松山ケンイチ「自分を変える潔さがあれば日本男児もかっこよくなる」

『うさぎドロップ』

女優たち

8月20日(土)新宿ピカデリーにて、『うさぎドロップ』の初日舞台挨拶が行われ、SABU監督(46)、松山ケンイチ(26)、香里奈(27)、芦田愛菜(7)、桐谷美玲(21)、佐藤瑠生亮(るいき・7)、綾野剛(29)、池脇千鶴(29)、そして主題歌を歌うPUFFYの大貫亜美(37)、吉村由美(36)が登壇した。

27歳、彼女なし、ごく普通の独身サラリーマンが、亡くなった祖父の隠し子を引き取って突然共同生活をすることに・・・。2010年、「イクメン」という言葉が流行語になったが、この映画では松山ケンイチがまさに「イクメン」の模範的なキャラクターを演じている。原作は82万部をセールスした宇仁田ゆみの人気コミックス。慣れない子育てにあたふたしつつも、本当の親子のような絆で結ばれていく様が心温まる作品になっている。

松山演じるダイキチが底なしの愛を注ぎ込んだ隠し子を演じるのは、今最も人気のある子役、芦田愛菜ちゃんだ。祖父の隠し子ということは、つまりは松山ケンイチの叔母ちゃんということになるわけで、そこが作品の面白いところ。撮影中は、とにかく愛菜ちゃんに癒されたという松山は「最後までかくれんぼしたりして遊んでたよね。最後はすごい悲しい別れみたいな感じだったんだよね。まなちゃんを抱いてたら恋人みたいな変な感じになった。子供ってなんかすごい素敵だなと思って。でも僕は寂しくないよ。テレビで見てるから」と話していた。

SABU監督にとっては、これまでと作風が異なるほのぼの系の作品になったが、SABU監督は「この映画を通して俺の株があがってることをひしひし感じてます」とコメントしていた。ドヤ顔で「みんな撮影が楽しかったとか言ってますけど、そういう現場の空気を作った俺はすごいな」、「作風が違うっていうけど、これも俺の深い引き出しからぽっと出しただけです」と話すなど、文章にすれば一見厚かましい言葉も、この人の口から言うとなぜか不思議と憎めない。むしろ報道陣は「いいねえ」とその態度に惚れ込んでいたくらいだ。

この日は特別ゲストとして、今年でデビュー15周年を迎えたPUFFYの二人が登場した。由美は「原作が好きで原作の帯を書かせていただいたり、宇仁田先生がPUFFYのライブに足を運んでいただいたりとかで、マブダチです」とコメント。「すごい好きな作品なのでプレッシャーでした。こういう曲がいいんじゃないかなと一生懸命考えました。実際に映画で流れるまでは本当に作品に合ってるか不安でした」とも話していた。一方、亜美は「原作にないシーンがあって、ダイキチの妄想のシーンが忘れられません」と映画の感想を述べた。亜美は褒めたのだが、SABU監督は「反省してます」と謝っていた。

由美が「女の子らしい感じをイメージしたんです。大人になっても何歳になっても多分皆さん女の子の心は持ってるんで、それをくすぐれればいいかなと思いました」と話すと、松山は「僕も男ですけど、くすぐられましたね。実は僕が整体してるときにもラジオが流れて、そこでもかかったんですね。すごい気持ちいい、かわいらしい曲だなと思ってすっごい頭に残って、その後も口ずさんでたんですけど、僕が歌うと気持ち悪くて、歌う人が違うと歌ってこんなに変わるんだと思って、僕はこの歌を口ずさむことをやめました。この作品に合った曲だと思います。ありがとうございます」と感謝しきりだった。

最後に、松山はこの映画について、次のようにまとめた。

「ダイキチってキャラクターは独身で自分のことだけ考えてればいい生活をしてる中で、愛菜ちゃんと出会って、共同生活をすることになるんですけど、そこから時間の使い方、お金の使い方、生活の仕方がすべて変わってくるんですね。愛菜ちゃんと共同生活する中で変化していくことって本当に素晴らしいなと思うんです。仕事に情熱を持って、仕事で得られるものってたくさんありますけど、こんな風に自分の家の中で得られることもたくさんある。そういう風にして人って大きくなっていくし、仕事もうまくいくようになる。どっちかに偏っているだけではだめだなと改めて感じましたし、ダイキチも自分を変えて行く潔さと強さが、今の男たちというか、なんていうんだろうな、日本男児もすごくかっこよくなるんじゃないかと思って。今日は男性に見てもらえたことがすごく嬉しく思ってます」

事前に言うことを考えて来たわけではなく、心に一番強く感じていたことをその場で膨らまして言葉にしていった感じだったが、作品のテーマを如実に表していて、心に届く素晴らしいコメントだったと思う。本人もこの映画を通じて人生観が変わったようだった。

『うさぎドロップ』はショウゲートの配給で、現在渋谷シネクイント、新宿ピカデリーほかで公開中。(文・澤田英繁)

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2011/08/22 4:06

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