ピンク・レディー 10曲を熱唱し初陣を飾る

ピンク・レディー

2011年3月31日、ピンク・レディーが再始動後初めてのコンサート「初陣式」を赤坂BLITZで行った。

ピンク・レディーにとっては、3月31日という日は特別な意味を持った日である。後楽園球場で解散コンサートを行ったのがちょうど30年前のこの日。また、ピンク・レディーが初めてコンサートを行った日も1977年のこの日である。30年という節目に、3月31日というこの最も大切な日に行うコンサート。このイベントを「初陣式」と名付けたことにピンク・レディーの揺るぎない決意が伝わってくる。これは一時的な復活ではない。ピンク・レディーの新たなる出発の幕開けである。

東日本大震災の影響もあり、ミー(53)とケイ(53)は開催するべきか中止にするべきか、かなり悩んだという。しかし、今自分たちにできることは、ピンク・レディーとしてステージに立ち、一つ一つの曲をピンク・レディーらしく届けることだという結論に達し、チャリティーとして開催を決意。イベントの電力量も通常のライブの10分の1に抑えて節電に努めた。この日、ピンク・レディーは「元気の輪が日本中に広がれば」と願い、心を込めて全10曲を歌い、訪れた1200人のファンを熱狂させた。

「渚のシンドバッド」のゾクゾク感は健在

筆者もこの「初陣式」に一観客として参加させてもらったが、まるで夢の中にいるような最高のひとときであった。ピンク・レディーをこうして生で見たのは初めてだが、20世紀最強の女性デュオは本当に凄かった。きらびやかなミニのワンピースにロングブーツという姿でステージに登場したときのその何というかっこよさ。一曲目「ペッパー警部」の独特の振り付けにはただならぬカリスマ性を感じた。「渚のシンドバッド」の”セクシー”というところのあのゾクゾク感は今も健在(生だと感動が違う!)。全く年を取ったように見えず、歌唱力もダンスも30年前から何も衰えていない。ぐいぐいと引き寄せる圧倒的な吸引力があった。

ピンク・レディーがこの会場を選んだことも良かったと思う。赤坂BLITZはライブハウスであり、1階席はオールスタンディング。ホールやアリーナで見るライブとは違い、アーチストと観客の距離はきわめて近い。バックバンドもギター、ベース、ドラム、キーボードというシンプルな4ピース編制にまとめ、バンドならではのライブのグルーブ感を引き出していた。観客は全員歌を聴きながら一緒に歌って踊り、とにかく最後まで熱かった。アーチストと観客みんながひとつになってライブを肌で感じられるこの魅力は、ライブハウスでしか味わうことができないものだろう。

中には、この日のためだけにわざわざアメリカから来たというデビュー当時からの熱心な外国人のファンもいた。客層としては老若男女幅広く、その中でも20代が目立った。YouTubeなどインターネットでピンク・レディーの映像を初めて見てファンになったというIT世代の若者たちである。ピンク・レディーの音楽は時代を超えて愛されているということだ。

ミーの衣装が12万円で落札される

チャリティー・オークションのコーナーでは、サイン入りTシャツ30人分と、ミーとケイが実際に着用していた衣装が出品された。オークションがイベントの約半分を占めていたが、ミーとケイのトークが愉快で、ミーが進行しながら、ところどころでケイがボケるという漫談的な趣があって40分という長い時間も飽きさせなかった。

ミーの衣装は若い女性姉妹が12万円で落札、ケイの衣装は30代後半くらいの男性が10万円で落札した。しかしこれは、もう一声かければまだまだ高値で取引できたと思われる。手持ちの現金払いだったため、観客の財布事情を案じつつ、時間の都合もあって、ミーは12万、ケイは10万で遠慮した形である。

ミーの衣装を落札した姉妹は「私たち2人ともミーの大ファンなんです」と興奮気味に喜びを語っていたが、それを聞いたケイは肩を落とし、横でいじけた表情を見せ「大丈夫です! 私、大人なんで!」と苦笑いして観客の笑いを誘っていた。一方、ケイの衣装を落札した男性は「部屋に飾っておきます」と満足げ。ミーのファンは女性が多く、ケイのファンは男性が多いとはよく言うけれど、オークションでもその図式が再現されたことになる。

クライマックスは「マンデー・モナリザ・クラブ」

ピンク・レディーの代表曲である「S・O・S」、「ウォンテッド」、「サウスポー」がセットリストから外れていたが、半分がオークションだったことと、イベント全体の流れを考慮したらこのセットリストでも納得。「Kiss In The Dark」のミーのパワフルなシャウトから「マンデー・モナリザ・クラブ」へと続く一連の流れは圧巻で、ピンク・レディーというスーパーデュオの音楽性、振り付け、歌唱が完璧なまでに融合し、この日一番の拍手喝采が送られていた。

ライブ終演後、ピンク・レディーの2人はロビーで義援金を募り、観客全員と握手を交わし、一人一人に挨拶した。チケット代、オークションなど、この日の収益、集まった義援金はすべてA.C.P.C.(全国コンサートツアー事業者協会)を通じて被災地に寄付される。

見事、初陣を飾ったピンク・レディーは、5月21日(土)から日本ツアー『ピンク・レディー Concert Tour 2011 "INNOVATION"』(キョードー東京)を開始する。北は盛岡、南は熊本まで、22都市22公演を予定。残念ながら、被災地・仙台の公演は地震により機材が損壊したため中止となったが、現在対策を検討中とのことだ。

「いつまでも下を向いてはいられません。
私たちと一緒に踏み出しましょう。
精一杯の思いを込めて。
ピンク・レディー」

ライブの内容(全10曲を歌う)
-ライブ開催にあたってのメッセージ上映(東日本大震災のこと)
1ステージ中央の壁が開き、ピンク・レディー登場
「ペッパー警部」(この曲のみステージ奥の壇上で披露)
2「UFO」
-MC
ミー「ミーです」
ケイ「ケイです」
2人「ピンク・レディーです!」
ミー「今日この3月31日はピンク・レディーが解散した日でもありますし、ファースト・コンサートした日でもありました」
ケイ「そういう意味で今日は私たちにとって特別の記念日となります」
ミー「今日が私たちと皆さんがひとつになって出陣するときです!」
ケイ「この門出に明日の希望を信じて心を重ね合いましょう!」
-ステージにてチャリティー・オークション実施(約40分)
-USTREAM中継のために観客全員が手をつないでカメラにポーズ
-ミーの衣装の肩の紐が外れていたので、ケイがミーに駆け寄って紐を取り付ける。
3MC
ミー「恒例のマイクスタンドが出て参りました。踊れる方はぜひ踊っていただきたいと思います」
ケイ「ピンク・レディーらしく行ってみたいと思います!」
2人「渚のシンドバッドー!」
「渚のシンドバッド」
4「カルメン'77」
-一旦ステージ退場
-バンドのみによるロック・アレンジ「モンスター」が演奏される。ギター・ソロ、キーボード・ソロ、ベース・ソロ、ドラム・ソロをそれぞれフィーチャー。
5衣装変更して再登場
「BY MYSELF」
6「Strangers When We Kiss」
7「Kiss In The Dark」
8ベース・ソロ
「マンデー・モナリザ・クラブ」
「マンデー・モナリザ・クラブ」の最後のところでバンド紹介。ギター・ソロ、ベース・ソロ、ドラム・ソロ、キーボード・ソロをフィーチャー。
-MC
ケイ「30年前の今日、解散をし、そして30年後の今日、皆さんと一緒に生きている証を実感しています」
ミー「同じ時代に2人が巡り会えたこと。数々の楽曲を世の中に送り出せたこと。そして今こうして2人で皆さんの前にいられること。それは目に見えない大きな意味があるのだと今まさに感じています」
ケイ「これから先、皆さんと一緒にあらたな歴史を歩むことができたら幸せです」
9「OH!」(スクリーンには歌詞が映し出される)
MC
2人「皆さん、今日は本当にありがとうございました!」
-退場もなくその場で即アンコール
10ドレスを脱ぎ捨て最初の衣装に戻る
場内にいる人全員がイントロの手拍子をしばらくの間繰り返す
「ピンク・タイフーン(In The Navy)」
-深々と頭を下げ、手を振ってステージ退場

ピンク・レディー(大写真1)

ピンク・レディー(大写真2)

レポート:澤田英繁

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2011/04/02 6:39

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