頭脳警察、鈴木慶一、あがた森魚、夢の顔合わせ
更新の遅さ、記事の少なさでは多分業界最悪ではないかと思うシネマガですが、いや本当に申し訳ない。その分、ネタのユニークさにこだわりたいと思ってまして、だいぶ前の話で恐縮ではありますが、11月11日(水)、渋谷であった『ドキュメンタリー頭脳警察』のイベントについて紹介したいと思います。
『ドキュメンタリー頭脳警察』は、読んで字の如く、まさに頭脳警察のドキュメンタリーになっています。頭脳警察は69年に結成されたバンド。学生運動の時代、72年にアルバムデビューしましたが、歌詞の過激さから発売禁止処分になり幻の名盤に。ステージパフォーマンスは数々の伝説を生み、反体制バンドの代名詞となりました。ロック好きの人なら、誰もが知っているバンドです。このバンドについて、なんと3部構成5時間14分語りつくすドキュメンタリーがこの映画。『フライング・ラビッツ』、『感染列島』の瀬々敬久監督がメガホンを取りました。ドキュメンタリーにしては珍しくメジャー系監督による作品で、こだわりを感じさせます。
この日、上映にあたり、頭脳警察のPANTAさん(59)とムーンライダーズの鈴木慶一さん(59)がトークショーを行いました。イベントの最後にはたまたま客席に来ていたシンガー・ソングライターのあがた森魚さん(61)がPANTAさんに呼ばれてステージに飛び入り参加するというハプニングもあり、トークに花を咲かせていました。
さらに加えて、ちょうどたまたま『あがた森魚ややデラックス』のPRライブが同日同じ場所で行われていて、今度はあがたさんのライブにPANTAさんと鈴木さんがサプライズで乱入して会場を沸かせました。その様子を、たまたま会場に来ていたシネマガスタッフが独占取材しました。
ちょうど会場に来ていたあがたさんはアコースティックギター一本で三曲を披露。たまたまその夜テレビで放送される『深夜食堂』に流しの歌手役として出演しているということで、流しの歌手になりきりながら役のセリフを織り交ぜて演奏していました。最後に歌った「渓谷鉄道研究家になるんだ」は実にパワフルな歌いっぷりで、僕も胸にぐっとくる熱いものを感じました。いやー、偶然とはいえ、あがた森魚さんの素晴らしい生歌が聞けて役得でしたね。
『あがた森魚ややデラックス』はあがた森魚さんのツアーを追いかけたドキュメンタリー。こちらは1時間半と、『頭脳警察』に比べると、だいぶ上映時間は短いです。PANTAさんはあがたさんの前に来て「こっちとしては5時間14分の修行を強いるのは申し訳ないという気持ちです。なんで『ややデラ』みたいに90分にまとめられなかったのかな」と言って会場の笑いを誘っていましたが、横にいた『ややデラ』の監督竹藤佳世さんは5時間と聞いて少しライバル心を燃やしている様子でした。
あがたさんは「今日は二人が見てるからいつもと全然違う感じになった」とちょっぴり照れ隠し。PANTAさんも「結構身内に見られてるって嫌なことですよね」とうなずいていました。二人は意外にも古い友人同士でした。そこに鈴木慶一さんが加わり、物凄いスリーショットになったものです。「この3人で何か面白いことがやれそう。人生楽しまなきゃ」とPANTAさんは終始ご機嫌でした。
両作を鑑賞した鈴木慶一さんは、「映画を見ていると、パブリック・イメージは関係ないね。2人とも好きなことをやってるところを撮られてる。PANTAはステージでは怖いイメージかと思ったら、本人はとても穏やかな人。映画にこんなにいい人のところを映しちゃっていいのだろうかと思った。あがたは普段はいい人に見えるけど、映画では嫌な人に見える。人間には多面性があるんだな。ステージと普段というものは違う場所ということで意識してる。どっちか一本見たなら、もう一本も見た方がいいよ」と語っていました。
『ドキュメンタリー頭脳警察』と『あがた森魚ややデラックス』は全国順次公開中です。(レポート 澤田英繁)
2009/11/22 22:13