『HACHI』リチャード・ギアの日本びいきは本当?

『HACHI』会見より

7月8日(水)、有楽町にて、『HACHI 約束の犬』の記者会見が行われ、主演のリチャード・ギア(59)が登壇した。

ギアは会場に入って来るなり、記者席の方に歩いて行き、記者たちに手を振るなど、しょっぱなからサービスたっぷりだった。席につくと、最初にまず日本語で「こんにちは」と一言。「僕は世界でも日本が一番好きな国なんだ。最初に日本に来たのは30年前だった。それから何度も何度も僕は日本に来てる。『アメリカン・ジゴロ』のときは会見で冗談を言っても笑うのが失礼というくらい誰も笑わなかったんだけど、あれから日本の記者会見の反応もだいぶ変わってきたから今日はちょっと楽しみながら会見をしたいと思う」といって緑茶をすすっていた。

ギアが親日家だということはあながち嘘ではない。これまでにも黒澤明の映画に出演したり、日本映画のリメイク作品に出演し小泉元首相とダンスするなど、日本に対してゆかりも多く、映画ファンに言わせれば「最も日本に近いハリウッド・スター」といったところである。今回の映画は日本の忠犬ハチ公を題材にした作品なので、これぞまさにリチャード・ギアのために作られた映画といってもいいのではないか。プロデューサーもこの映画化が決まったとき、ぜひリチャード・ギアに出てもらおうと考えていたそうだが、ギアは脚本を読んで一発で気に入り、赤ん坊のようにわんわん泣いたという。

「脚本を読んでこんなに泣くはずがない。何かの間違いだと思って次の日に冷静になってもう一度読んでみたら、次の目も泣いてしまったんだ。これはもうやらなきゃいけないと思った。これだけ泣いた映画だから、僕自身、プロデューサーという形で映画に関わりたいと思った。そして監督は僕が一番信頼している親友のラッセ・ハルストレムに依頼したんだ」と作品にかける情熱は人一番大きかったようだ。

しかし、この映画の主役はあくまでハチ公とのこと。「僕なんて現場では二流扱いだったよ。スターは犬なんだ」とギアは笑う。ハリウッド映画に秋田犬が出てくると聞くと、何だかちょっと画的に違和感を感じなくもないが、秋田犬ならではの忠実な性格を生かしたストーリーになっているというので、その点は心配なさそうだ。ハチ公の話は割とアメリカでもポピュラーな話で秋田犬もなかなか人気があるという。

北海道の記者から質問があると「北海道は秋田の近くだね」とコメントするなど、終始親日家ぶりをアピールしていたギア。「秋田犬は最も古い血統を持った犬で、狼に近い。だから人を喜ばせるようなことはしないんだ。エサには釣られないし、ドッグトレーナーの多くが匙を投げたというから心配だった。最初は僕もかなり緊張したよ。世界一のドッグトレーナーに指示されたんだけど、最初の一日は秋田犬の傍にいても絶対に目を合せるなと言われたんだ。二日目は目を見てもいいといったけど絶対に触るなと言われた。三日目、秋田犬がようやく僕を受け入れてくれたんだ。撮影はデジタルカメラにしてよかったよ。フィルムカメラだと5分でフィルムを交換しなければいけないんだけど、デジタルなら1時間は回しっぱなしにできるから犬と演技がしやすかった。2台も3台も同時にカメラを回して撮ったんだ」

「ハチ公役は日本に敬意を表して秋田犬で撮ることになった。日本でどれだけハチ公が愛されているかを知っているからその名に恥じないものを作る責任があった」とギアは語る。なんでも昨日偶然移動中にハチ公の絵が描かれたバスを見掛けたそうで、運命的なものを感じたのだという。

ハチ公役の秋田犬は3匹が交替で演じ、一匹は普通のシーン、一匹はギアにじゃれつくシーン、一匹は老犬役として活躍したという。渋谷のハチ公像にならって左耳に重りをつけて垂れるようにしたといい「彼は重りをつけられても不平不満をいわずに演じてくれたよ。名優だった」とコメントしていた。最後は仏教信者のギアらしく「秋田犬は忠義心が強い犬だね。主人を待つ姿は瞑想している僧侶みたいだ。エゴがなく、人間の目には絶対に出来ないピュアな目をしていた。主人と魂でつながっている感じがした」とまとめていた。

『HACHI 約束の犬』は8月8日(土)より全国ロードショー。

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2009/07/09 9:38

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