに演出している。役の名前はアメリカ人のまま。アメリカンテイストはそのままに、男と女の様々なシチュエーションを20以上のシーンで滑稽に描き上げた大人のラブ・コメディである。

キャストは中川晃教(28)、白羽ゆり(32)、神田沙也加(25)、米倉利紀(38)のたったの4人だけ。使用される楽器もピアノとバイオリンだけ。小さなスケールながらも、1人15役を変幻自在に演じ分け、シーンごとに衣装も変わって色とりどり多彩な内容になっている。

初デート前の男女の愛の形から始まり、中盤にかけて恋愛、それから結婚、終盤では恋愛のその後、薄れて行く愛だったり新しい出会いなどが描かれる。「満足は保証します」、「恐怖のあまり」、「家族そろってドライブ」、「ローズ・リッツの初めてのデート・ビデオ」など、演出の妙味に思わず「そうきたか」とうなってしまうシーンもあり、ジョエル・ビショッフのアイデアがキラリと光る。中でも「お葬式でデート」のシーンは出色の出来で、なかなか考えさせるものがある。この辺はぜひ実際に見て確かめて欲しいところだ。


記者の囲み取材では、中川は他の3人の共演者について、「米倉さんは包み込んでくれるような方。さあやは前から共演したかった人。ひざを蹴ってもらったり切磋琢磨してやった。白羽さんは白い羽と書くように天使のような存在感、ゆりの花のように健気で、歌声の下から高域まで支えてくださっている」と褒めていたが、上手な褒め言葉に白羽は「本当にそう思ってますか?」と照れ笑いしていた。

白羽は元宝塚、雪組トップ娘役である。「宝塚という女性だけの団体生活に慣れてましたので、これだけメンバーが少ないとそれぞれの個性というのが大事なんだなというのを感じますし男性との共演も新鮮に思います」と語っていたが、「自分で言っちゃうんですけど、30代独身女性としては、まだ結婚せずに仕事をがんばってますが、この作品では割と言われていたい言葉というのは全体的に多いですね」と、作品に共感できる部分も多かったようだ。

神田は、白羽とは姉妹みたいに仲が良いとのこと。「私は一人っ子なんですけど、お姉ちゃんみたいな感じで、稽古場では、女子らしい会話、かと思いきや、二人とも中身が男っぽかったので、男っぽい会話とかしてました」とコメントしていた。ちなみに神田は劇中お色気シーンも披露しているぞ。

米倉は「最初はどうしてこの役をこの人が演じるのだろうと思ってましたが、やっているうちに選ばれた理由がわかって来ました。この作品からは厳しさと華やかさと優しさと弱さを感じます」と作品を評していた。

中川は「相手を待っているシーンがありますが、待たせている人は待っている人の気持ちわからない。男女それぞれの性格って、どこまで行っても交わらない。だから”性別”っていうんですね」と説明している。男と女、違うからこそ面白い。5000回以上のロングランを記録できたその理由は、「男と女」というこの人間普遍のテーマを描いていること。その様々なシチュエーションのエッセンスだけをギュッと凝縮させて2時間で歌いきっていることにある。(澤田英繁)


『アイ ラブ ユー』は、2011年10月23日(日)まで東京グローブ座にて上演中(問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337)。東京公演のあと、仙台・兵庫・福岡にて上演される。


『アイ ラブ ユー』(I LOVE YOU, YOU'RE PERFECT, NOW CHANGE)
脚本・作詞:ジョー・ディピエトロ
作曲:ジミー・ロバーツ
演出・振付:ジョエル・ビショッフ
出演:中川晃教 白羽ゆり 神田沙也加 米倉利紀

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2011/10/08 14:00

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