『時をかける少女』仲里依紗は恐竜そっくり?
3月13日(土)、『時をかける少女』が公開され、仲里依紗(20)、中尾明慶(21)、石丸幹二(44)、青木崇高(30)、石橋杏奈(17)、谷口正晃監督(43)が新宿ピカデリーで舞台挨拶を行った。
本作は、1983年に原田知世が主演し大ヒットした同名映画の続編といえる作品である。1983年版『時かけ』は、どちらかというとストーリーよりも原田知世の存在感が強く、言わば「女優・原田知世に恋する映画」だった。2010年版『時かけ』は、むしろ「ストーリーに恋する映画」。原田知世がどこにもいないおとぎ話から出て来たようなヒロインだったのに対し、仲里依紗はどこにでもいそうないかにも平成らしい今時のヒロインを演じており、その分感情移入しやすく、まるで本当にそこの世界の住人になったような気持ちで見られる作品になっている。相手役の中尾は、もう一人の主人公とも言える。大きな夢を抱く青年の役。男性の鑑賞者が共感することができるキャラクターである。新旧で好みは別れると思うが、そのタイトルに恥じない、全く新しい『時かけ』が誕生したのだ。
舞台挨拶では、中尾は「他の『時かけ』は見ないで、ゼロから築き上げていきました。僕と里依紗ちゃんのシーンがほとんどでしたが、お互いに人見知りだったので、コミュニケーションの取れない時間が結構あったのですが、作品自体に救われた感じです。作品を通して仲良くなっていけました」とコメント。仲は「『時かけ』は大きなブランドだったので背負っていくのが不安でしたけど、中尾さんが助けてくれました。最後なんで中尾さんのことは持ち上げておきます(会場笑)」と話しており、映画とほとんど変わらない二人の会話がなんとも微笑ましかった。
劇団四季を引退して初めての映画出演となった石丸は、「このシナリオをいただいたとき、唯一カタカナの名前、ケン・ソゴル。未来人? さあどうしようかと悩みまして、カメラの前で戸惑っていたのですが、仲さんの体当たりの演技が私の心を燃やしまして、私も”よっしゃ”と思いました」と仲の演技に触発されたことを明かした。
監督も仲の女優魂には心を打たれたようで、「現場では何度もノックアウトされることがありました。最初に仲さんがガニ股になるシーンがありますが、台本には一言もガニ股とは書いてなかったんです。仲さんが勝手にやってくれたのですが、思わずオッケーと言ってしまいました。本当にのびのびとやっていて、これこそ今回の『時かけ』だと思えた瞬間でした。そこが一番見てほしいところです。元気のいい『時かけ』ができてよかった」と話していた。
MCから登壇者に「タイムリープするとしたら、誰にどんな思いを伝えたいか?」と質問があると、中尾は「自分の父さん母さんが同じ高校だったので、そういうところをちょっと見てみたいです」と一度は答えておきながら「いや、やっぱり父さん母さんの恋なんて見たくないなあ!」と心変わり。返答に困って客席にどうしたらいいか助けを求めたところ「前に好きだった子に思いを伝える」と教えられて「じゃ、俺もそうしよう!」と答えていた。
原田知世と同じ役を演じた石橋は「2009年の12月に戻りたい。実家は福岡なんですけど、毎年31日は実家でカニ鍋パーティーをするんですけど、それが楽しかったので、もう一回したいので」と一番最近の楽しかった思い出を振り返り、中尾から「可愛いー!」と褒められていた。
全裸で芝居に挑戦した青木は「僕は自分のいない未来の世界を見たいですね。自分の葬式のときに現れて俺は生きてるよと驚かして帰りたいです。葬式に人が集まってなかったら悲しいですけど」とコメント。
いつも予測のつかない発言で観客を楽しませてくれる仲は、可憐に首をかしげて「うふふ。あたし結構恐竜(ヨッシーのことか?)に似てると言われるので恐竜の時代に行きたいです(会場笑)。恐竜って、緑とか赤とか色がつけられてるじゃないですか。だけど、写真とか絵が残ってるわけじゃないし、骨しか残ってないのに誰が色をつけたんだろうと思って。あたしは恐竜は全部黒だと思うんですよ(会場笑)。そのあたりを確認して本にしたいと思います(会場笑)」と並外れた想像力で不思議トークを展開、会場を沸かせていた。
『時をかける少女』は、スタイルジャムの配給で、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座ほか全国公開中。
2010/03/15 4:06