成海璃子 VS 北乃きい『武士道シックスティーン』
『武士道シックスティーン』が公開前から話題になっている。剣道に青春をかける女子高生を描いた人気小説の映画化作品だ。スポ根映画は数あれど、そういえば剣道映画はなかったように思う。しかも主人公は青春真っ盛りの女子高生2人。あったようでなかった新しい映画の登場だ。
ダブル主演を務めたのは、今最も注目されているティーンエイジャーの女優、成海璃子(17)と北乃きい(19)。成海は3才の頃から剣道一筋で育てられてきた努力タイプの役を演じ、北乃は楽しみながら剣道をやってきた天才タイプの役を演じている。成海を剛に例えるならば北乃は柔。タイプがまったく正反対のこの二人が好敵手となり、お互いに影響しあいながら成長していく様を、宮本武蔵と佐々木小次郎の戦いになぞらえて描いた最正統派スポ根ドラマである。
これの完成披露試写会が、4月4日(日)、TOKYO FMホールで行われ、成海と北乃が劇中衣装の胴着姿で舞台挨拶に立った。
主演作が続々と公開中の成海は、これまで天才的な役が多かったが、今回の役は普通の人であるところに惹かれたのだという。成海はこの役を自分そのものだと話していたが、しかし劇中では気迫たっぷりに「てめぇ」など不良言葉で演じており、大声で叫ぶシーンも多い。撮影も相当苦労したのではないかと思えば、成海は「苦労は楽しいことなので」ときっぱり。しかし陰では「こんなの自分にはできない」と泣いていたというからやっぱり女の子だ。本人はちょっとシャイで、喋り方もおっとり。舞台挨拶中もよく照れ笑いして手で顔を隠していた。
北乃は「ボクシングの映画では自分の中でやりきれずにちょっと後悔したことがあったので、剣道は今回はやるだけやったので悔いはないです」とコメント。初めての天才役ということで、いつも以上に気合いを入れて臨んでいたようだ。
相反する2人に友情が芽生えるところでは、北乃は「自分が中学のときに全然自分と違うキャラクターの子と仲良くなったことを思い出して、大人になるときっと自分と似たような人ばかりを友達に選んじゃったりするのかなと思うと、こういう学生時代が初々しくて、あまり選ばない感じで、こういう友達関係を今の10代の人に築いてもらえたら嬉しいなと思います」と話していた。
続いて、この映画のために主題歌『Together again』を書き下ろしたアーティストのMichi(25)が登場し、主題歌をライブで披露した。北乃は「映画のために曲を作ってもらったのはあまりないので、すごく嬉しい。アーティストとして、Michiさんが舞台に出る前に集中している姿がかっこよかったです。勉強になりました」とかなり興奮気味だった。Michiは「主人公の2人が反対すぎて面白かったです。自分はどっち派だろう? 璃子ちゃんに似てるかなと思って見ていました」と作品の感想を語った。この主題歌は「運命の出会い」がテーマになっているという。
『武士道シックスティーン』は、恋愛要素など余計な部分は排除して、剣道に勤しむ2人の女子高生を通して人間の本質、価値観を浮き彫りにした真剣勝負の一本。青春の1ページを鮮やかに映しだした「巌流島」の決闘シーンは一見の価値ありだ。ゴー・シネマの配給で、4月14日からテアトル新宿ほかにて公開。(文・澤田英繁)
2010/04/11 11:04