『TAKAMINE』はウルトラ兄弟たちが描く歴史ロマン
5月28日(土)、有楽町にて、『TAKAMINE アメリカではに桜を咲かせた男』の初日舞台挨拶が行われ、長谷川初範(55)、篠田三郎(62)、渡辺裕之(55)、田中美里(34)、川久保拓司(29)、ナオミ・グレース、市川徹監督が登壇した。
『TAKAMINE』は、100年前、日本とアメリカの架け橋に尽力した一人の日本人・高峰譲吉博士の生き様を描いたもの。100年以上使い続けられている薬品は世界に3つしかなく、ひとつはドイツ・バイエル社のアスピリン、そして残り2つが日本人・高峰博士による「アドレナリン」と「タカジアスターゼ」である。また、毎年ワシントンD.C.で行われている「桜まつり」、この桜にも高峰博士が大きく関わっており、映画の中でドラマティックに描かれている。撮影は高峰博士の生まれ故郷である金沢から、アメリカのハリウッドで行われた。
主演の長谷川は、この話を聞いたとき、「アメリカの日系人社会の大スターだから、ノーギャラでもいいから出なさい」と周囲から説得されたことを明かした。この役を演ずるにあたって長谷川は「高峰さんは、明治時代にありとあらゆるものを発明している。僕らがこうして豊かに住めるのも、高峰さんと100年前の男たちのお陰です。そういう意味ではモラリストとしての科学者というのを、はっきりと打ち出してみました」と役作りについてコメントしていた。
この日、それぞれの登壇者が、演じた人物の写真と自分の写真がプリントされたプレートを見せてくれたが、みんな雰囲気がそっくりで、よく似ている人がキャスティングされていることがわかった。しかし、この顔ぶれ、よくよくみると、何やらやけに”特撮率”が高い。実はウルトラマン俳優が集結しているのである。
長谷川は『ウルトラマン80』に主演しているし、篠田は『ウルトラマンタロウ』に主演している。初代『ウルトラマン』の黒部進も友情出演しており、まるでウルトラ兄弟の同窓会のようだ。この映画は大人の客層がターゲットで、この日も実際に年配の観客が目立ったけれど、この三人が共演していることで、秘かに特撮ファンからの注目も高まっているのは事実のようだ。
高峰博士と同じ金沢出身の女優、田中美里も『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』に主演しており、田中も特撮ファンの間では人気が高い。渡辺も『ウルトラマンガイア』など特撮物に多く出演している俳優だし、川久保は『ウルトラマンネクサス』で平成ウルトラマンを演じている。これだけ特撮率が高い映画なのに、作品資料を読んでみても、どこにも特撮のことについて書かれていない。そもそも触れるべきことではないのだろう。
ところが、舞台挨拶ではこの沈黙をやぶって、栄養ドリンクのCMで有名な熱き男、渡辺裕之が小粒ながらも特撮ネタを披露してくれた。「アメリカでは川久保が人気があって、男性スタッフから”川久保はいい男だな。あいつには彼氏はいるのか?”と聞かれた(川久保、苦笑い)。川久保はトヨタの創始者を演じてるんですけど、道理でレクサスに似てると思った」と、このコメントに会場は大爆笑。『ウルトラマンネクサス』にひっかけてのギャグだったのだが、この意味がわかるなんて、この日来ていた年配のお客さん、もしかして特撮ファンだったのでしょうか?
『TAKAMINE ~アメリカに桜を咲かせた男~』は、5月28日(土)より有楽町スバル座ほか全国順序ロードショー。
2011/05/30 0:03