ジョシュ・グローバン、日本で初のライブは氷の上で

ジョシュ・グローバン&荒川静香

アメリカのポピュラー歌手ジョシュ・グローバンが、4年ぶりのオリジナル・アルバム『イルミネーション』("Illuminations")を引っさげて来日した。1月29日(土)には、六本木・東京ミッドタウンの仮設アイスリンクでスペシャルライブを行い、プロフィギュアスケーターの荒川静香と夢のコラボレーションが実現した。

このライブ、以前から詳細が大きく告知されていなかったため、どういった形でライブが行われるのか、イベント前からファンサイトなどでは色々と想像を膨らましていたようだ。参加できるかどうかは別として、とにかく行くだけ行ってみようと、朝10時から張り付いていた熱心なファンもいたが、ファンは場所を確保すると、アイスリンクの中央に置かれていたグランドピアノを見て胸を躍らせながらじっと待ち続けること7時間。この寒さの中、よく立って耐え抜いてくれた。

場内清掃が入り、だいぶ日が落ちてきたところで、リンクに荒川静香がリハーサルのため登場。ダウンジャケットとふわふわの靴下をはいて滑走し、スポットライト係に何度か調整の指示を出す貴重な姿がみられた。練習では4回ジャンプし、1回はすっぽ抜けてしまったが、他3回は綺麗に決め、客席から拍手が送られた。

完全に日が落ち、いよいよイベントがスタート。ジョシュ・グローバンが登場し、スケートリンクを歩いて中央のグランドピアノのところまで来ると、ファンに手を振って歓声に応えた。最初に歌ったのは新作『ヒドゥン・アウェイ 心を隠さないで』("Hidden Away")。ピアノの弾き語りである。歌い上げ、客席から喝采を受けると、MCが入り、ジョシュは「東京に来るのは久しぶりだ。温かいファンに迎えられて嬉しいです。日本が好きで、日本語も一生懸命勉強してるし、僕はナイトライフが好きで、夜の六本木で日本食を食べるのが大好きなんだ」と挨拶した。「東京でニ番目に好きなことは氷の上を歩いて歌うことだよ」というジョークに会場のファンも湧いた。荒川静香については「もちろん知ってるよ。僕も荒川静香の大ファンなんだ。これから僕は彼女を一番特等席で見られるんだよね」とコメントした。

続いて荒川静香が登場。今度は本番。衣装の色は期待どおりの青。『ユー・レイズ・ミー・アップ』("You Raise Me Up")の曲に乗せてイナバウアーを披露するなど、ミスのない美しいスケーティングで観客を魅了した。荒川はオリンピックのエキシビションでジョシュのこの曲に乗せて滑った経緯があるが、まさかこうしてジョシュがいる目の前で生歌に乗せて滑ることになるとは本人も夢にも思わなかったようで、演技のあと「CD、DVD、テレビで歌声を聴いていたので、こんな間近でスケートができて夢のような極上の時間を過ごすことができました」と興奮気味に語っていた。

MCが「ソチを目指していただいては?」と言っていたが、これには荒川も「そうですね。はい」と苦笑い。「もともとアイスショーとか、こうやって音楽を感じたままに滑るということに夢を抱いていたので、競技よりもやっぱりこの世界が好きですね。点数をつけられたり、評価をされたり、比べられたりという世界が私の性格上向いてないんですよね。緊張しちゃうんです。こういうところでは本来の自分のスケートがうまく出せるなという風に感じるので、本当にこうやって形のないスケートができるというのが私の好きなスタイルですね」と答えていた。ジョシュはすぐさま「僕は日本語がペラペラだから、日本語に訳さなくても今彼女が言ったことは全部わかったよ」と冗談を言っておどけてみせ、ファンを喜ばせた。

ワーナーミュージック宣伝担当は「リンクの上にグランドピアノを置いてのライブは日本では初めてじゃないでしょうか」と胸を張っていたが、奇しくもこの氷上のライブはジョシュにとって日本で初めてのライブとなった。この翌日に600名限定のプレミアムライブが控えていたが、ジョシュが「明日のライブ、来てくれる人は?」と問いかけると、ファンは大きく手をあげてアピールした。ジョシュは「いち、に、さん、し、ご」と日本語で人数を数えていた。

なお、荒川は、21日からスイスに立ち、2週間のアイスショーのイベントに出演予定。ドナ・サマー、キャサリン・ジェンキンスと共に彼女たちの生歌に乗せて、完成したばかりの新しいプログラムを披露するという。

最後にインタビューに応じたジョシュは、質問に「ハイ」と日本語で答えてから、「普段とは違うジャンルのアイススケートの中で第一線で活躍する方と一緒にできたことはスリルであり、インスピレーションでした。もともとすごく相性がいいものだと思うけど、なかなかこういうライブの形でコラボレートすることはできないから、その中でも一流の荒川さんとできて楽しかったです。また共演したいです」と話し、カメラに向かって満面の笑顔を見せていた。

『イルミネーション』は、ジョシュ・グローバンがレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、リンキン・パークをプロデュースした奇才リック・ルービンと組んだ意欲作。1月26日からワーナーミュージック・ジャパンより発売中だ。(文・澤田英繁)

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2011/01/31 1:41

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