はるな愛ら花嫁（希望）軍団を地で行く『映画クレヨンしんちゃん』初日舞台挨拶

クレヨンしんちゃん

4月17日（土）、有楽町にて『映画クレヨンしんちゃん超時空！嵐を呼ぶオラの花嫁』の初日舞台挨拶が行われ、レギュラー声優の矢島晶子(42)、ならはしみき(50)、藤原啓治(45)、こおろぎさとみ(47)と、ゲスト声優の黒沢かずこ(31)、椿鬼奴(38)、いとうあさこ(39)、はるな愛(37)が登壇した。

毎年100万人以上の観客を動員してきたファミリーアニメ『映画クレヨンしんちゃん』も何とこれで18作目。原作については今年で生誕20周年になる。原作者・臼井儀人は去年9月に登山中に崖から転落して急逝、多くの国民を悲しませたが、その不幸を乗り越えて新作の登場である。今回は野原しんのすけが未来にタイムスリップし、未来都市ネオトキオで未来の婚約者と共に大冒険を繰り広げる。

『映画クレヨンしんちゃん』のゲスト声優選びは毎年恒例である。今年は森三中の黒沢かずこ、椿鬼奴、ハリセンボンの近藤春菜、いとうあさこ、はるな愛らお笑いタレント中心に5人が選ばれた。彼女たちが演じるのは花嫁軍団もとい「花嫁（希望）軍団」。花嫁になりたいけどなれないちょっと残念な役どころである。今回はみんな地で行けるだろうということで、セリフはすべてアドリブとなった。本当に結婚したい彼女たちの魂のこもった叫び声は鬼気迫るものがあるだろう。

舞台挨拶には春菜を除く4人が出席。念願のウェディングドレスを着てしんちゃんのエスコートでバージンロードを歩いた。4人それぞれ思いの丈を叫びながらブーケ・トスしたが、はるなのブーケは空中でバラバラに散ってしまうハプニングに見舞われ会場は爆笑の渦に。続いてしんのすけが4人の中から花嫁を一人だけ選ぶことになり、しんのすけは少し迷ってはるなを選択。ガッツポーズするはるなの横でしんのすけは「なんとなく一番いい匂いがしちゃったから」とくねくねしていたが、他の3人から「この人おじさんだよ！」と言われて「あ！そうだった！忘れてた！」とうなだれていた。しかし最後には「この機会にこのお姉さんたちに素敵な花婿さんを紹介してください」と軍団を気遣っていたしんのすけだった。

お笑いタレントたちが自虐ネタで大いに盛り上げたイベントだったが、一番活躍していたのはやっぱりしんのすけ。着ぐるみの演技と声優の鮮やかな連携プレーは見ていて思わず感心してしまうほどである。矢島晶子のアドリブの面白さといったら、さすがこの役を18年続けているだけのことはある。矢島は『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキン、『シックス・センス』のハーレイ・ジョエル・オスメントの吹き替えなど、少年役も美少女役も得意としてるが、しんのすけの役となるとオーラが違う。放送開始当初はまだ試行錯誤していた段階だったので、今から当初の声を聞くと声が全然違っていることに逆に驚かされるが、しんのすけというキャラを一度確立してからは、イメージが完全に完成されており、もはや敵無しといった感じだ。舞台挨拶では黒沢が声真似をして、しんのすけから「もう少し吐きそうな感じで言ってもらうといいよ」と指導を受ける一幕も見られたが、このように矢島の声は思わず真似をしたくなるような声であり、すっかり国民にとって愛着のある声になった。『ドラえもん』が国民的アニメになったように『クレヨンしんちゃん』も同じ道を通っているが、こういうファミリーアニメの成功は矢島のような芸達者な声優の演技があってこそ成し得たものだと実感させる、ある意味ではとても深い舞台挨拶だったのではないだろうか。

『映画クレヨンしんちゃん超時空！嵐を呼ぶオラの花嫁』は東宝の配給で、現在全国ロードショー中だ。（レポート・澤田英繁）

ブーケ・トス1
ブーケ・トスのため、気を集中するはるな愛。しんのすけも「しー」のポーズ。