3DCG映画全盛の今だからこそ古典的名作『三銃士』を
本年度最大級の話題作がやってくる。『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』である。世界中で愛され、これまでに何度も映像作品が作られているアレクサンドル・デュマの名作「三銃士」。3DCG全盛の現在の映画の技術を結集して作られた今作は、過去なかった壮大なスケールの作品となった。
本作最大の目玉は、巨大な空飛ぶ船同士の戦い。これまでの「三銃士」にはなかった要素で、17世紀当時、レオナルド・ダ・ヴィンチが書き起こしていた飛行船の設計図が実際に完成した設定になっている。そしてダルタニアン役を演じるのはローガン・ラーマン。「三銃士」の本が世に出てから初めてダルタニアンの役を正しい年齢(18歳)の俳優が演じる。また、オーランド・ブルームが初めて悪役に挑戦したことも話題になっている。
撮影は主にドイツで行われたが、世界遺産のひとつであるヴュルツブルグのレジデンツが初めて映画撮影で使われている。しかも3Dカメラで! 『アバター』以後、今映画界は3D映画が氾濫しているが、ぶっちゃけ、「なんちゃって3D」が多い。作る側もほとんど3Dを意識せずに作って、後からコンピュータで2Dを3Dに変換したものがほとんど。その点では、本当にハナっから3Dの見せ方を研究してこだわり抜いている監督はジェームズ・キャメロンとポール・W・S・アンダーソンくらいなもので、3Dにかける情熱、意気込みにかけては誰にも負けないものがある。実際、堂々と「これはホンモノの3D」と言える実写映画は現時点ではアンダーソンの『バイオハザードIV』くらいしかなく(『アバター』は実写というよりアニメである)、『三銃士』はそのアンダーソンの待望の新作ということになる。アンダーソンはこの作品の撮影に3Dカメラを史上最多8台も投入した。アンダーソンは撮影の都度、いちいち3Dメガネをかけて映像の出来を確認し、3Dとして納得できるものを作り上げた。
日本でこの映画を見る楽しみ方がある。アンダーソン監督は日本文化のファンでもあり、自身にとっては初めての古典文芸の映画化であり、その上で空飛ぶ船など独自の世界をミックスしているため、その世界観を築く過程で、『キャプテン・ハーロック』など日本のアニメを参考にしたという。また、本作は日本語吹き替え版では、溝端淳平がローガン・ラーマン、檀れいがミラ・ジョヴォヴィッチの声を吹き替えており、そちらも注目していただきたい。3D映画の字幕スーパーはとても見にくいので、3Dの迫力ある映像に神経を集中させるためには、日本語吹き替え版を見ることをおすすめする。
さてさて、日本でこの映画を盛り上げてくれる応援団?が必要だということで、日本の三銃士といったらもうこれしかない、ダチョウ倶楽部が宣伝応援団?に選ばれた。いや、映画の方は全然ふざけていないのだが、宣伝ならばこういうジョークもありということで。映画の中の三銃士と比べたら人格もルックスも月とすっぽんともいえるダチョウ倶楽部は「お笑いウルトラクイズの3倍も火薬が使ってある!」と作品をPR。本作が3Dということで、3人でノリノリに「あワン!あツー!あスリーディー!」と飛び出すジェスチャーをしてみせる新ネタを披露していた。記者たちはネタのあまりのくだらなさに大笑い。肥後克広は「去年できたネタだけど、去年やったときには全然受けなかった。これからゆっくり温めていこうな」と団結していた。
『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』は10月28日(金)から3D・2D同時公開される。(澤田英繁)
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2011/09/26 2:51