『パレード』初日トリプルおめでとう

パレード

2月20日(土)、渋谷にて、『パレード』の初日舞台挨拶が行われ、行定勲監督(41)、藤原竜也(27)、香里奈(26)、貫地谷しほり(24)、林遣都(19)、小出恵介(26)が登壇した。

この日は偶然にもめでたいことが3つ重なった。無事に初日を迎えられたことがひとつ。小出恵介と香里奈が26歳の誕生日を迎えたことがひとつ。そしてベルリン映画祭で本作がパノラマ部門54作品の中から見事国際批評家連盟賞を受賞したこと。行定監督はこの日の午前3時に電話で叩き起こされ、この報を聞いたという。出演者5人がこれを知ったのは舞台挨拶の直前だった。これを受けて映画館のホワイエで記者会見が急きょ開かれることになった。

行定監督は落ち着いた表情で「ありがとうございます。国際批評家連盟賞は最初の作品と『GO』でももらっていて、僕にとってはステップアップしたときにもらえる賞。三大映画祭なので嬉しかったです。映画の初日に受賞するなんて段取りが良すぎるというか風が吹いてますね」と感想を語った。本作は監督にとっては初の単独脚色作品。自分と同い年、同じ九州出身の吉田修一の原作作品の映画化ということもあって思い入れも大きいようだ。

香里奈は「さっき聞いたばかりで実感がない」と答えていたが、記者から「国際女優じゃないですか」と言われると首を振り恐縮しながら「がんばります」とコメント。藤原は「国境を超えて映画を見てもらうのは嬉しい」と話していたが、小出は「僕は恥ずかしいシーンがあるから世界中の人に見られるのはまずいですね」と冗談をいう余裕も見せた。

ベルリン映画祭では賞状に授賞の理由が書かれてあるのだが、行定監督はその理由について「わかりづらい人間関係、日本というものを、難しい表現を伝わるように作られていること。それと音楽の使い方が特出していることが書かれてありました。実際ベルリンの観客にも相当質問されて、ほとんど1曲の不穏な音楽が色々な場面に流れるんですけど、滑稽に見えてたものが変貌していく部分を含めての評価だったので、作っている意図が伝わっている気がしました」と説明していた。これはあくまで監督の記憶から語ったものなので、実際に賞状に書かれてあったことの意味とは若干違うかもしれないが、「監督本人の解釈」という意味では興味深い。

続いて舞台挨拶が開始され、監督・出演者らがスクリーンの前に登場した。ここで段取りミスがあり、なぜか全員の立ち位置がバラバラ。並び直しがあり客席からちょっとブーイングも出たが(好きな俳優が微妙に遠ざかるため)、予定では下手(しもて)に立つはずだった監督だけは上手(かみて)から動かなかった。「どこでもいいじゃない」の一言ですませられるのは監督様の特権です。行定監督は短い時間内にいつも密度の濃いコメントをしてくれるので、我々報道記者にとってはとても仕事がしやすいタイプなのだが、報道カメラマンはそれぞれの立ち位置を意識して最善のショットを撮るべく待機しているだけに、今回は監督が喋るたびに出演者が予定と反対の方向を向いてしまうことになってしまった。いつもネットチェックを欠かさないという行定監督。どうぞ今後はその点も心の片隅にとどめておくようによろしくお願いします(笑)

記者会見後に行われた舞台挨拶の内容についても、ほぼベルリン映画祭の話題だけで終始した。行定監督は「意外でした。こういう人間関係性を描いたものは外国には通じないと思っていました。モラトリアムという言葉自体もわからないというのを以前の作品でも感じていたので。実際上映しているときも物凄く受けが良くて、小出恵介のシーンは皆大爆笑でした。上映後のQ&Aの時も3分の2ぐらいが残ってくれて手応えを感じていました」と受賞の感想をステージで語り、出演者5人にベルリン映画祭から持ち帰った特製オリジナルTシャツをプレゼントしていた。

最後に小出と香里奈の26歳の誕生日を祝うバースデーケーキが登場し、客席からクラッカーを鳴らして一斉に「お誕生日おめでとう」の声が贈られた。行定監督はバウハウスで買ったというお土産を二人にプレゼントしていた。

パレード』は共同生活を送っている5人の若者を通して内面に宿るモラトリアム観を描き出した作品。渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国上映中。(文・澤田英繁)

林遣都、貫地谷しほり藤原竜也、香里奈小出恵介、行定勲監督

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2010/02/22 8:12

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