第三の鉄男の座を勝ち取ったエリック・ボシック吼える

鉄男 THE BULLET MAN

5月22日(土)、渋谷にて、『鉄男 THE BULLET MAN』の初日舞台挨拶が行われ、監督の塚本晋也(50)と、メインキャストのエリック・ボシック(37)、桃生亜希子(34)、中村優子(35)、ステファン・サラザン(51)が登壇した。

『鉄男 THE BULLET MAN』は『鉄男』シリーズの3作目。塚本監督が「次はアメリカの『鉄男』を作る」と約束してから17年。作ると言っておいて、あんた一体いつ作るんだよと言われながら、ようやくその約束を守ることができた。その間に塚本監督は世界的にカルト的な人気を得ていたので、この3作目は全編英語台詞という今まででも最も豪勢な作りになった。

去年からベネチア映画祭のコンペティションに出品するなど、主に映画祭で公開してきた本作もついにこの日めでたく初日を迎え、これを盛り上げるべくメインキャストも塚本のもとに集結した。塚本は一緒に客席から映画を鑑賞したといい、「今見たけど、これチョ〜イイっすね」と終始ご機嫌。映画館のボリュームレベルは、通常は6に設定されているが、塚本は9にあげて上映。「いつでも音を下げられるように横で準備していたんだけど、客席が満席で音がまるくなって、ほどよくでかい感じになって良かった。次は10でやるしかないね」と話していた。

この映画、とにかく音がでかい。映画祭の映画館ではスピーカーが破裂するという伝説も作った。そのけたたましいサウンドとBGMには思わず胸がぞくぞく。これは体がビートに乗って動いてしまう、ある種のロック映画といってもいいかもしれない。ラストではナインインチネイルズのテーマ曲がしつこいくらい流れていた。

このシリーズについては、実は15年くらい前から続編の話が海外から来ていたことも明かされた。塚本は「実はディズニーからも話が来ていたんです。ディズニーって!いったいどんな映画になるんだろうと思ったけど、実は僕はそれも乗り気だったんです(会場笑)」という意外なエピソードも披露した。

それまで、ジョニー・デップやティム・ロスの主演の話も出ていたというが、主演の座はエリック・ボシックが射止めた。エリックは日本語がぺらぺら。「This is TETSUO!」と雄叫びをあげて観客のハートをがっちり掴んでから「日本のシネマアイコンはゴジラと鉄男です。鉄男になれて光栄です。ありがとうございます」と挨拶した。司会者もなかなかトークがうまく「エリックさん、ジョニー・デップやティム・ロスに”勝った”感想を一言」と質問していたが、エリックは「あの人達は古い!(会場笑)」と余裕たっぷり。それにしても「エリック・ボシック」って名前からしていかにもオーラが違いますな。アラン・ドロン、ヘルムート・バーガー、イーサン・ホークなど、売れる俳優は皆名前からしていかにもかっこいいもの。エリックの今後の活躍にも大いに期待したい。

綺麗な黒髪のロングヘアが色っぽかった桃生は、本作を「世界に通用するかっこいい映像」と自己評価。「監督は思った以上に素敵な方で一緒にお仕事をしたいと思って、役が決まったときは、英語もぺらぺらでもなかったのですごいチャレンジでした」と挨拶した。

なおこの日、重大発表として、本作のアメリカ公開が決定したことが明かされた。もともとアメリカを視野に入れて作っていたために塚本監督も「念願叶って」と感動もひとしおの様子。全米配給はIFC FILMS。アート系の良作を公開して定評がある会社である。5社以上の争奪戦の末に決定したとのことで、これで世界的な成功は確実なものとなったのではないか。

母国公開決定に気をよくしたエリックは「次回作はデ・ニーロ主演で作ろう。タイトルは『鉄男THE GOD FATHER』で」と提案。塚本監督も調子にのって「デ・ニーロが悪役の親分で、ニューヨークの組織を動かしているんだ」と早くも構想を膨らました。このやりとりに鉄男フリークは大爆笑だった。

『鉄男THE BULLET MAN』は、アスミック・エースの配給で、渋谷・シネマライズほか全国ロードショー中。(文・澤田英繁)

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2010/05/24 1:40

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