ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


Shaun of the Dead
2004/イギリス/99分
出演:サイモン・ペッグ ニック・フロスト 
監督:エドガー・ライト

偏差値:62.0 レビューを書く

パロディはゾンビ映画を救う?! [90点]

熱心なファンによる署名活動の末に、「ホット・ファズ」がようやく日本で劇場公開となった、英国の新鋭エドガー・ライト監督。そのライト監督の長編商業映画第1作目が、この「ショーン・オブ・ザ・デッド」である。
ライト監督は若い世代の作家であり、従ってその作風も、子供の頃から自身が大好きであった従来の映画から多大な影響を受けている。また、あえてその影響力を隠さず、素直に自身の作品に“オマージュ”として刻印してゆく方法論は、先にそれを確立したタランティーノ監督に倣っているともいえる。まあいわゆる、最近流行の“パロディ映画”の一派であるとみていいと思う。しかしライト監督の偉いところは、パロディを単なる自己満足のままにしておかない点だろう。“パロディ”はあくまでも作品を面白くするためのスパイスであり、基本は、しっかりとしたストーリーラインとよく考えられた演出だ。
だからこそこの作品も、ロメロ・ゾンビ映画の正しい系譜に連なりながらも、“オリジナル”色を出すことに成功したのだと思う。イギリス映画らしいウェットな感覚とひねくれたユーモアが、きちんとした(笑)ゾンビ・ホラー映画特有のサスペンスとうまく調和しているのだからたいしたもの。汝、パロディを侮るなかれ、であろう。

2010/01/01 06:41

豆酢

参考になりましたか?