『てぃだかんかん』お笑い芸人・岡村隆史が父親役を真面目に熱演
4月24日(土)、新宿にて、『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』の初日舞台挨拶が行われ、主演の岡村隆史(39)と松雪泰子(37)、子役の比嘉奈菜子(10)と金城琉斗(6)、監督の李闘士男(45)が登壇した。登壇したキャストの4人は劇中では家族役を演じている。
『てぃだかんかん』は、沖縄で世界初養殖サンゴの移植・産卵の奇跡を成し遂げた金城浩二の原作を映画化した感動の実話。李監督は映画化が決まったところで岡村隆史を主演に撮ることを考えていたといい、沖縄とダイビングが大好きだという岡村は話が来るなり、すぐに出演をOKしたという。
テレビではいつもいじられまくりの芸人・岡村だが、今回は真面目に役者として仕事をしており、舞台挨拶では「ムービースター岡村隆史です。いつもと違う岡村隆史を見せられたという気がしています。ムービースターの私はいかがでしたか?」とすっかりムービースター気取りだった。しかし一方で「これを見てプライベートも充実させていきたいと思いました」と家庭を持ちたい気持ちも募った様子。
李監督の作品としては『デトロイト・メタル・シティ』に引き続き松雪泰子が出演しているが、舞台挨拶では松雪が岡村を殴るシーンについての話題に及び、松雪は「監督から本気で殴ってと言われました。大切なシーンですから、もちろん本気でやっています」と話していたが、岡村は「あの撮影の日は朝からずっとへちまを持っていて、松雪さん、怖かったです。二発目か三発目か忘れましたが本気であたっていて、びっくりするしかなかった。こんなに来るんだと思って。松雪さん、怒ってる?って思いました」と振り返り、李監督も「『デトロイト・メタル・シティ』の社長っぷりをわかってるから、あのときは一番重いへちまを持たせました。松雪さんはスナップのきかせかたがうまいんですよ。岡村さん、本当に驚いている感じでしたね。あれは衝撃的でした」とうなずいていた。
再び家族4人が再会したこの日、子役2人から岡村と松雪に手紙が贈られた。琉斗は家族4人の絵と「大好き」と書かれた手紙を岡村に贈ったが、岡村は自分の絵の髪の毛が薄いことにちょっとがっかり。岡村は「下書きしないで描いた」と耳打ちで自慢する琉斗に「天才やな」と褒め言葉を贈ったが「別に」と返され、そのやりとりはまるで本当の親子のようだった。
比嘉奈菜子は、「岡村さんはテレビでいつも面白いことをして笑わせてくれますが、撮影中はとても真剣でした。松雪さんはいつも天使のような笑顔で優しくしてくれました。家族4人がひとつになって抱き合うシーンは私にとって大きな宝物になりました。つらくて泣きそうなことがあっても、大きな宝物を心に持っているので、自身を持って前を向いて頑張ります。大好きな岡村お父さん、大好きな松雪お母さん、お仕事忙しいと思いますが、体に気をつけてがんばってください」と声に出して手紙を読みあげた。それを見守っていた松雪の笑顔はまるで本当の母親であるかのようで、それは何とも温かい光景であった。
家族4人が抱き合うシーンは、本作のまさにクライマックス。岡村自身も「僕も泣きそうやったんですけど、お父さんとして泣いたらあかんと思ったんですけど、家に帰ってもうるうるしてました。感動をありがとうございました」と感無量の様子だ。
最後に岡村は「この映画は、奥様に優しくできる、背中をポンと押してもらえるような作品になっていると思います。僕がこんな素敵な作品に出るのはこれが最初で最後。また妖怪に戻ろうと思っていますので(会場笑い)、2回3回劇場の方で見ていただけたらと思います。ありがとうございました」と挨拶し、お笑い芸人の顔としてではなく、俳優としての顔で終始一貫していた。
現在、『てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~』はショウゲートの配給で全国ロードショー中。(文・澤田英繁)
2010/04/26 6:01