Dirty Pretty Things
2002/イギリス/97分
出演:オドレイ・トトゥ キウェテル・イジョフォー セルジ・ロペス ソフィー・オコネドー ベネディクト・ウォン ズラッコ・ブリッチ
監督:スティーヴン・フリアーズ
製作:ロバート・ジョーンズ、トレイシー・シーウォード
製作総指揮:ジュリー・ゴールドスタイン
脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:クリス・メンゲス
音楽:ネイサン・ラーソン
(データベース登録者:frost)
偏差値:57.0 レビューを書く
重い。。。 [80点]
このレビューはネタバレを含みます
ロンドンのとあるホテルの夜間フロント係オクウェ(キウェテル・イジョフォー)は、わけあって故郷のナイジェリアから逃れてきた不法入国者。彼の同僚で部屋をシェアするシェナイ(オドレイ・トトゥ)も、トルコからパスポートを持たずに流れてきた同様の身。彼らの働くホテルの客室トイレから、人間の心臓が発見されるという尋常ではない展開で物語が始まる。
あまり重い映画を見る気分じゃない今日この頃。なのに、オドレイ・トトゥの写真につい惹かれて観賞した本作は重かった。共演が、『キンキーブーツ』のドラッグ・クィーン”ローラ”で楽しませてくれたキウェテル・イジョフォーだったので、すっかり油断しているところを、フルスィングでぶんなぐられた感じ。
彼らの働くバルチック・ホテルでは、オーナーのファン(セルジ・ロペス)が臓器売買を行っており、主人公2人がそれに巻き込まれていくサスペンスがメインストーリーになっている。
でも、本作の”重さ”は、ひとえに社会の底辺で生きる彼らの悲惨なありさまが生々しく描かれていることから発生している。逃れたくても逃れられない、未来の希望を踏みにじられても、なお現在を生き続けなければいけない。
”人生についての悩み”なんて、実は恵まれた暇人の贅沢な遊びなのだなと思ってしまう。悩んでいる余裕など無く、日々生きることに必死にしがみつかなければ、あっという間に踏みにじられて消えてなくなってしまう。そういう人たちの世界がある。
一応のハッピーエンドを迎えても全くすっきりしないのは、2人がそれぞれ逃れていくその先にも、彼らが今よりほんの少しでも幸せになれる保証などなにもない、という事実がはっきりと見てとれるから。
2008/11/09 14:11