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そして、私たちは愛に帰る

Auf Der Anderen Seite
2007/ドイツ・トルコ/ビターズ・エンド/122分
出演:バーキ・ダヴラク トゥンジェル・クルティズ ヌルギュル・イェシルチャイ ハンナ・シグラ ヌルセル・キョセ パトリシア・ジオクロースカ 
監督:ファティ・アキン
http://www.bitters.co.jp/ainikaeru/

偏差値:61.3 レビューを書く

親子を超える愛とは [90点]

※ネタバレを含むレビューです。
親と子、世の中で一番身近で分かり合える存在、だからこそ断絶さえ感じる遠い存在。

映画は、親子の相克と愛を深く構成しています。『愛より強く』でベルリン国際映画祭金熊賞を獲得した鬼才ドイツ人監督ファティ・アキンが、07年のカンヌ国際映画祭最優秀脚本賞に輝いた話題の作品です。


映画は3部構成で、それぞれのタイトルで結末が示されます。観客はそこに至る愛と死のスリリングな物語りに次第にはまってゆきます。
ドイツは労働力の補充のため、多数のトルコ移民を受け入れてきました。そのため、ドイツとトルコをまたぐ様々な問題が、親子の問題を鮮烈に浮かび上がらせています。

宗教的な背景も、移民についての知識がなくとも、この映画では皆感じることがあります。それは、この映画が描いているのは国境も宗教も超えた人間同士の愛だからです。
そしてこの映画ではさらに赦しもテーマ。赦すことは辛いことです。自分ならば出来ることだろうか?
でもそうすることによって我々人間は、自分のなかの負のエネルギーをプラスに変えていくことができるのですね。

3組の親子が、民族や文化の違い、教育に象徴される貧しさ、暴力、死と隣り合わせの生活の中でそれぞれの生を必死に生きています。親子の愛とは何だろう?親子を越える愛とは何だろう?


2009/07/20 10:40

こっこ

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