2006/日本
出演:濱田岳 瑛太 関めぐみ 松田龍平 大塚寧々
監督:中村義洋
脚本:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
(データベース登録者:ちりつも)
偏差値:58.9 レビューを書く
風に吹かれてから始まった・・・ [90点] [参考:3]
このレビューはネタバレを含みます
原作は井坂幸太郎著:吉川英治文学新人賞を受賞したミステリー作品。
一言でとても心に残る作品だった。
椎名(濱田岳)は仙台の大学に入学し、一人暮らしをするためにアパートに引っ越してきた。
その日、奇妙な隣人・河崎(瑛太)と出会う。河崎はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛ける。
理由は一冊の広辞苑を盗み出すこと。
同じアパートに住む引きこもりの留学生のブータン人に贈りたいというのだ。
この作品は全体を通して、仙台の風景の爽やかな空気感と淡々とした若者たちの日常を見せてはいるが、背景に「動物虐待」「人種差別」「エイズ」とありけっこう重い。
映画の後半から前半のミステリーが徐々に明らかになっていく見せ方がとても見事。
原作もいいのだろうが、脚本がうまいんだろうなぁ。
映画のテーマ曲「神様の声」ともいうべきボブ・ディランの「風に吹かれて」が紡ぎだす友情と男女の不可思議な三角関係、そしてラストのあまりの刹那さと透明感。
最後、瑛太が犬を助けようとして道路に飛び込むシーンがあるが、その後を映像は映していない。
原作を読んでいないのでわからないが、私は瑛太が車にひかれて死んでしまったのでは?と想像した。
優しくて、すごく切ない、でもどこか強い映画だと思う。
2008/12/30 20:10