的川教授のお墨付き。1年前のあの感動が映画になった『はやぶさ/HAYABUSA』
昨年の6月13日、小惑星探査機<はやぶさ>が60億kmもの旅を終えて7年ぶりに地球に帰還。日本中を感動させた。それから丸1年を経た2011年6月13日(月)。この偉業を映画化した『はやぶさ/HAYABUSA』の記者会見が、有楽町の東京国際フォーラムにて行われた。会見には主演の竹内結子(31)、共演の高嶋政宏(45)、映画化に全面協力したJAXA(日本の宇宙航空研究を行っている開発機構)の的川泰宣名誉教授(69)が出席。映画にかける思いを語った。
『はやぶさ/HAYABUSA』は、『トリック』、『20世紀少年』など数々のヒット作を手がけてきた堤幸彦が監督を務める。撮ったその日に編集するほど、仕事の早さは業界屈指とされる堤監督だが、高嶋は監督についてこんなエピソードを紹介していた。
「現場もスタッフと俳優陣の情熱がすごかったです。一丸となって絶対に完コピで行ってやるぞみたいなのがありました。言っていいのかな、ロケに行ったとき、夜中深夜1時ぐらいでしたが、堤監督が『今まで自分のどんな映画でも受賞とかノミネートしてもピンと来なかったんですが、今回は僕評価されたいんですよ』と突然おっしゃったんです。堤監督の並々ならぬ情熱に僕は胸が熱くなりました」
壁のシミなど、美術セットも細部までこだわったといい、竹内は「ドキュメンタリーの中に入っていくような感じでした」とコメントしている。当の的川教授からも「セットで作られた管制室が本当の管制室のようでした」とのお墨付きで、「一丸となって映画を作っていくことが、一丸となって<はやぶさ>のミッションをやってるような迫力でした」と高評価であった。劇中専門用語もかなり使われているとのことで、その意味でも本格的な内容になっているという。
東京国際フォーラムでは、ギャラリー「はやぶさi」を10月10日まで開催中だ。カプセルのレプリカなどが展示されており、カプセルは実際に持ち上げることができる。竹内はこれを持ち上げてその重たさにびっくりしていた。高嶋も「うわ。重たい。これは5.8キロくらいありますね」と話していたが、実はこのカプセルは見た目よりもかなり重たく質量が17kgもある。竹内は「<はやぶさ>がなんだか人のように、家族のように思えてくるんです」とカプセルを愛おしく眺めていた。
度重なるアクシデントに見舞われながらもその苦難を乗り越え、小惑星からサンプルを持ち帰るというNASAでさえも成し得なかったミッションを見事に成し遂げて大気圏で燃え尽きた<はやぶさ>。この映画の企画に注目し、製作を開始したのはハリウッド外資系の20世紀フォックスだった。ハリウッドの映画会社が日本映画を作るということで、世界配給への大きな期待を集めている。『はやぶさ/HAYABUSA』は、10月1日(土)から全国公開。(文・澤田英繁)
※「高嶋政宏」の本来の表記は「髙嶋政宏」です。文字コードの制約から表記を変更しております。
2011/06/20 0:27