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2001:A Space Odyssey
1968/アメリカ/140分
出演:ケア・ダレー ゲーリー・ロックウッド ウィリアム・シルヴェスター 
監督:スタンリー・キューブリック
製作:スタンリー・キューブリック
脚本:アーサー・C・クラーク、スタンリー・キューブリック
撮影:ジェフリー・アンスワース、ジョン・オルコット

偏差値:65.0 レビューを書く

光のスペクタクル [100点] [参考:1]

SF映画に金字塔を打ち建てた傑作にして、いまだこれを超える作品が出ていないという事実。3時間近い上映時間でありながらセリフはほとんどなし。途中に休憩が入るという前代未聞のSF大作でした。

スタンリー・キューブリックは「SF映画には古典といえる作品がない。だから私が作ってみせる」と豪語。そこから映画製作が始まりました。映画には様々なジャンルの作品がありますが、SFだけがまだ開拓されていなかったジャンルでした。そこに目を付けたこの映画は、後に『市民ケーン』と並び、アメリカ映画史の最高傑作と呼ばれる一本になりました。

これは宇宙開発が始まった頃に作られた作品です。つまりこれ以前に作られたSF映画は空想で作られた宇宙世界でしかなかった。この映画が初めて本物の宇宙物理学が取り入れられた本格的なSF映画でした。今現在はSF映画が業界の天下を取っていますが、「現代SF」の原点といえる作品がこれです。その証拠に、この映画で描かれている地球の映像は青くありません。白い地球でした。まだ推測の域で作られていた部分があったからです。逆に言えばよくここまで研究したものだと驚きます。宇宙空間では音が伝達しないから、宇宙空間のシーンを一切音無しで表現したのも衝撃的でした。

2001年を過ぎた今でも、この映画は全く古さを感じさせません。宇宙船の船内セットなど、今見ても壮観です。床が円を描いて一周するなんて、本当に今見てもロマンをくすぐられます。

そしてスケールの大きさ。類人猿の世界のどこまでも広がって行く地平線。「美しく青きドナウ」のしらべにのせて舞う未来の宇宙ステーション。初めてリバイバル公開で映画館のスクリーンで見た時、ゴマつぶのような窓をよくみると、そのひとつひとつに人間が映っていて、ちゃんと動いているのが見えてぶったまげました。宇宙船の細部もよくみると小さく文字がかかれてあったり、テレビではディテールがつぶれて何も見えなかったのに、大きなスクリーンではくっきりと映し出されていて、映画はやっぱり映画館で見るものだと教えられたものです。

機械が人類に反乱を起こすという内容も面白いですが、その機械がいかにもロボットみたいなメカメカしたものではなく、壁に埋め込められたレンズという点も洗練されてますね。

スペースシャワーとよばれる光のスペクタクルは、もう怖いくらい恍惚としますね。まだCGもなかった時代に作られた映像に驚くばかり。今となってはこのシーンが一番好きです。

人類が地球外の宇宙人と遭遇する話ですが、宇宙人の姿は一度も映っていません(解釈の仕方によっては映っているといえますが)、最近のSF映画は回想シーン等やたらと何でも具体的に見せたがるものですが、この映画はどんなものでも見せようとしないで鑑賞者の想像に委ねています。そこに格調高い美学を感じます。見た人の数だけ別の解釈が生まれるところも素晴らしいではないですか。

最初のシーンで、類人猿が宇宙人に導かれて、知恵を得るシーンも、何の説明もなし。類人猿が最初に手にした道具が、空に放り投げると、宇宙船の映像に変化する有名なカッティングなど、何度か見ているうちにだんだんわかってくるもの。いまだに見るたびに新しい発見があります。末長く付き合っていけますね。

2010/01/11 04:19

シネマガ管理人

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