『バトル・ロワイアル』が今度は3Dとなってセンセーションを巻き起こす

『バトル・ロワイアル3D』

『バトル・ロワイアル』が公開されたのは2000年。今からちょうど10年前になる。当時は中学生が殺し合うというストーリーがセンセーションを巻き起こしたものだった。

だいぶ話がずれるが、これには筆者にも特別の思い入れがある。まだこのウェブサイト「週刊シネママガジン」も開設されたばかりで無名同然だった。より映画の世界に近づきたいと思って、僕は単身、ほぼ無一文同然で東京に飛び出してきた。雪が降っていて、泊まる場所もなく、寒かったから、僕は映画館で寝ようと思って、そこで入った映画館が今も健在の渋谷東映で、見た映画が『バトル・ロワイアル』だった。

当時は今のように入れ替え制は主流ではなく自由席だったから、一回分の料金で何時間も居座ることができたので、僕は続けてこの映画を3回も見た。寝るために入ったのに、面白かったので夢中で見いったものだ(ヒロインの前田亜季が可愛かったなあ)。

それから10年。改めてキャストの名前を見てぶったまげた。出演している中学生たちがみんな今では第一線で活躍している役者ばかり。こんなに豪華キャストだったっけ?と驚いた。いや、当時はまだ売り出し中だったわけだから、図らずも豪華キャストの映画になったわけだ。

これが今年、3D映画『バトル・ロワイアル3D』になって復活し、現在公開中である。10年前は諸事情により叶わなかった世界配給も実現した。もともとこの作品の「完全デジタル化」は以前から考えられていたものだが、映像・音をデジタル化する際、「ここまできたら3Dにしようじゃないか」といって、3Dに踏み切ったと片岡プロデューサーは話している。3Dとしたことで、この映画はリバイバルではなく、新作扱いとして良いだろう。この問題作が10年の時を経てまた新たなセンセーションを巻き起こすか興味深いところである。

僕の取材した感じでは、新生『バトル・ロワイアル3D』の初日に来ていた観客の多くは(僕も含めて)、リアルタイムで初代『バトル・ロワイアル』を体験してきたアラサー世代が一番多かったように思う。公開3日後の11月23日には僕が10年前にこの映画を見た場所と同じ場所で山本太郎さん(35)が舞台挨拶に立った。山本さんは公開当時、キャストの中では僕が唯一人知っていた俳優だった。

山本さんは「あの中では僕が一番オヤジでした。どうしてこんなところに25歳の人がいるのかという感じでした」と振り返っていた。片岡プロデューサーはこの役に25歳の俳優を使うことに猛反対したらしいが、今は亡き深作欣二監督は「太郎をおろすなら俺も映画をやめる」と言い張ったとのこと。山本さんは「この言葉をいただいたときにはもう死んでもいい、いや、逆ですね。”生きたい”と思いました。もし僕がおろされたとしても、監督の気持ちだけでも十分でした」と興奮気味に語っていた。

3Dになって、新しく土屋アンナさん(26)が主題歌を歌うことになった。片岡プロデューサーは「深作監督は祭りが大好きで、こんなにパワーをくれるのは祭りしかないとよく言ってました。アーチストの中では祭りのようにパワーをくれる人は土屋さんしかいないです」と起用した理由について語っていた。土屋さんは「祭り好きです」とノリノリで、ステージのカーテンの中に隠れたり、とってもお茶目。「私はいつも学校をどうやってサボろうかと考えてたけど、うちの母ちゃんがPTAの会長だったので、すぐバレるんですよ」と笑いを誘っていた。このノリノリの土屋さんが歌うヴェルディの『レクイエム』にぜひ注目を。

『バトル・ロワイアル3D』は11月20日から東映配給で公開中。(文・澤田英繁)

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2010/11/27 20:21

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