川嶋あい 2009.8.20 渋谷C.C.Lemonホール ライブレポート

川嶋あい

川嶋あい(23)が、8月20日(木)、渋谷C.C.Lemonホールで、夏の全国ツアーのファイナルを飾った。今年はニューヨークやワシントンD.C.などでライブを行ったほか、映画『8月のシンフォニー』が公開されるなど、川嶋あいにとって新たなステージを迎える幕開けといえる一日となった。

川嶋あいは「8月20日は一年間の目標であり、これから一年間の出発点でもある」と語っている。川嶋にとって8月20日という日は、特別な思い入れのある日だ。7年前のこの日、17歳で渋谷公会堂(現C.C.Lemonホール)での初ライブを達成した。この記念すべき日は、母親の命日でもある。川嶋は「8月20日、母の命日に歌ったのは17歳のときでした。今でもその頃を鮮明に覚えています。この先どうなるのかとは考えてもいなくて、ただ8月20日、その日で燃え尽きることがすべてでした」と振り返った。ずっと渋谷公会堂での公演を夢見てきて、ついに実現したが、いつも支えてくれた母親、一番見せたかった母親はもういない。それでも川嶋は「精神はいつまでも残っている」と話す。渋谷公会堂は思い出の詰まった場所。8月20日という日は川嶋にとっては母親に成長した姿を見せるための一年で最も特別な一日。全国ツアーのファイナルをこの場所に選んだのもその特別な思いからだ。初ライブから7年間、川嶋は毎年8月20日に必ずここ渋谷公会堂でライブを行っている。

この日のライブに参加することは、ファンにとっては一番の幸福とされており、訪れたファンたちはいつも以上に気合いを入れてライブに臨んでいたようだ。演奏した曲は23曲。そのうちの半分は4枚目のアルバムからの選曲である。ライブはアンコールが2度起きるほど盛り上がり、2時間50分があっという間に過ぎていった。

川嶋あいの原点ともいえる名曲「ガラスの心」に始まり、母への感謝を歌った「・・・ありがとう...」で終わるのは例年どおり。「天使たちのメロディー」、「12個の季節」など弾き語りによるしっとりしたバラードと、「大丈夫だよ」、「My Love」などノリノリのロック・チューンを半々ずつ歌って、バランスの良いセットリストだったと思う。観客を立たせるところは立たせて、座らせるところは座らせる。メリハリが利いていて、観客との一体感が生まれた。「もっと!」で会場にいる人たち全員で手を振るところでその興奮は最高潮に。C.C.Lemonホールが幸福な空間に包まれた一時だった。

川嶋のMCも見事で、ギタリストを何度もいじるところでは姐御肌も見せ、最後まで笑いが絶えなかった。「つらく悲しいお知らせをしなければいけません。まだスタッフにも誰にも話していないんですけど、物凄く悲しいことです・・・」と話したときにはファンも一瞬ドキッとさせられたが、「・・・『COUNT DOWN TV』の恋人にしたいランキング、落選しました」と続き、会場は大爆笑。「前回は6位か7位だったのに。『COUNT DOWN TV』を見ながら、生まれて初めて一人で梅酒を飲みました。甘いはずの梅酒が・・・苦かったです。私も23になったので、次は結婚したいアーティストランキングを目指します。清き一票を私川嶋あいに投票してください」と語ると、客席の大半を占める男性ファンは拍手喝采を送った。

最後の「・・・ありがとう...」は、川嶋あいを語る上では決して欠かすことのできない名曲。毎年、この日、この場所でしか歌わない大切な一曲だ。それまでノリノリで手拍子していた観客も、立ったまま、静かにじっと曲に聴き入った。泣いているファンも多く見受けられた。ライブが終わった後は、僕も本当に「感動をありがとう」と感謝の気持ちになった。これは僕が映画『8月のシンフォニー』を見たときに受けた感想と同じである。この日のライブと映画の内容が完璧にシンクロしていることにも感動を覚えた。きっと川嶋あいファンも納得できる内容になっていると思う。

川嶋はこの日、映画をこのように紹介している。「出会いとは素晴らしい。皆さんにも夢はあると思う。夢ってやっぱりすごいと思う。私が路上ライブを始めたとき、真っ暗でどうしょうもなくて、絶望でもがき苦しんでいたときに、人との出会いが、希望の光が差し込んできました。希望は夢が導いてくれるものだと思います。だから、夢と出会いを大事に守って欲しいと思います」。『8月のシンフォニー』は、絶望と希望、人との出会い、夢について描いたアニメーション作品である。

映画の中に出てくる社長のセリフに印象的な言葉がある。「大丈夫だよ。アイは必ず売れる。アイの歌には優しさがあり、慈しみがある。人の心を綺麗にしてくれる何かがあるんだよ。これからの時代こういう歌い手が必要とされているんだよ」。このときの社長の自信に満ちあふれた表情にはぐっとくるものがあった。川嶋あいへの最大の賛辞の言葉だと思う。(文・写真:澤田英繁)

映画『8月のシンフォニー』の初日舞台挨拶の様子はこちら

No.曲名収録アルバム備考
01ガラスの心路上集1号キーボード弾き語り
(MC)毎年8月20日が目標であり、出発点だと挨拶。
02loverSimple Treasure 
03リマインダーSimple Treasure 
04Escape- 
05AgainSimple Treasureここから観客が総立ちに
(MC)渋谷公会堂のライブ7年間を振り返る。
06大丈夫だよSimple Treasureギターも演奏
07RevolutionSimple Treasureギターも演奏
08見えない翼サンキュー!バンドや観客にも歌わせる
09Power of smile- 
(MC)総立ちの観客をいったん座らせて、『あいのり』コンピCDとつばさ祭の告知。
10青い鳥Simple Treasure 
11ドアクロールSimple Treasure 
12Simple Treasure 
(MC)映画『8月のシンフォニー』の紹介。
13天使たちのメロディー路上集1号キーボード弾き語り
14やわらかな日差しSimple Treasureキーボード弾き語り
15オネスティSimple Treasure 
(MC)客席からリクエストを募集。「明日への扉」コール。
16明日への扉-I WiSH のセルフカバー
17My Love足あとこれ以後、観客総立ち
18Merry-go-roundSimple Treasureタオルを使って演出
19もっと!路上集1号客席全員で手を振る
アンコール
20この道ふらふら12個の歌演奏中にバンドメンバーを紹介
(MC)ボランティア活動、学校建設について。
21カケラSimple Treasure横浜少年少女合唱団とコラボ
アンコール2回目
2212個の季節〜4度目の春〜12個の歌観客と合唱
(MC)母への感謝の気持ちを込めて。
23・・・ありがとう...サンキュー! 

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2009/08/22 2:40

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