ノリボケ漫才の旗手ハライチの新ネタ満載「ウラハラ」
今、ハライチの人気がめきめき上がっている。ひとつのネタにツッコミを入れるまで5分間もボケに乗せられてしまうという「ノリボケ」漫才を生み出し、M-1グランプリ2009・2010のファイナリストにもなった実力派コンビだ。先日1月10日(月・祝)、自身のDVD第二弾となる作品「ウラハラ」(発売元:Contents League、販売元:アニプレックス)を池袋のHMVでPRし、傑作ができたと自信に燃えるハライチの会見取材を敢行してみた。様々なネタづくりの裏話なども聞くことができたぞ。
ハライチのメンバーは、ボケ担当の岩井勇気(24)とツッコミ担当の澤部佑(24)の二人。幼稚園児の頃から連んでいたというまさに腐れ縁。岩井は漫才のネタを考えるブレイン。澤部は自分の童貞をネタにして女性ファンのハートを鷲掴み?するイジられ役だ。ツッコミまでに5分も続く壮大なるノリボケはハライチの真骨頂。互いにSとMの図式になってその相性は業界屈指レベルだ。
この日、それぞれ岩井は爆笑問題を、澤部はナインティナインを尊敬していることを公言していたが、憧れの芸人に近づくためにハライチも日夜まい進中である。去年にも増して人気は上がっていると澤部は胸を張っており、岩井はこれまでのノリボケに代わるまた全く新しい漫才を制作中だと期待も持たせていた。DVD「ウラハラ」にはその人気を不動のものにした「部活のエース」を含む抱腹絶倒のノリボケ決定版が3編と、ノリボケとは違った取って置きの新ネタを4編収録。小道具を活用した「ファンレター」、セミミュージカル漫才「ゆびきりげんまん」など、従来のノリボケを凌駕するほどの大ネタもあれば、「刑事」のような見る者を選ぶアバンギャルドな実験作もあり、これらのネタをどうジャッジするかはDVDを買った人次第といったところ。
澤部は本編よりも特典映像を見てもらいたいらしく、その中でも世界一臭い缶詰を食べる企画は、フタを開けた途端にハエが集まってきて、一週間その匂いが落ちなかったというある意味怖い物見たさ系の内容になっていて必見である。
ノリボケ誕生秘話について聞いたところ、岩井は「コメディスクール養成所で後輩がやってたのを見て、これいいなと思って」とボソリ。澤部はすかさず「それじゃパクったみたいじゃないですか」とツッコミを入れつつも「ふざけて書いて来たネタがあれなんですよ。今回それやろうじゃないかとふざけちゃえと思ってやったら案外良かったんですね。それまでは全然良くなくて事務所の人に怒られてたんですけど、やっぱり力みすぎるとダメなんですよ。リラックスしてる方がいいネタになるんですよ」と語っていた。
ドリームマッチのように誰かとコンビを組むなら誰と組みたいか?という質問には、澤部は「女性がいいですね」と即答。理由を聞けば、「女性と組んで、最終的には付き合いたいです」と彼女が欲しい願望はここでも健在だった。一方、「岩井君の相手にはお母さんがいいんじゃない?」と問うと、岩井は「お母さんとだと仲良すぎてネタがナァナァになっちゃう。ファミレスに行ってネタを考えてたら世間話になっちゃうから」と意外に真面目に持論を展開。マザコンであることが明るみになった。そんな岩井ママは、この「ウラハラ」のDVDを50本も買ったのだというからその親バカぶりもただものではあるまい。
岩井に澤部の良いところを聞いたところ、「一番の良いところは楽屋であまり話しかけてこないことです」と回答。何でも澤部が言うには、「俺はもっと話したいんだけど、話しかけて欲しくないオーラが出てるんですよ。本当はもっとコミュニケーションを取りたいんですけど。解散しちゃうかもしれないな」とのことで、想像以上に楽屋は居心地が悪そうだった。
これを受けて、2011年の目標は「解散しないこと」だったが、間を置いてから「あとは彼女を作る、僕にはこれしかない!」と澤部は切実に付け加えた。年末年始には勇気を振り絞ってキャバクラに行ったというが、モテナイ男の代名詞と言われるさすがの澤部もキャバクラではモテモテだったようで、印税をもらった暁には「またキャバクラに行きたい」という下心も露にした。そして調子に乗って「田中麗奈さんとAできたら最高ですね。そのままBまで行っちゃうんじゃないかな」と憧れの女優とイケない妄想まで膨らましていた。
蛇足だが、イベント会場には、かつて一緒に漫才をやろうと契りだけ交わした幻のハライチ・メンバーがひょっこり来ていて、客席の一番奥に古い相棒を目ざとく見つけた澤部は、イベント中もしきりにこの第三の男をいじりまくっていて、なかなか友情にあついヤーツだった。(文・澤田英繁)
2011/01/16 22:44