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未知との遭遇

Close Encounters Of The Third Kind
1977/アメリカ/135分
出演:リチャード・ドレイファス フランソワ・トリュフォー メリンダ・ディロン テリー・ガー ボブ・バラバン ケリー・ガフィー 
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:スティーヴン・スピルバーグ
製作:ジュリア・フィリップス、マイケル・フィリップス
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
特殊視覚効果:ダグラス・トランブル
音楽:ジョン・ウィリアムズ

(データベース登録者:kira

偏差値:58.6 レビューを書く

WE ARE NOT ALONE [85点] [参考:1]

※ネタバレを含むレビューです。
原題の直訳は第三種接近遭遇であり、第一種はUFOの目撃、第二種はUFOからの影響、そして第三種は宇宙人との接触と区分されている。(第四種は宇宙人による拉致だったかな)

人々がUFOと遭遇するまでなかなか姿を見せないのは「ジョーズ」と同じ手法で、管制塔のレーダーにうつる謎の機影に管制官が右往左往する場面はなかなか緊迫感がある。

しかし一度人々に目撃されてからは、今までの我々のイメージとはかけ離れたネオンのように美しく光輝くUFOが夜空を飛び回るのが実に楽しい。

圧巻は最後に登場する母船の想像を絶する巨大さと美しさであり、母船がゆっくりと回転する場面には神々しさすら感じる。

ただこの作品が映画としての成功作かと考えるといささかの疑問もある。映像に重点を置いたあまり人間の描写があまり出来ていないように思えるのだ。

特にR・ドレイファスを筆頭に選ばれた人々が見たこともないデビルズタワーとよばれる山に固執する理由が今もよく分からない。(宇宙人からのテレパシーと言われればそれまでであるが。)

映像重視が顕著なのが後日公開された「特別編」で、ドラマ部分の一部をカットして砂漠で発見された船や母船の中などの映像が追加されている。

特に私の好きだった半ば狂人のようになったR・ドレイファスがデビルズタワーの模型を作るために家の窓から土砂を狂ったように投げ入れる場面がまるまるカットされていたのには憤りすら感じた。(DVD化されたファイナルカット版ではこのシーンは復活している)

スピルバーグが今まで誰も見たことのない映像で観客を驚かせることを楽しむようになったのは、この作品が興行的に成功したことが影響しているのかも知れない。

とは言え本作が嫌いな訳ではなく、宇宙人との会話を音楽で行う場面は何度観てもその音に圧倒されるし、フランソワ・トリュフォー(博士役がまさに適役)が母船に乗り込むR・ドレイファスを優しくそして羨ましそうに見つめる眼差しも忘れられない。

エンドロールで「星に願いを」が流れた時、スピルバーグの宇宙に対する夢や愛を感じた作品である。

2008/10/30 23:14

kira

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