中森明菜、待望の「夜ヒット」DVD-BOXが発売中

中森明菜DVD-BOX

今、中森明菜が熱い。中森明菜が出演したフジテレビ「夜のヒットスタジオ」の完全保存板DVD-BOX『中森明菜 in 夜のヒットスタジオ』が発売されて、中森明菜熱が一気に高まっている。かくいう僕も今中森明菜にぞっこん夢中だ。僕は言わばユーチューブ世代の中森明菜ファン。「ユーチューブ世代」とは何か、これについては説明が必要だろう。僕自身の思い出話中心になってしまうが、そういうサイトなのでどうかご容赦いただきたい。

いや、僕はもちろん、中森明菜全盛の頃にもテレビでリアルタイムに見ていた世代である。しかし、僕はその頃はまだ小学生で、まず音楽にまったくと興味がなく、テレビでも見る番組といったらバラエティばかりだった。子供の頃は歌番組は食わず嫌いの大っ嫌いだったのだ。

・「スターどっきり」で見た中森明菜

そういうわけで、子供の頃の僕にとって中森明菜といったら、バラエティ番組の中の中森明菜だった。子供の頃、よく「スターどっきり(秘)報告」を見ていたが、その番組によく出ていたのが中森明菜だった。最も脳裏に焼き付いているのは、中森明菜が強盗に出くわして涙するといういたずらだった。泣き出したとき、なんだかすごく守ってあげたくなったというか。なんだかすごく可愛くて。ふわっとしたロングヘアにも惹かれたものだ。中森明菜は同番組で標的になった回数が最も多いスターだというけど、好きな子をいじめたくなる男子の心理というのはこれのことかと。みんな中森明菜が好きだった。「どっきり」の中森明菜に胸キュンして僕も子供心にイイなと思ったわけで。当時、特に好きな芸能人がいなかった僕は、姉や友達から好きな芸能人は誰かと聞かれたらとりあえず「中森明菜」と答えていた。実はまだ歌番で歌っている中森明菜を一度も見たことがなかったのに。

それから社会人になって、僕の趣味は音楽鑑賞になった。暇があればMTVやスペースシャワーTVを見ていたが、しかし、もう全盛期の人気歌番はとっくに終わっていて、ビデオクリップが主流だった。「夜のヒットスタジオ」などの歌番は、僕らにとっては長らく見たくても見られないものだった。

やがて、インターネットが普及し、ブロードバンドが一般的になると、ユーチューブという動画サイトが出てきた。ユーチューブは歴史を変えてしまうほど影響力のあるコンテンツだと改めて思ってしまう。ユーチューブでは、見たくても見られなかった映像を見ることができる。ユーチューブで初めて自分の知らない世代のスターの存在を知った人も多く、僕はユーチューブを通じてファンになった人を「ユーチューブ世代のファン」と命名した。

・「夜のヒットスタジオ」のクオリティにびっくり

初めてユーチューブで「夜のヒットスタジオ」の映像を見たが、そのクオリティの高さにぶったまげた。今まで様々なバンドやイベントのライブ映像を見てきたけど、これは別格ですごいなと。なんといっても生放送、生演奏、生歌。この臨場感は他にはない。調べてみたら68年から22年間も続いた長寿番組で、フランク・シナトラやポール・マッカートニーも出演したことがあるとのこと。すごすぎる! 芳村真理の自然体のトークも心地よく、歌番は数あれど、この雰囲気は他の番組にないもので、別格のオーラがある。この番組に出ることは歌手にとってステータスだったこともうなずける。

この番組で中森明菜が歌っている映像をユーチューブで初めて見たときには、体中に雷にうたれたような凄まじい電撃が走った。「DESIRE」を歌う中森明菜を何度も何度も何度も繰り返して見た。ぐいぐい引き込まれた。このときまだ二十歳だったなんて。

・なぜ今更DVD-BOXなのか

中森明菜活動休止というニュースを見てショックを受けたのは、偶然にも「DESIRE」を繰り返し見たその翌日のことだった。しかし、その直後に突然のDVD-BOX発表という嬉しいニュースも入ってきた。いろいろ憶測が飛び交ったけど、僕はあまり幸が薄いとかマイナス面ばかりで中森明菜のことを見て欲しくない。僕にとっては、このDVD-BOXこそ中森明菜を知る絶好の機会だった。僕が中森明菜のDVD-BOXを買った一番の理由は、ユーチューブの小さな画面ではなく、ちゃんとテレビの画面でじっくり見たいと思ったからだった。活動再開するまで、その隙間を埋める最大級のサービスだと思う。

DVD-BOXの映像は予想以上に高画質で、映像も非常にシャープ。欲を言えば10枚になってもいいから全映像を収録して欲しかったけど、権利問題でそうもいかなかったようだ。ジャニーズ、井上陽水、古舘伊知郎の顔出しはなく、「恋人のいる時間」、「ミック・ジャガーに微笑を」、カバー企画の「イミテイションゴールド」、「S.O.S.」、ジョイント企画やトーク部分など、入っていない映像も多い。とはいえ、ほとんどの問題はクリアしてあり、DVD-BOXには松田聖子、河合奈保子、小泉今日子、中山美穂、工藤静香も登場する。8時間よくぞここまで集められたものだと拍手したい。

・中森明菜のパフォーマンスに魅了されて

初出場の「少女A」の顔がふっくらした17歳の初々しい映像から、ロカビリー「Tokyo Rose」を歌う30歳の映像まで収録。同じ曲が何度もかかるが、毎回衣装が違うし、ライブなので同じ曲でも印象は異なる。トーク部分も一部収録してあり、できる限り中森明菜の魅力を余すところなく見せようという姿勢が感じられる構成になっている。歴史的映像が最良の状態で保存されていることにファンなら誰しも感動を覚えるだろう。

子供の頃どこかで聴いたことがあった「少女A」、「ミ・アモーレ」、DVD-BOXで初めて聴いた「禁区」、「TANGO NOIR」。その他、僕は出てくる映像すべてに興奮した。一曲一曲がことごとく素晴らしい。捨て曲なし。歌ってきた曲全部が名曲で、何を聴いても感動で胸が熱くなってくる。中森明菜は自分で曲を作っているわけではないが、純粋に歌い手として、数々の名曲に恵まれ、パフォーマンスでここまで人を魅了させることができるのかと驚かされた。シングルとしては珍しいカバー曲になる「難破船」にもその才能が如実に表れている。

曲ごとにがらりとイメージを変え、曲のひとつひとつに世界観があった。しかも衣装もメイクも振り付けも自分で決めるというからますます尊敬する。よく中森明菜はアイドルではなくアーティストだったと言われるけれど、僕も中森明菜は歌をアートの域に高めた人だと思った。

・アルバムとシングルのコンセプト

一度話を脱線するが、アルバムとシングルを分けていたところもアーティストらしいと思う。例えば「DESIRE」はシングル用の曲である。アルバムにはアルバムの流れの美しさがあるから、その世界観を維持するためにアルバムとシングルで別の世界を築いていたようだ。DVD-BOXを買ったあと、この数年のうちに出したアルバム「DIVA」、「Destination」も買ってみたが、いずれもトータルコンセプトがあり、声もますますかっこよく、お世辞抜きに素晴らしい傑作だった。聴いていると感動で思わず体中が震えてきた。今も変わらずアーティストとして歌い続けていることにすこぶる感動を覚えると共に、ああ生きてて良かったとまで思った。まだまだ世の中には僕の知らない素晴らしい歌手がいることを知った喜びと、20年以上前の音楽でもこんなに感動させられるということ。

今まで僕はチャップリンやビートルズにとことん熱をあげたことがあったけど、こんなに夢中になったのは10年ぶり。チャップリンもビートルズも僕が生まれる前の時代の人だけど、中森明菜は日本人で僕とも年が近く、しかも初めて好きになった女性の有名人ということで、僕は今までにないドキドキを覚えている。本気で好きだと言えるアーティストを見つけて、これから人生もっと楽しくなるなぁと大真面目に思ったものだ。

・中森明菜は「夜のヒットスタジオ」の華

2011年から、週刊シネママガジンは音楽ニュースにも進出する。そこで、僕は中森明菜こそ、本格的な音楽進出を宣言するに相応しいアーティストだと思い、ここに記事にした。中森明菜ほどの歌姫は日本には他にいない。「夜のヒットスタジオ」の出場回数95回は、番組初期から出場している小柳ルミ子、八代亜紀、和田アキ子、岩崎宏美に次ぐ。しかし17歳から23歳までのわずか7年の間に85回も出場していたことを思うと、それは月一ペースであり、その密度の濃さで言えば70年代の山口百恵を凌ぐ番組史上ナンバー1のはず。まさに中森明菜は「夜のヒットスタジオ」の華だったのだ。

「夜のヒットスタジオ」の最大の功績は、ともするとオープニングメドレーを企画したことかもしれない。ゲストの皆がそれぞれ他人の曲をリレーするというもの。DVD-BOXにはこの映像を網羅しているが、他人の曲をその本人の前で照れながら歌う中森明菜の表情が本当に愛くるしく、中森明菜の人柄の良さが映像に出ている。DVD-BOXはなかなか親切設計で、オープニングメドレーだけを一挙にまとめて見ることもできる。

・コンサートとスタジオライブの違い

コンサートのように観客の前で行うライブと「夜ヒット」のスタジオライブの違いについても書かせてもらう。「アキナ イースト・ライブ インデックス23」は僕のお気に入りのDVDだけど、これと比較してみると、「イースト・ライブ」の方は表情が硬くなく笑顔もとってもチャーミングで楽しそうだが、それに対して「夜ヒット」の方は独特の大作を見ているような緊張感にあふれている。どちらもそれぞれ違う理由で素晴らしい。明らかに差が出るのは照明とカメラワークである。

コンサートの場合、正面からの映像はどうしても望遠レンズでの撮影になるため奥行き感が薄くなる傾向がある。かといって奥行きを出すためにカメラが近づくと今度は下から上にあおるアングルになってしまう。それに対して「夜ヒット」はカメラが中森明菜と対等の高さと距離にあり、照明もカメラに最適化されているので、まるですぐ側で歌ってくれているような臨場感がある。また、「イースト・ライブ」では中森明菜の視線は客席に向けられているせいか、映像はどうしても客観的に眺めている気になってしまう。一方、「夜ヒット」では視線はカメラに向けられており、カメラとの距離感もほとんどなく、視聴者はまるで見詰められているような気になってくる。「TATTOO」で振り向きざまにこっちを見た瞬間、その視線に思わずドキっとしてしまう。

・嬉しい特典映像付き

このDVD-BOXにはうれしいおまけもついていた。なんと、前述した「スターどっきり(秘)報告」の映像が入っているのである。この特典は買ったときには知らなかったので嬉しかった。あくまで特典映像なので、完全版とはいかないけど、それでも番組の雰囲気は十分伝わるはず。プライベートの中森明菜が垣間見えるが、素顔もまたすごく可愛らしい。まったく気取っている感じや嫌味な感じがしない。また、FNS歌謡大賞の映像も入っており、そこで「夜ヒット」では歌われなかった「北ウイング」の映像を見ることができる。

僕はデビュー当時からずっと大ファンだったわけでもないのに、今ここで僕が好きだ好きだと書くのは、25年以上ファンを続けている人の目から見たらえらく罰当たりなことかもしれない。うん、偉そうに書ける身分ではないことはわかっているけど、でも本当にこんな僕でも好きだと書かずにはいられなかった。ファン歴はまだ浅いけれど、でもこの熱意は本気。僕も本当に明菜さんに恋をしたんです。(文:澤田英繁)

Amazonで『中森明菜 in 夜のヒットスタジオ』DVD-BOXを買う

【DVD-BOXの主な収録曲】

曲のタイトル収録放送当時の年齢
少女Aシングル17歳
セカンド・ラブシングル17歳
1/2の神話シングル17歳
トワイライト~夕暮れ便り~シングル18歳
禁区シングル18歳
北ウイング(※抜粋映像特典のみ)シングル19歳
十戒(1984)シングル19歳
飾りじゃないのよ涙はシングル19歳
ミ・アモーレシングル19歳
SAND BEIGE~砂漠へ~シングル19歳
SOLITUDEシングル20歳
椿姫ジュリアーナB面シングル20歳
DESIREシングル20歳
ジプシー・クイーンシングル20歳
Finシングル21歳
TERMINALまでのEVEミニアルバム「SILENT LOVE」21歳
TANGO NOIR(タンゴ・ノアール)シングル21歳
Back door nightアルバム「不思議」21歳
約束アルバム「CRIMSON」21歳
BLONDEシングル22歳
清教徒(アーミッシュ)B面シングル22歳
難破船シングル22歳
AL-MAUJ(アルマージ)シングル22歳
TATTOOシングル23歳
So Madアルバム「Femme Fatale」23歳
I MISSED "THE SHOCK"シングル23歳
BILITISB面シングル23歳
SOFT TOUCHアルバム「Cross My Palm」23歳
LIARシングル23歳
Blue On PinkB面シングル23歳
Dear Friendシングル25歳
スローモーションシングル25歳
二人静シングル25歳
Everlasting Loveシングル27歳
月華シングル29歳
愛撫シングル29歳
Tokyo Roseシングル30歳

[PR] 戦国時代カードゲーム「秀吉軍団」好評発売中

2010/12/31 1:30

サイトのコンテンツをすべて楽しむためにはJavaScriptを有効にする必要があります。