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彼が二度愛したS

Deception
2007/アメリカ/ショウゲート/108分
出演:ヒュー・ジャックマン ユアン・マクレガー ミシェル・ウィリアムズ マギー・Q リサ・ゲイ・ハミルトン シャーロット・ランプリング 
監督:マーセル・ランゲネッガー
http://www.2s-movie.jp

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INTRODUTCTION

平凡な孤独、それを埋めようと彼女を愛した。
しかし、すべては罠だった―

「Are You Free Tonight ?」
孤独な心に響いた1本のコールが男の人生を変える――。

■現代人の心理をついたラブ・サスペンス。
携帯やメールに依存し、人との繋がりを実感できなくなってしまった現代人。今という時代を生きるなかで、誰もが抱える不安や孤独を一瞬にして消し去ってくれる友が現れたら、人はどう変わるのか――?
孤独な男の奇妙でエロティックな自己発見の過程を描く本作は、ハリウッドが得意とする男女の密な関係にフォーカスをあてながら、極めて21世紀的なテーマをまるでヒッチコックを思わせる心理ゲームで表現するという、魅惑的かつ挑戦的なラブ・サスペンスだ。
プロデューサーとしても参加しているヒュー・ジャックマンは脚本の出来の良さに惚れ込み、自身が立ち上げた制作会社「シード・プロダクションズ」の第一回制作作品に本作を選び、さらにワイアット・ボーズ役で出演するという熱の入りよう。本作が監督デビューとなる新鋭マーセル・ランゲネッガーがメガホンを取り、官能とスリルが交錯するラブ・サスペンスの世界へと観客を誘う。

■ヒュー・ジャックマン×ユアン・マクレガー。
スクリーンを包む大人のエロスに酔う。
主人公の孤独な男・ジョナサン役に挑んだのは、あらゆる役に順応し出演作が目白押しのユアン・マクレガー。ヌード・シーンをも辞さないことでも知られる彼が、冴えない男が欲望を満たして自信をつけ、変化していく様を見事に演じている。そのユアン・マクレガーを裏切り貶める悪役に、ハリウッドで1〜2位を争うクリーンな俳優ヒュー・ジャックマン。チャーミングでセクシーな上流階級の男が冷酷に豹変する様は圧巻だ。
ふたりの男たちのファム・ファタールに抜擢されたのは『ブロークバック・マウンテン』(05)で高い評価を受けたミシェル・ウィリアムズ。妖美な色気をまとい、強烈な印象を残して男を本気にさせるミステリアスな女を演じ切り、若手実力派女優の存在感をアピールしている。さらにここ数年目覚ましい活躍をとげているマギー・Q、ベテラン女優のシャーロット・ランプリングが共に会員制秘密クラブの一員として登場。上流のアクターたちが醸し出す、エロティックな大人の芳香がスクリーンを包みこむ。


STORY
ニューヨークに住む真面目だけが取り柄の会計士ジョナサン・マコーリー(ユアン・マクレガー)は、仕事場と家を往復するだけの退屈すぎる人生を送っていた。そんな彼に初めて友人が出来る。監査員として派遣された大手法律事務所で知り合ったカリスマ顧問弁護士ワイアット・ボーズ(ヒュー・ジャックマン)がその人だった。抜群のルックスとユーモアあふれる会話で瞬時にジョナサンの心に入り込んだワイアットは、4000ドルのスーツを着こなし、休日には女の子たちとテニスを楽しむセレブな生活を送るエリート。ジョナサンは自分とはかけ離れた世界に住むワイアットという新しい友を得たことで、今までのつまらない日常に変化を感じ心が躍った。
さらにふたりが携帯を取り違えたことで、ジョナサンの生活はより大きく変わっていく。ワイアットの携帯には、エグゼクティブだけにアクセスが許された“リスト”と呼ばれる会員制秘密クラブの会員ナンバーが登録されていたのだ。「Are You Free Tonight ?」という合言葉でいとも簡単にアメリカを動かす大物女性たちと関係が結べるこのリストを利用し、ジョナサンは魅力的な女性たちとの一夜限りの関係を続け、今まで知らなかった自分の新たな一面を見出していた。

ある晩、いつものように一夜の関係を求めて女と待ち合わせをしていたジョナサンに、予期せぬ出来事が起こる。待ち合わせ場所に現れたのは、以前帰宅途中に地下鉄のホームで見かけ、一目惚れした美しい女(ミシェル・ウィリアムズ)だったのだ。ジョナサンはこの魅惑的な女に熱を上げた。しかし名前が“S”から始まることしか知らない彼女との情事が、彼を予測しなかった世界――裏切りと殺人――へと引きずり込んでいく。この騙し合いのゲームに勝利するのは一体誰なのか? 


PRODUCTION NOTE

■ 「Are You Free Tonight ?」謎の会員制秘密クラブは実在する?
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会員制秘密クラブのルール
I 名前を聞いてはいけない
II 誘ったほうが部屋を取る
III 手荒なことは禁止
IV 合い言葉は「今夜、どう?」or「Are You Free Tonight ?」
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劇中に登場する謎の会員制秘密クラブは、脚本を担当したマーク・ボンバックがニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたある記事をヒントに描いたものだという。その記事によると、気軽に夜の相手を探せるデート・クラブのようなものが、ウォール街で働くパワー・エクゼキュティブたちの間で存在するというのだ。このクラブの会員になるには、すでに入会済みの人の紹介がなければならず、さらにルックス、年齢、社会的地位、収入が審査にかけられ、これを通らない限りはいくら知人の紹介があっても入会は絶対にNGだという。ただし、ひとたびこの審査をクリアしてしまえば、あとは自由にリストに掲載された相手と連絡をとり一夜限りの情事ができるのだ。 
 単純に計算をすると、アメリカ時間の夜には香港市場が開き、就寝時間にはヨーロッパ市場が開いている。そうなると、世界を相手に取引をしているようなブローカーたちにとって、市場が閉じている時間は1日に2時間しかないため、相手とデートを重ねてからベッド・インというような段取りを踏んでいる時間的余裕がないのだ。忙しく、時間のないエクゼキュティブには最高に効率のいいシステムで、ニューヨークだけでなく大都市と呼ばれる都市にもいくつか同じようなクラブが存在するらしい。


■キャスティングの心配がいらなかった唯一のキャラクター ――ニューヨーク。
今作の撮影でマーセル・ランゲネッガー監督が唯一キャスティングの心配をしなかった“役”がニューヨークの街だ。今作は7週間という極めて短い時間での撮影だったため、当初は撮影がスムースに進みそうなカナダのトロントをロケ地候補にしていたという。しかし、役者が演じるキャラクターに説得力を持たせ、物語を包括するのにニューヨークほどぴったりくる場所はなかったため、マンハッタンでの撮影を決意。案の定、「ニューヨークでの撮影は障害だらけで、そう簡単にはいかなかった」とランゲネッガー監督が語るように、ユアン演じるジョナサンをガラス窓越しに見据えられる場所や、孤独な人間がひっそりと暮らす部屋の外にこの世とは思えないほど美しい風景が広がる場所を探すのに、かなりの労力を要した。また、作品の大部分が夜間シーンのため、夜景が綺麗に見える場所のロケハンにも苦労したという。しかし、マンハッタン中を飛び回った甲斐があり、ニューヨークという舞台が作品にエネルギーと神秘的な雰囲気をもたらすことに成功した。


■百戦錬磨のユアンもヘトヘトのベッド・シーン。
 大ブレイクした『トレインスポッティング』(96)以降、数多くの作品でなんのためらいもなく裸体をさらし、撮影を経験してきたユアン・マクレガー。そんなユアンにとってすら、今作の15カットにも及ぶベッド・シーンは「相当しんどかった」という。
「相手役の子を紹介されてベッド・シーンを撮影したら、楽屋に戻ってコーヒーを飲んでちょっと休憩するんだ。そうしたら、またセットに戻って『どうも、ユアンです』って違う女の子に自己紹介をして服を脱ぐ。今回はその繰り返しですっかりヘトヘトになったよ。役者になってから、かなりのベッド・シーンを体験しているけど、今回はそんなのとは比較にならなかったね」。
 一方、ユアン以上にセクシーな役柄ながら、実際には一度も濡れ場がないヒュー・ジャックマン。それには「当然だよ。今回は僕の妻も製作サイドのメンバーとしてクレジットされているんだから。うかつにベッド・シーンは撮れない状況に置かれていたんだ(笑)」と、なによりも深い理由があったことを語った。

■ 監督VS撮影監督。
撮影方法をめぐりベテランと若手がガチンコ対決。
 ここ数年、フィルム・メーカーたちの間で稼働急増しているのが超高性能デジタル・カメラ「パナビジョン・ジェネシス(通称:ジェネシス)」だ。今回、ベテラン撮影監督のダンテ・スピノッティは、そのジェネシスを使って撮影をしたいと主張した。一方、今作が初監督作品となるランゲネッカーはフィルムで撮影することにこだわった。若い監督がフィルムや古い技術にこだわる一方で、撮影の大ベテランがデジタルの新技術を信奉し、意見の相違で現場は大きく揺れた。解決策として、最終的にふたりは作品を昼と夜にざっくりと割ることで妥協し、昼間の撮影はフィルムで、夜はジェネシス(最終的には昼間の撮影も一部分はジェネシスが使われた)で行われた。
通常、夜間の撮影は、セット、キャスト、そしてスタッフ全体に煌煌と証明をあてて撮るため、現場はまるで昼間のような明るさになる。しかし、感度の高いジェネシスを使えば最低限の照明でフィルムよりもずっと暗いところでの撮影が可能となるため、現実に近いよりリアルな風景が撮れるのだ。この妥協で新旧バトルは無事解決に至ると同時に、作品全体により一層の磨きがかかった。

11月8日(土)より、有楽町スバル座、新宿バルト9ほか全国ロードショー。

『彼が二度愛したS』ザ・たっちが椿姫彩菜にアタック!

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10月28日(火)新宿にて、『彼が二度愛したS』のPRイベントが開催され、タレントの椿姫彩菜と、お笑いタレントのザ・たっちが舞台挨拶を行った。