何もかもが型破り。壮絶SF映画『第9地区』が日本上陸

第9地区

3月24日(水)、お台場にて、『第9地区』のジャパンプレミアが行われ、主演のシャルト・コプリー(36)が舞台挨拶に立った。

『第9地区』は、舞台は南アフリカ、原作なし、主演俳優は映画初出演、監督も無名という悪条件の中、その独創性から全米で大ヒット。なんと栄えあるアカデミー賞の最優秀作品賞にノミネートされた話題作である。

コプリーは「SFファンとしては東京には一度は行きたかった。空港から東京に着いたときには『ブレードランナー』の未来都市を見ているようだったよ」と初来日の感想から語った。「僕は俳優を目指していたわけじゃないし、本当はプロデューサーとして本作に関わるつもりだったんだけど、監督がこの映画のテスト映像を撮るときに僕がキャラクターのひとりを演じて、それから数ヶ月してから監督が僕を主演に撮りたいと言ってきたんだ。監督はテスト映像を撮ったときから僕を主演に撮りたかったらしいんだけど、プロデューサーのピーター・ジャクソンからOKをもらうまで黙ってたんだって。自然な演技を引き出すために、この映画には台本がなくて、ストーリーの設定だけがあった。あとはこういう役でこういう状況だという説明だけを受けて即興で演じたんだ。僕は子供の頃から声の真似をして演じるのが得意だったけど、この仕事はとてもクリエイティブでアーティスティックな仕事だったね。ずっとハリウッドで仕事をしたい、映画を作って世界中に届けたいという気持ちがあったから監督が声をかけてくれたことで夢に近づくことができた。昔から憧れだったダスティン・ホフマンにも直々に褒めてもらったし、生活も変わったよ。リッツカールトン東京にも泊めさせてもらえるようになったしね」と終始ゴキゲンで、ファンにも気さくにサインしていた。

ストーリーは、帰れなくなった何百万というエイリアンが、南アフリカの難民地区で人間たちから迫害を受けながらも20年以上共生を続けてきたが、ついに歴史を変える大事件が起きるというもの。もともとはピーター・ジャクソンが製作、ニール・ブロムカンプが監督することになっていたSFゲームの映画化作品『ヘイロー』が企画の発端。この企画が頓挫したとき、ジャクソンはブロムカンプという有能な監督のデビューのチャンスをみすみす捨てるわけにはいかないと、あらたに『第9地区』を企画した。『ヘイロー』が頓挫した理由がスタジオ側にあったことから、今回は自主制作という形を取り、ブロムカンプに自由な制作環境を与えた。よって、完成した作品は商業性よりもクリエイティビティの高い作品となった。個々のシーンだけを取ってみれば『キング・コング』、『アイアンマン』、『ザ・フライ』など、どこかで見たことのある映像もなくもないが、しかし、これらが絶妙にひとつながりに絡み合い、実に独創的で勢いに満ちた、次に何が起きるかわからない壮絶なSF映画になった。実際に南アフリカの市民にインタビューし、宇宙人のことは伏せて、彼らに外国人について語らせることでリアルな反応を得て(宇宙人も外国人も英語では同じエイリアンだ)、まるで本当にエイリアンがそこにいるように錯覚させる疑似ドキュメンタリーの手法は見事の一語。SFファンの心をくすぐるギミックも満載である。

レッドカーペットには、ミニチュアのUFOが設置され、著名人ゲストも多く招かれた。こういうイベントではすっかり常連になったデーブ・スペクター(55)は『アバター』のCGよりも『第9地区』のCGを絶賛。「ここにもいっぱいエイリアン来てますよ。僕もエイリアン(外国人)です」とアメリカンジョークも絶好調だった。プライベート写真流出事件で映画界を一時引退していたエディソン・チャン(29)も久しぶりに公に顔を見せ、「僕はこの映画が大好きで何度も見てます」とPRしていた。

UFOにちなんで、「UFO」で一世を風靡したピンク・レディーのケイこと増田恵子(52)も登場。着ぐるみの宇宙人が「UFO」を踊って盛り上げたが、「可愛いです。とっても」と褒めつつも「もう少し本気でやるように」とジョークを言う余裕も見せた。この着ぐるみのエイリアンが気になったコプリーは、猛ダッシュしてエイリアンを掃討する得意の即興芝居を披露してみせ、観客を沸かせていた。

第9地区』は、4月10日(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー。

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2010/03/29 2:28

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