村上春樹『ノルウェイの森』を映画化。日本映画でビートルズの音源を初めて使用
12月11日（土）日比谷にて、『ノルウェイの森』の初日舞台挨拶が行われ、松山ケンイチ(25)、菊地凛子(29)、水原希子(20)、玉山鉄二(30)、トラン・アン・ユン監督(47)が登壇した。
菊地、水原は、それぞれ映画のイメージカラーである赤と緑の着物を着て艶やかに登場した。これまで数々の海外の映画祭に出席してきた菊地は「終わった後の余韻を大事にしたい作品だと思っています。それなのに私たち、ここに出てきちゃってますが」と舞台挨拶にツッコミを入れるほど場慣れしたものだが、水原はこうして初日の舞台に立つのは初めて。照れ笑いしながら「初演技で初映画なので、わからないことだらけですごいドキドキしてるんですけど、楽しんでいただけましたか？ 皆さん一人一人に感想を訊きたいです」と初々しい表情だった。
ベトナム出身フランス育ちのトラン・アン・ユン監督は前作『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』に続いて日本人を演出。「この日は私にとって大切な日になると思いました。原作を読んだときから、すぐ映画化したいという思いがわいてきまして、日本で、日本語で、日本の役者で撮りたいと思いました。ですから今日日本で公開されることは、他の国で公開されること以上に私にとって非常に印象深いものがあります。これからたくさんの方達が映画を見てくださると思うんですけど、日本でこの映画を見た響きが外国にも伝わって行くんじゃないかと思います。私が期待するのはそこのところです」と満面の笑顔で挨拶していた。
大河ドラマの主演も決まり、続々と主演作が控えている松山は、「今その人が、人それぞれ、自分の中でベストな愛し方をしているんだと思います。でも少し時間が経つとそれがベストじゃなくなったりするんですね。それはやっぱり自分自身が成長したり、愛についてもう少し考えが深くなっている証拠だと思うんですけど、どんどんそういう意味で『ノルウェイの森』自体も皆さんの見方によって深くもなるし、新しいものを与えてくれるものになると思います。良い意味で『ノルウェイの森』を自分のものにしていただきたいなと思います」とコメント。満席の客席を見回し「僕ら、大ヒットとするつもりなんで」と冗談ぽく語る中にも確たる自信をのぞかせた。
『ノルウェイの森』は村上春樹のベストセラー小説を映画化したもの。台湾の有名な撮影監督マーク・リー・ピンビンが参加。音楽はレディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドが作曲するという国際色豊かなスタッフ編成で製作され、すでに50ヶ国以上で世界公開されることが決定している。音楽ファン向けに随所に用意された心憎い演出も見どころのひとつであり、主題歌には世界で最も愛されているロック・バンド、ビートルズの同名の名曲がオリジナル音源のまま使用されている。世界公開される日本映画としてはビートルズの音源が使われるのはこれが初。東宝配給で現在日本公開中だ。（文・写真：澤田英繁）
2010/12/13 1:30
