玉木宏の同性愛描写、事務所はOKしていた

MW

7月13日(月)、『MW -ムウ-』の岩本仁志監督と松橋真三プロデューサーが、秋葉原のデジタルハリウッド大学で特別講義を行った。映像作家を目指す生徒たちの前での講義だったため、監督もプロデューサーも包み隠さず製作の裏事情について語った。時には意外な裏話も飛び出し、1時間40分の講義はアッという間に終わった。

『MW -ムウ-』は漫画家・手塚治虫がタブーに挑んだ異色作。これまでに映像作家たちが何度と映像化を試みてきたが、出資の問題などで製作が中止することが多く、関係者の間では必ず頓挫する作品と忌み嫌われて来た。宣伝文句にもあった「映像化不可能」というのは技術的に撮影が難しいという意味ではなく、実は出資者を説得することが難しいという意味だった。松橋プロデューサーは「常に出資者との戦いだった」と語っている。

原作では2人の主人公の同性愛描写が主軸になっているが、松橋プロデューサーは自分で作成した映画の企画書(画像を参照)をスライドで見せながら、当初の段階から主演は玉木宏と決めて企画を進めていたことを説明つつ、出資者側から「ホモの部分を出すんだったら金は出せないよ」と言われてやむなく同性愛の描写ができなくなったことを明かした。

実は玉木宏も山田孝之も、事務所側は同性愛の描写をOKしていた。岩本監督も撮影中は玉木と山田にホモを演じるように毎日のように話していたという。

「日頃たまってるうっぷんをこの場を借りて晴らさせてもらうと、出資者には同性愛の描写はありませんよといいながらも、暗喩するように描いているんです。体をタオルで拭いてあげる2人の関係がゲイじゃなくて何なんでしょうか」と松橋プロデューサーは語っていた。

他にも、それまで正月映画だった『ハリー・ポッター』の公開が夏にずれることになったせいで他の映画もそれにあわせて公開がずらされ、『MW -ムウ-』の公開もずれたこと。

タイをロケしたのは、製作費を抑えるため。タイでは本物の銃と実弾を使用していること。日本のシーンでも、いくつかタイで撮影した映像をごまかしてつなげていること。

最初と最後のシーンだけお金をかけているがそれ以外のシーンは自主製作映画のように照明なしで撮影していること。CGはお金がかかるため一切使用できず、実際にビルに人を吊るして撮影したこと。等々、ここでしか聞けない製作の裏事情があらわになった。

最後に岩本監督はこの映画を作った目的を次のように語っている。

「日本人は勤勉で優秀です。文化では他の国に負けません。日本人なら、ハリウッド映画と同じものがもっと安く作れるはずなんです。『ボーン・スプレマシー』はこの映画の20倍のお金がかかっていますが、日本人ならこれと同じものが低予算で作れることを証明したかったんです」

『MW -ムウ-』は現在公開中。

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2009/07/14 16:00

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