不公平な計画停電に怒りの声
東京電力による計画停電について、停電する地域と停電しない地域があり、「不公平だ」という不満の声があがっている。計画停電の対象地域は、東京では23区のうち、足立区と荒川区の一部をのぞいて停電対象地域から外されており、まだ停電を経験していない人がほとんどだ。これに対し、近県の住民たちのストレスはたまっていくばかり。ネットのSNSやブログなどでは様々な怒りの声が飛び交っている。
現在は第1グループから第5グループに分けて3時間ずつ停電を行う形を取っているが、グループごとに世帯数は全く異なっており、一番多いグループと一番少ないグループとで世帯数が2倍から3倍も違っている。場合によっては1日に6時間停電になる地域もあり、事実上、負け組と勝ち組という言葉で言い表せるほど地域格差が発生している。3月24日には第1グループだけが計画停電対象地域となったことで以前から「死の1G」と言われていた対象地域の住民たちのイライラも限界にきている。直接のクレームだけでは満足できず、ネットでは抗議デモの呼びかけや、東京電力への集団訴訟を呼びかける動きもある。
当社編集部(所在地・所沢市)も計画停電の対象地域となっており、筆者もこの不公平さには不満を隠せない。編集部から10分歩くと清瀬市だが、清瀬市は計画停電の対象地域には入っていない。橋を挟んでこんなにも地域差があるのには納得できない。
夜、停電になると、信号もすべて消えるため、町全体が真っ暗になる。この3時間のために、営業できないファミリーレストランや店舗も多数あった。近くのコンビニエンスストアの惣菜コーナーでは、停電になっても食品が傷まないように手製のビニールカーテンがかけられていた。
真っ暗だと、何かしたくても何もすることができず、3時間という時間が通常の何倍も長く感じる。オール電化の家庭は一体どうなるのだろうか? ライフラインにも関わってくる。企業やお店は東京だけにあるものではなく、県内企業の経済的損失は大きい。
対象地域の多くの人が不満を感じているのは、計画停電と言いながら計画性がないこと、停電時間の長さ、会社や学校など、周りの人たちの多くが停電を経験していないことなど。停電を我慢できないわけではない。対象地域住民たちも被災した人には協力したい気持ちでいっぱいなのだが、同じ料金を払っているのに不公平なのが許せないようだ。
「一番電気を使っているのは東京じゃないか。それなのに、どうして俺たちが東京の電気の分を我慢しなきゃいけないんだ」と、停電のために一時休業を余儀なくされた自営業者は嘆いている。
「私たちがどれだけ苦労しているのかは、計画停電対象地域でなければわからない。この不満をぶつけても、被災地の人たちはもっと大変な思いをしているといわれたら返す言葉がない」とある住民は悔しさをにじませた。
「計画停電を実施されている地域の気持ちをわかってもらうためにも、いっそ大規模停電になって欲しい」という声もある。
中には、「どの地域も30分にすれば公平になる」、「それぞれの家庭で使用電気量の上限を設定すればいい」といった建設的な意見もあり、住民たちは政治家、市長、東京電力などに意見書を送っているようだ。
今度の夏と冬が懸念されるが、東京電力は「計画停電は皆さまに迷惑を掛けている。これをやめるのが最初だ」と話しており、今後の対策案が待たれるところだ。
2011/03/25 1:57