EUフィルムデーズ2009開催

EUフィルムデーズ

【EUフィルムデーズ】東京国立近代美術館フィルムセンターにて、「EUフィルムデーズ2009」が開催中だ。このイベントとは、日本と欧州連合(EU)の市民交流の促進を目的として毎年5月に行われる「日・EUフレンドシップウィーク」の一環として開催されているもの。欧州連合の加盟国大使館・文化機関と駐日応酬委員会代表部が東京国立近代美術館フィルムセンターと共同で企画・開催している。7回目を迎えた今年は21ヶ国から21作品(内7本が日本初公開)を上映する。

5月30日(土)、ヨーロッパ映画製作の現状と将来とアイデンティティをテーマに、チェコから『カラマーゾフ兄弟』のペトル・ゼレンカ監督と主演のイヴァン・トロヤン。スウェーデンから『クリスマス・オラトリオ』のシェル・オーケ・アンデション監督と主演のヨーワン・ヴィーデルベリ。スペインから『カマロン』のミゲル・メネンデス・プロデューサー、フランスから『私は死んでいない』のジャン・シャルル・フィトゥシ監督を迎えてのシンポジウムが行われた。

日本で去年公開された外国映画は338本。非常に多い数字だが、しかしこの大半はアメリカ映画。韓国が55本で、ヨーロッパといえば、フランスが25本、イギリスが15本という感じで、ドイツ・イタリア・スペインが4・5本程度。それ以外の国は1本あるかないかというのが現状である。かといってヨーロッパに良い映画がないというのではなく、日本映画に歴史があるように、各国それぞれにも長い長い映画の歴史がある。チェコといえば、イジー・トルンカなど、アニメーション映画に長い伝統があり、ミロス・フォアマンはハリウッドでも成功している。スウェーデンはサイレント時代から偉大な監督が多く、イングマール・ベルイマンは世界的に有名である。スペインにはペドロ・アルモドバル、ビクトル・エリセがいる。フランスは映画を作ったリュミエール兄弟から、ジャン・ルノワール、ヌーベルバーグと映画の歴史を動かしてきた。

シンポジウムでは、チェコ代表のゼレンカ監督が、「政治の上では統合しているが、文化の上ではまだまだ統合に至っていない」と発言。フランスから映画の資金が出ていながら、その映画がフランスで上映禁止になっていることなど矛盾点を指摘していたが、一方、フランス代表のフィトゥシ監督は、「私はフランス人というよりもヨーロッパ人という意識をもっている。すでにヨーロッパはつながっている。フランスで映画を撮るときもドイツ人に出てもらってチェコを舞台にした映画を作ったり、ポーランドとも共作したりしている。かつてヨーロッパの統合には流血が伴ったものだが、現在は戦いもなく統合していることを強調すべきだ」と反論していた。

「EUフィルムデーズ」は、5月29日(金)から6月20日(土)まで開催中。一般500円、高校・大学生・シニア300円、小・中学生100円、障害者無料。月曜日休館。各回入れ替え制。http://www.eufilmdays.jp

チェコから
ペトル・ゼレンカ監督(左)とイヴァン・トロヤン(右)。トロヤンはチェコで最も多忙なトップスターだが、わざわざこのイベントのために来日してくれた。(中央の女性はチェコ語から英語への通訳者)

スウェーデンから
シェル・オーケ・アンデション監督(左)とヨーワン・ヴィーデルベリ(右)。ヴィーデルベリは日本でも割と知られた美形俳優。ハリウッド映画にも出演し、スタッフの人数の多さに愕然としたという。

スペイン・フランスから
ミゲル・メネンデス(左)はフラメンコ映画を製作。ジャン・シャルル・フィトゥシ(右)は台本なしで映画を作った。

ペトル・ゼレンカ監督のインタビュー記事を読む

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2009/06/02 10:23

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