エメリッヒがまたまた世界の滅亡を描く『2012』
ローランド・エメリッヒ監督(54)の最新作『2012』が公開中だ。3年後の世界の終わりを描いたディザスター映画(古い言い方で言うならパニック映画か)。エメリッヒ監督は『インデペンデンス・デイ』、『デイ・アフター・トゥモロー』など、地球規模のスケールで描く作品が多く、すっかりディザスター映画の巨匠という肩書きが板についた。ともかく『インデペンデンス・デイ』を初めて見た時の衝撃といったら。あの宇宙船のなんたるバカでかさ。あの宇宙船ばかりは今見ても全く古さを感じさせない。僕個人的にはエメリッヒといったら、ウォルフガング・ペーターゼンの路線を更に膨らましたような監督だと勝手に思っているけど、これほどスケールの大きいものを描ける監督は他にはいない。
『デイ・アフター・トゥモロー』が公開されたときは『インデペンデンス・デイ』の二番煎じと批評家から叩かれた。僕も正直、こういう映画しか作れないのかと思ったものだ。観客もすっかりCGを見る目が肥えて来て、今じゃちょっとやそっとじゃ何も驚かなくなった。『2012』は、そんな観客への宣戦布告と見るのは考えすぎだろうか。ここまで同じものにこだわるとかえって潔いではないか。二度使った技をまた仕掛けてくるわけで、ど真ん中直球勝負、打てるものなら打ってみろという感じ。果たしてどこまで観客の度胆を抜けるか、高みの見物と行きたい。
さて、この公開を前に、六本木ヒルズにてジャパンプレミアが行われた。プレミアにはエメリッヒ監督の他、プロデューサーであり音楽も担当するハラルド・クローサー(53)、出演者のジョン・キューザック(43)、アマンダ・ピート(37)、子役のリアム・ジェームズとモーガン・リリーが出席。実はエメリッヒは日食のときにも来日しており、今年PRで日本に来たのは二度目。主役のジョン・キューザックを凌ぐ大喝采を浴びていた。
一方、プロデューサーのハラルドは何度も腕をあげて声援に答え、かなりノリノリ。普通ならプロデューサーは地味だが、まるで一番のスターであるかのような振る舞いだったのが微笑ましい。音楽業界でもエルトン・ジョンをプロデュースするなど、海外ではちょっと知られた人物だ。しかし、最も目立っていたのは子役のモーガン・リリー。愛くるしい笑顔で元気いっぱいに挨拶し、会場のあちこちから「可愛い」という声があがった。海外ドラマの名コメディエンヌになりそうな素質十分である。
アマンダ・ピートの美しさにはびっくりしたけど、登壇者がおのおのタイムカプセルにメッセージを入れる企画では、他の皆が家族への愛を綴った手紙だったのに対し、アマンダだけがオバマ大統領に向けて「あなたが必要です」というメッセージを送っていたのが印象的だった。ちなみに、本作に登場する大統領は黒人俳優のダニー・グローヴァーが演じている。
プレゼンターとして、映画のプレミアイベントの仕事は初という萩本欽一が登場したことも忘れられない。欽ちゃんはステージに立つなり、「寒いのに、後ろから風が吹いてて余計寒い」とイミテーションの炎をネタにして得意のジョークを一発飛ばしていた。この日はあいにくの雨で、気温も下がっていたが、欽ちゃんのジョークのお陰で会場は少しは温かくなったかな。この日は神田うの、江原啓之、上野由岐子も駆けつけ、映画をPRした。(澤田英繁)
『2012』は11月21日(土)から、丸の内ルーブルほか全国ロードショー中。
2009/11/22 23:02