『チョコレート・アンダーグラウンド』が渋谷をジャック
【ヘキサゴン・ピクチャーズ】1月31日(土)、渋谷にてアニメ『チョコレート・アンダーグラウンド』の初日舞台挨拶が行われ、主演の豊永利行さん(24)、水沢史絵さん(29)、主題歌を歌う西野カナさん(19)、監督の浜名孝行さん(41)、そしてこの日のためにはるばるイギリスから来日した原作者アレックス・シアラーさん(59)が登場。シアラーさんの大ファンという上野樹里さん(22)がかけつけ、監督とシアラーさんに祝福の花束を贈りました。
『チョコレート・アンダーグラウンド』は、2人の仲良し少年を中心に、チョコレートを食べることを禁止された世界を描くSFアドベンチャー。アレックス・シアラーさんの原作は現在12万部が発行され、幅広い層に支持されています。日本では山川あいじさんが漫画化しており、このアニメの基になっています。
この映画、ただの子供向けアニメだとバカにしてちゃ困りますぜ。製作者も本気で作ってますから。その証拠に、宣伝にも気合いが入っています。なんと、『チョコレート・アンダーグラウンド』が渋谷の町をジャックしちゃったのですから。
ご覧の通り、渋谷駅には『チョコレート・アンダーグラウンド』の巨大広告が。作品にはロッテが協賛しており、長澤まさみさんのロッテガーナミルクチョコレートの広告とタイアップしているんです(劇中にもガーナが登場します)。
渋谷駅の反対側もこの通り。抜かりありませんね。榮倉奈々さんがチョコを作るという、ちょうどバレンタインに合わせた広告ですね。これに気づかないとは言わせませんぞ。
ご存じ、日本一有名な交差点にも『チョコレート・アンダーグラウンド』の巨大広告が。右の109に注目です。金がかかってますよねぇ。
本作のキャラクターデザイン・総作画監督は『赤い光弾ジリオン』(放送当時はアニメ雑誌で軒並み人気ベスト1となった傑作)の後藤隆幸さん。プロダクションI.Gを創設し、『攻殻機動隊』など話題作を続々と世に放ってきた日本アニメ界の重鎮であります。この人が関わっているというだけで、アニメとしての価値はぐーんとアップするというものです。
本作はまさにいかにもといった、日本の子供アニメらしい作品になっています。好きな人と目が合うと頬が赤くなったり、涙目になると瞳がゆらゆら揺れたり、怒ると顔が大きくなったり、日本ならではの子供アニメの手法は本作にも見られます。こういう管理社会を描いた映画は実写では『華氏451』や『リベリオン』などがありましたが、本作の場合、いかにも日本らしいANIMEの描き方で、イギリスの文学をどう表現するのか、そこに面白さがあります。
この日は、上野樹里さんが来るということで、同時刻に別の映画館で大きな舞台挨拶をやっていたのにも関わらず、渋谷シアターTSUTAYAには、多くの報道陣が詰めかけていました。映画館はチョコレートの甘い匂いにつつまれていて、ムード効果も抜群でした。
ダブル主演の豊永利行さんと水沢史絵さん。豊永さんはチョコが大好物。ピーナッツ入りのくどい感じのチョコが大好きだそうで、食べ過ぎて鼻血を出したこともあったといいます。水沢さんもチョコは毎日板チョコを一枚食べているそうで、朝起きたときはお水を飲んでからチョコを食べるのが日課とか。がんばったときには自分にご褒美でシャンパンと、ちょっと良いチョコを食べるそうです。
豊永さんは、冷静沈着で正義感の強い少年の役。自分とは真逆のキャラだったとか。最初は少年らしさを意識して演じていたそうですが、監督から「子供というのを意識しなくてもいい」と言われてからは心で演じたと話していました。ちなみに禁止されて困るものはテレビゲームだそうです。
活発な男の子の役を演じていたのは実はこんなに綺麗な女性の方だったのです。水沢さんは、男性が演じる男の子と女性が演じる男の子との違和感がないように元気よく演じたそうです。
以前バレンタインに手作りトリュフを作って学校に持って行ったら映画よろしく学校でチョコレートが禁止されたそうで、棚の上に隠していたらトリュフを落としてしまい、ぐちゃぐちゃになって好きな人にあげられなかったという苦い思い出についても話してくれました。
主題歌を歌うのはシンディ・ローパーも認めた世界のアーチスト、西野カナさん。西野さんは「無人島に何かひとつ持って行くならチョコレート」というほどチョコ好きで、常にチョコはストックしているとか。最近のお気に入りはガーナトッポだそうです。西野さんは作詞も自分でやっていて、「失恋した女の子がメイクの力を借りて克復するという前向きな歌が映画の主人公の姿にも重なる」と話していました。
以前バレンタインにチョコを好きな男の子に贈ろうと思ったら、ちょうど彼女と手をつないで歩いているのを見てしまい、その日の帰りは自分で作ったチョコを食べて帰ったことを明かしました。ちなみにそのチョコはガーナミルクチョコレートを使ったトリュフだったそうで、ロッテさんには嬉しいコメントだったかも。
「勇気が出る作品にしたい」と語る浜名孝行監督は、本作では娯楽性とメッセージ性の両方を出すことを心がけたそうです。禁止されたら困るものは何かと聞かれると、「アニメーションの仕事をやっているので、アニメーションが禁止されたら困る」と、あまりにも現実的な回答が・・・。
この方が原作者のアレックス・シアラーさん。なんとこの映画のために初来日してくれました。映画会社が本作にかける意気込みの大きさが伝わってきます。シアラーさんは「ハイテクな感じ。とても日本的に仕上がっている。アニメというのが日本らしい。イギリスでは考えられない」と作品を見た感想を話していました。シアラーさんのお子さんは、チョコばかり食べて野菜を全然食べなかったそうで、「野菜を食べなければチョコは食べさせない」と言ったことが本作のアイデアになったそうです。ちなみにチョコは健康にいいからと毎日食べているとのことです。
ここでサプライズ。スペシャルゲストの上野樹里さんが登場。今日ここに来ることは、以前から噂されていました。
上野さんは大きな花束をシアラーさんに贈りました。ちなみに上野さんはコーヒーよりもココア党だそうです。
憧れのシアラーさんを前に上機嫌の上野さん。実は2年前、ドキュメンタリー番組でイギリスまでシアラーさんに会いにいったことがあり、今ではメール交換をする仲だとか。この日もシアラーさんからメールをもらっていたそうです。「もっとファンが増えるといい」と話していました。
全員でフォトコール。監督と原作者を中央に置いたこの並び順は、マスコミ向けのフォトコールとしてはかなりアブノーマルな並び順といえます。それにしても西野さん、体を横に向けたポージングが決まってますねぇ。
最後にシアラーさんは結びの言葉として、「この話で伝えたかったことは、人々が抑圧されているものと戦うことです。これを見て、自由に対する権利について考えていただきたいです」とメッセージを残し、25分の舞台挨拶は終了しました。
『チョコレート・アンダーグラウンド』は渋谷シアターTSUTAYAほか、全国ロードショー公開中。チョコ好きなら感動必至。アニメファンもお見逃しなく!(澤田)
2009/02/01 0:48