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東京国際映画祭の醍醐味は観客と映画人の交流である

『ブッダ・マウンテン』

東京国際映画祭(以下TIFFと略す)の大きな魅力は、一般の観客と映画人が直接交流できることである。毎年TIFFでは何百本という映画が上映され、その上映後には映画を作ったスタッフやキャストたちに直接質問をすることができる。作り手の本音が聞かれるなかなかない機会なので、映画ファンならぜひ参加してもらいたいものである。

例えば、今年のコンペティション部門に出品している『ブッダ・マウンテン』では、監督のリー・ユーがなかなか面白い発言をしていたので、ちょっとここで引用させてもらおう。

『ブッダ・マウンテン』はベテラン歌手と、彼女と共同生活を始める若者たちの交流を描いた中国映画。ラストシーンには結末がはっきりと描かれておらず、登場人物がどういう行動を選んだのかは観客の想像に委ねられている。しかしその日の上映後、ある観客が監督にこの結末の真相を知りたくて明確な答えはどちらなのかと質問していた。

監督の答えは、「私の方が観客のご意見を聞いて見たいところです。映画を見てどう感じたか、どう思ったかというのは一人一人違う。それでいいと思います。もし明確な答えを映画を通じて出してしまったら、例えば、この人は良い人、この人は悪い人、そういう風に確定した明確な答えを出してしまうような映画を作ったとしたら、それは映画を製作するものとして失敗だと思っています。映画というのはいろいろな理解があってもいいと思うのです。様々な理解が存在することが映画というものの魅力だと思うので、結末を自由に考えられるような余韻を残す映画がいい映画だと思っています。どちらにも解釈できるラストですが、これは結末を観客に想像する余地を与えるよう演技してくださったシルヴィア・チャンさんの経験に導かれた結果だと思います」だった。

中国の反日感情が強まる中、今年のTIFFは中国映画人が開会式をボイコットするなど一悶着あったが、リー・ユー、チェン・ボーリンらはボイコットせず(シルヴィア・チャンだけは別の理由でカーペットを歩かなかったが)、日本の映画ファンから温かく迎えられていた。(文・澤田英繁)

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2010/11/01 1:08

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