『ばかもの』髪をバッサリ切った内田有紀に成宮寛貴もうっとり
10年ぶりに再会した彼女は片腕になっていた。女性が年上のカップル必見。生きること、愛することを描いた感動のラブストーリー『ばかもの』が公開初日を迎えた。主演は成宮寛貴(28)&内田有紀(35)。これ以上ないコラボレーションが実現した。
12月18日(土)、有楽町スバル座で行われた初日舞台挨拶には成宮、内田、金子修介監督(55)が登壇した。この日は他にも何十という映画が同時に封切られ、一年でも最も公開初日の作品が多い日となったが、『ばかもの』の客入りは盛況で座席は満席。成宮は「沢山映画が公開される中で『ばかもの』を選んでくれてありがとうございます。公開までに時間がかかったので、やっとこの作品が世の中の人に見てもらえるんだなというしみじみとした嬉しさで今この舞台に立っています」と感謝しきりだった。
二人の相性は公私ともに抜群。二人とも共演できて本当に撮影が楽しかったと語っていて、舞台挨拶中もぴったり息のあった掛け合いが見られた。
成宮は中学時代から内田有紀の大ファンだったといい、生徒手帳に内田有紀の写真を忍ばせていたという。その話を舞台挨拶でしようとしたところ、内田は頬を赤くして「またその話? もうやめて。困ってしまうんで」と照れ笑い。横で恥ずかしそうにしている内田を尻目に成宮は「今日、髪の毛切って来られたんですよ。僕が生徒手帳に内田さんの写真を入れているときの髪型にそっくりで、”昔の内田さんみたいですね”と言ったら、めっちゃ赤い顔して”恥ずかしいからやめて”と言われましたね」というと、内田は照れながら「35ですから」と言うと客席からどよめきがあがった。成宮は「真面目でストイックで、面白いし、可愛いし、内田さんと今回組めたというのは本当に良かったなって思いました」と、ほの字の様子だった。
成宮は、「内田さんとはドラマで一度共演してたんですけど、そのときとは全然違って、ドラマって時間もあるし、ある程度こだわらなくて、流れで行っちゃうこともあるんですけど、今回はしっかりこだわって、一歩ずつ階段をのぼっていく姿を見て、俺も内田さんの手を取って一緒に階段をのぼって行こうと、そういう気持ちにさせてもらえた女優さんでした」と続けたが、お世辞ではなく、本気で内田の演技に対する姿勢を尊敬している様子がうかがえた。
一方、内田は、「やっぱり役者で芝居をして心を通わせるというのは、当たり前のようでいてすごく難しいなと思いまして。今回は壮絶なラブストーリーで、本当に素敵な原作ですので、それに負けずにあますところなく伝えて行きたいと思ったので、成宮くんとこういう芝居ができて、相手になってもらえて、私はすごく甘えてましたね。色んな話をしたし、撮影がないときも成宮くんどうしてるのかなとすごく考えてました」とちょっと恥ずかしがりながらコメントしていた。
「本当に私が思うに、ヒデよりも額子のほうがヒデを愛してたと思っていたので、私はできれば成宮くんを大きく包んでやりたいなと思っていたんですけど、逆に成宮くんにすごく助けられて。ドラマで共演したときから演じることが大好きな人だなという印象だったので、私もそうなので、芝居をすることに対して誠実に向き合いたいと思ってますので、成宮くんと一緒にいた時間は本当に幸せな時間でした」との真剣なメッセージには成宮も思わずドキッとした様子だった。
金子監督はこの二人を見て、「やはり、俳優さんと現場で付き合ってる時間というのは人生の一部なんですけど、映画を凝縮した時間じゃないですか。そこに二人の絆なり演技力なりが一個の結晶になっていく姿を僕は最初に見れたのは幸せでした」と満足げに語っていた。
また、金子監督が内田有紀を起用した理由について話が及ぶと、「内田さんは以前から注文してて。『キャッツ・アイ』を見たとき、あれは林海象さんが撮ったんですけど、僕が撮った方がいいんじゃないかと思ったんですよ」とコメントして会場を沸かせた。メイン劇場のスバル座では、かつて監督は奥さんと『ストレンジャー・ザン・パラダイス』をデートで見て、そこに松田優作さんがいて声をかけてもらった思い出があり、スバル座で初日を迎えたことに感無量という面持ちであった。(文・澤田英繁)
2010/12/20 1:54