阿部サダヲと鈴木京香がお似合い夫婦に『ぼくとママの黄色い自転車』
【ティ・ジョイ】4月28日（火）、新宿にて、『ぼくとママの黄色い自転車』の完成披露試写会が行われ、武井証、阿部サダヲ、鈴木京香、安部美央、井口喜一プロデューサーが登壇した。
『ぼくとママの黄色い自転車』は、新堂冬樹のベストセラー『僕の行く道』を映画化した作品。『BALLAD〜名もなき恋のうた』のしんちゃん役など話題作が続く武井証が主演を果たし、涙の家族ドラマがここに完成した。
舞台挨拶では、阿部と鈴木が夫婦役で共演していることについて、鈴木は「私がすごく年上に見られるんじゃないかと気にしました」と遠慮がちに話していたが、阿部は「僕みたいな男がこんなに綺麗な人と夫婦役を演じて本当にいいものかと思いました。よく町を歩いていたら、お前とそれか！というありえない組み合わせのカップルを見かけますよね。だから、ある意味リアルな夫婦になったかも。京香さんと向かい合って見つめ合うシーンもやらせてもらいまして、初めてセッシュー（背を高く見せる箱台）も経験しました」と照れまくりだった。
最も驚くのは武井の天才子役ぶりだ。司会の質問にも何ら迷うことなく、全くどもらず、はきはきと答えて阿部を驚かせた。阿部はどうしても武井以上に気の利いた発言ができず困り顔。たじたじになりながら「本当に良いこといいますよねえ。もうまいったなあ」と言ってごまかしていた。
忘れてならないゲストがジャック・ラッセル・テリア犬のアン。『南極物語』のドッグトレーナー宮忠臣から訓練を受けたアンはこの映画のもう一人（匹）の主役といえる。舞台挨拶では安倍美央に抱かれて登場し、カメラマンの呼び声に応じて振り向くなど、ここでもスター犬ぶりを見せつけてくれた。武井は「やっぱり可愛いです」と久しぶりの再会を喜んでいた。
『ぼくとママの黄色い自転車』は、この年、最もよくできたロードムービーではないだろうか。小さな子供が、ママに会うため、ただその一心だけで横浜を飛び出し、ママの自転車に乗って香川県の小豆島まで一人（と一匹）で旅をする。この勇気と意志。横浜と小豆島といったら大変な距離である。少年のひたむきな姿、ただそれだけを見ているだけで胸がいっぱいになる。道中、色々な人と出会うが、みんな心の温かい人ばかり。みな、少年の姿を見て何かを教えられ、一回り成長するところが良い。柄本明の電話のシーンは、本作で最も感動的なシーン。大きな希望と、行動する勇気を与えられること請け合いだ。
いつもネジが外れた役を演じる阿部にとって、いわゆる「普通の役」は今回が初めて。とはいえ阿部が出てくるシーンは、やっぱりどこかコミカル。一見釣り合わなさそうな鈴木京香との夫婦共演が、これ以上ないそれらしい夫婦になっており、まさにこのキャスティングは、井口プロデューサーの狙い通りになっている。
いよいよゴールについたぞという大きな達成感を得た後、突如として残酷な現実があらわれる。ここで作品のカラーが突然一転するわけだが、これを受け入れられるかどうかで、この作品の評価が変わると思う。見終わった後、登場人物を自分に置き換えて、じっくりと考えさせられる映画である。
『ぼくとママの黄色い自転車』は、8月22日（土）より、新宿バルト9他全国ロードショー。文部科学省選定（少年向・家庭向）。
左から阿部サダヲ、武井証、鈴木京香、井口喜一プロデューサー。
最後にサービスショット。ちなみに、鈴木京香さんは、当サイトのシネマコミュニティの会員の間でも最も人気の高い女優さんで、「理想の嫁さん」「京香さま」と大評判である。
2009/05/02 17:06
