『トゥルー・グリット』14才の天才美少女ヘイリー・スタインフェルドが来日
『ノーカントリー』でアカデミー賞最優秀作品賞に輝いたコーエン兄弟の新作の公開が2作品控えている。2月26日公開の『シリアスマン』と、3月18日公開の『トゥルー・グリット』である。前者は前年のアカデミー賞、後者は今年のアカデミー賞で最優秀作品賞にノミネートされており、良い意味でにわかにコーエン兄弟ブームが到来しそうだ。
2月17日(木)、『トゥルー・グリット』に出演し、圧倒的な存在感で14才にしてアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされているヘイリー・スタインフェルドがPRのために来日した。
ヘイリーは、オーディションで1500人の中から選ばれた天才子役。教育ママを同伴しての来日で、まだ表情にあどけなさがある無邪気な14才の少女であるが、日比谷のペニンシュラで行われた記者会見の席では、記者に囲まれてもまったく物怖じしない大人の対応に記者陣も感心しきりだった。
私服だというシーバイクロエの可愛いワンピースを着こなし、「プラダとミュウミュウが大好き」というオシャレさんでもあるヘイリーは「昨日渋谷の町を歩いてとっても楽しかった! また明日も行こうと思ってます!」とにこにこ笑顔で嬉しそう。
「私の中で女優のイメージは、すごくグラマラスなものだったの。でも実際に映画に出てみたら、汚い服に土を付けられて、イメージとはほど遠かったわ。でもレッドカーペットでは綺麗なドレスを着ることができるから楽しみです!」と語っていたが、今月アカデミー賞はヘイリーが最有力とも言われており、授賞式にどういう衣装で登場してくれるのか楽しみだ。
「真の勇気(トゥルー・グリット)」を持つ保安官を演じたジェフ・ブリッジスは前年『クレイジー・ハート』でアカデミー賞の主演男優賞を受賞しているが、今年も『トゥルー・グリット』でノミネートされている。かつてアメリカで最も主演作品の多い映画スター、ジョン・ウェインが同じ原作の『勇気ある追跡』で同じ人物を演じ、生涯唯一のアカデミー賞を獲得したが、ジョン・ウェイン同様にジェフがこの役で受賞すればジェフにとっては2年連続の快挙となる。
記者からヘイリーに「ジェフ・ブリッジスと共演のマット・デイモンとでは、どちらが好きなタイプですか?」という質問があったが、ヘイリーは困りながらも照れながら笑顔で「答えられないわ」と返答。司会者が「ここだけの話ですよ。誰も見てませんよ」とどうしても聞き出そうとし、別の記者にも「君なら答えられるよ」とそそのかされそうになったが、ヘイリーは「いや、答えられないわ」とお茶目に舌を出して否定し、世渡り上手な一面を見せてくれた。
『トゥルー・グリット』は、父親を殺され、復讐を誓った14才の少女(ヘイリー・スタインフェルド)と彼女に雇われたふたりの男たち(ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン)の壮絶な追跡劇を描くドラマ。コーエン兄弟にとっては初の西部劇だが「西部劇を作るからには徹底的にこだわりぬいた」という。
公開オープニングでは『バーン・アフター・リーディング』を抜き、自身にとって歴代作品1位の好スタートを切った。そしてたった公開10日で『ノー・カントリー』の7千4百万ドルを抜き、コーエン兄弟最高の成績となった。記者会見を行った前日までに1億6千万ドルの大ヒットを飛ばしており、広義の西部劇(ドラマ、アクション、コメディ全部含めて西部劇の要素があるもの)としては『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の1億8千万ドルに次ぐ歴代2位をマーク中だ。現在も記録を伸ばしているので、アカデミー賞を受賞すれば歴代1位は確実のものとなるであろう。
全米でこれだけヒットしているのも、作品のできがよかったからに他ならない。『トゥルー・グリット』は、日本ではパラマウントの配給で3月18日(金)より、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他にて全国公開される。(文・澤田英繁)
2011/02/20 1:40