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ブーリン家の姉妹

The Other Boleyn Girl
2008/イギリス・アメリカ/ブロードメディア・スタジオ/115分
出演:ナタリー・ポートマン スカーレット・ヨハンソン エリック・バナ デヴィッド・モリッシー クリスティン・スコット・トーマス マーク・ライランス ジム・スタージェス 
監督:ジャスティン・チャドウィック
脚本:ピーター・モーガン
原作:フィリッパ・グレゴリー
製作:アリソン・オーウェン
撮影:キーラン・マクギガン
衣装:サンディ・パウエル
音楽:ポール・カンテロン
http://www.boleyn.jp/

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最初に愛されたのは妹メアリー、
でも王妃になったのは姉のアンだった。
世界を変えた、美しくも哀しい運命の恋の物語。

   ハリウッドを代表する若手スター、ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン夢の競演が遂に実現した。イングランドの歴史を変え、ヨーロッパから世界へと影響を与えた"ある結婚"の陰に隠された2人の姉妹の秘話を描いた本作は、同名のベストセラー小説「ブーリン家の姉妹」が原作だ。陰謀とロマンス、そして裏切りと策略が渦巻く宮廷で、アンとメアリー、ブーリン家の2人の姉妹は、父と叔父の野望によって、イングランド王の寵愛を巡る運命に翻弄されていく。それは野心なのか、真実の愛なのか・・・。

 時は16世紀イングランド。20年にわたる夫婦生活で王女メアリーしかもうける事が出来なかったヘンリー8世(エリック・バナ)の目下の関心事は、立派な男子の世継ぎをあげる事。一族の富と権力を高めるため、田舎貴族のトーマス・ブーリンは自慢の娘アン(ナタリー・ポートマン)を差し出す。しかし、王が目をとめたのは清純で心優しい妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)。姉より先に結婚したばかりのメアリーは夫と共に、王の愛人となるべく宮廷にあがる。アンは姉でありながら、結婚も王の愛人という立場も妹に奪われてしまったのだ。一族の発展のための企みが、次第にアンとメアリーの絆を、王の愛を巡る非情な対立へと変えていく。メアリーの王への純粋な愛情を知りながら、容赦なく王の愛を求めるアン。果たして王の寵愛を射止めるのは2人のどちらなのか・・・・。今、"イギリス版大奥"が幕を開ける──!

 歴史的に有名なヘンリー8世とアンの関係ではなく、王の寵愛を巡る姉妹の確執に焦点を当てた本作の原作者のフィリッパ・グレゴリーは「私がこの小説を書くまでは、メアリー・ブーリンはほとんど知られていなかった」と語っている。「なぜなら彼女は歴史的には何の影響も残さなかったから、歴史家は誰も彼女に興味を持たなかった。けれど、彼女の人生は、有名な姉アンとは対照的で、その対比に魅了されたの。最後まで生き残り、幸せな結婚生活を送ったのはメアリーなのよ。500年も昔の話だけど、姉妹の生き方の対比は、現代に生きる私たちにとっても切実な問題だわ。」

 『クィーン』でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたピーター・モーガンは、フィリッパ・グレゴリーの小説の映画化に意欲的だった。「この小説は、今までに無い全く異なる視点から描かれているので夢中になった。エネルギーと喜びに満ちたストーリーで、2人の姉妹は見事な対極を成している。アンは意志が強く、策略に富んだ現代的で優秀な女性であり、歴史的に最も見事な誘惑のひとつを成し遂げ、欲しいものを手に入れるまで世界で最も力を持った男の寵愛を受け続ける。彼女は家族の中でも一番愛され、有利な立場にあり、常に注目を浴びることを求めていた。メアリーはさらに複雑なタイプで、感情的知性と内面的な精神が豊かであり、自分の道を貫くためには確固たる意志と根性を持っている女性なんだ。」

 ブーリン家の姉妹に当代きっての若手女優ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンを起用した監督は、「2人の間には姉妹特有の"親密さ"が存在し、脚本に書かれた以上のものを作品にもたらしてくれた。物語が進むにつれ、姉妹の関係は変化していく。でも姉妹として深く結ばれ続けていることには変わりがない。ナタリーとスカーレットはその様子を美しく描写し表現してくれた。」と語っている。

 姉妹の寵愛の対象となるヘンリー8世に『トロイ』『ミュンヘン』のエリック・バナ。一族の野望のために娘を利用する夫に冷たい視線を投げかけ、姉妹を温かく見守る母親レディ・エリザベスにクリスティン・スコット・トーマス。更にスペインから嫁いだキャサリン・オブ・アラゴンに『ミツバチのささやき』のアナ・トレント、姉妹の弟ジョージに、今ハリウッドで最も期待されているイギリス人俳優ジェス・スタージェス、その他、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』のエディ・レッドメイン、『つぐない』のベネディクト・カンバーバッチなどイギリスの若手男優陣が華を添えているのも見所の一つ。

 製作は、『エリザベス』のアリソン・オーウェン。脚本は『クィーン』『ラストキング・オブ・スコットランド』のピーター・モーガン。『恋におちたシェイクスピア』『アビエイター』で2度のアカデミー賞に輝くサンディ・パウエルが華麗なる衣装を担当。エミー賞に輝くジョン=ポール・ケリーがプロダクション・デザインを担当し、テューダー時代の宮廷の慣習を描写するため、礼儀作法のアドバイザーであるノエル・バトラーが参加している。監督は本作が劇場用映画としては第1回監督作品となるイギリスの俊英ジャスティン・チャドウィック。

姉妹の絆か、王妃の地位か──。いま明かされる、王室の奥深く、女の園で繰り広げられる熾烈で華麗なバトルに隠された、愛の真実とは──?

PRODUCTION NOTES

チューダー朝のゴッドファーザー

 世界の映画賞を総なめにした革命的な映画『エリザベス』に続き、16世紀イギリスを舞台にした映画を手掛けるプロデューサーのアリソン・オーウェンは「これは、チューダー朝を舞台に繰り広げられるゴッドファーザーみたいな物語なの。セックス、対立、嫉妬、野望、名声とスキャンダル。主人公は不幸に美しく若い姉妹だけれど、全ての要素が盛り込まれている」
 有名なアンとヘンリーの関係ではなく、むしろ王の寵愛を巡る姉妹の確執に焦点を当てた監督ジャスティン・チャドウィックは、「アンとメアリーは互いに酷い仕打ちをし、2人の間にはライバル心と嫉妬が渦巻いている。しかし、究極のところ2人は姉妹なんだ。姉妹同士の関係は、他のどの関係とも違う。姉妹の間では内緒の話もできるし、他の人と話すのと全然違う口調になる。姉には完全に心を開き、正直になれる。メアリーの台詞にあるように、『一人の人間が二つに分かれたような感じ』なんだ」と語っている。
 もちろん、姉妹の対立が歴史の重要な転換点で起きた場合、賭けに出たほうが勝つ。「映画はアン、メアリー、ジョージの3人のブーリン家の子供たちが、田舎から宮廷へ上がり、処刑台までの人生を追っている。彼らの人生は、野望と強欲の果てに転落する。嫉みや陰謀は、現代の観客にも訴えかけるものがあるだろう---名声に固執した人々を映し出す鏡として、そして野望に熱中しすぎることへの警告としてね」と監督は語る。
 「アンの悲劇的な運命はあまりにも有名だ。でも観客には、ひょっとしたらアンにも希望があるのかもしれない・・・と思って観て欲しい。物語の紆余曲折を一緒に感じ、アンが死刑執行を免れてくれないかと一緒に願って貰えたら嬉しいね。」


キャストの演技をより際立たせるために

 「ブーリン家の姉妹」 はHDで撮影されている。 監督は「HDを使えば、全てをはっきりと詳細に映し出す事が出来る。アップのシーンでは、役者に触れてしまえるかの様にリアルで、目の表情まで読み取ることが出来る。歴史物の作品ではあまりHDを使わないけれど、僕は、ロケーションの美しさまで全景で捉えたワイドなショットではなく、役者の演技をきちんとカメラに収めたかった。この作品は映像的にも独特な仕上がりになる」と語っている。
 一方で監督は、できるだけロケでの撮影を行いたいとも思っていた。「役者が実際の環境に身を置くと、演技にも一層磨きがかかるんだ」と監督は語る。最終的には、屋外での撮影は実際にイギリスの城や邸宅地で行われ、室内に関しては、時代に則した古さを表現するため、セットが作られている。


現代に蘇るチューダー朝を探して

 製作スタッフはブーリン家が当時実際に暮らしていたヒーバー城も含め、歴史に登場する候補地を巡りロケハンを重ねた。しかし、その大部分は今や観光名所と化し、観光客用に綺麗に整備され、ヘンリー王の治世下の頃のような雰囲気はなくなってしまっていた。プロダクション・デザイナーのジョン=ポール・ケリーは、チューダー朝を研究し、実際のロケハンを重ねながら、デザインの構想を固めていった。「監督は、事実に基づいたモダンで、生き生きとしたセットを求めていた。チューダー朝はエネルギーに満ち溢れ、大きな変化を遂げた時代で、現在のイギリスのベースとなったモダンなデザインが始まった時期でもある。その躍動感に満ちた、興味深い背景を活かしたかった。」
 映画に独特な雰囲気を作り出すため、インドの街からベルリンのクラブまで世界中の様々な写真からチューダー朝の宮殿のヒントを探したケリーは語っている。「時代考証は大切だけど、一方で細部に終始し過ぎて、当時のエッセンスが伝わらなければ意味が無い。どこかわくわくするような時代の趣と興奮が、映画のセットには必要なんだ。」


ホワイトホール宮殿、ヘンリーの寝室

 物語の重要なポイントとなるのがブーリン家の邸宅と、ヘンリー王の宮廷であるホワイトホール宮殿だ。ホワイトホール宮殿は過去に火災で焼け落ち、再建されているため、1530年代当時の宮殿を物語るようなものはほとんど残っていない。
 宮殿での舞踏会のシーンのために、ケリーと美術チームは、ロンドンのエルスツリースタジオに2つの巨大なセットを作り上げた。ケリーによると、「このシーンはブーリン家の姉妹が初めて宮廷の活気を肌で感じる重要なシーンだ。もちろん、姉妹は全く別の反応を見せる。アンはこの世界に魅了され、メアリーはどちらかと言えば、居心地の悪さを感じている。セットには宮殿のスケールを物語るような長い廊下が必要だった。よくある巨大な舞踏ホールというより、自由に出入り出来る部屋や、曲がり角に富み、活気に満ちたスペースを作りたかった。現代のクラブみたいな興奮と、刺激に満ちた"出逢い"の象徴としての場所だ。」
 ケリーが最も好きなセットはヘンリーの寝室だ。「寝室の壁に森の絵が書いてあったら面白いと思ったんだ。だからタペストリーに使われるような色彩を用いて壁をすべてペイントした。当時の家具は、ほとんど残存していないので、家具も新たにデザインして作成した。ヘンリー8世のベッドを作るのは、本当に興奮したし、楽しかったよ」と語る。


衣装について

 『恋におちたシェイクスピア』、『アビエイター』など7度のアカデミー賞にノミネートされている衣装のサンディ・パウエルにとって、本作への参加は大きな挑戦を意味した。プロダクション・デザインのケリーと同様、彼女もハンス・ホルバインの絵画から多大なインスピレーションを受けてヘンリーやブーリン姉妹の衣装をデザインした。「ハンス・ホルバインは、この時代唯一の宮廷画家であり、宮廷を詳細に描写している。私たちのよく知るヘンリー8世と言えば、ナショナル・ギャラリーにある肖像画。これもハンス・ホルバインの作品だけど、私たちは、今までのイメージとは違う、若々しくて魅力手なヘンリ−8世を描きたかったの。」
 正確な時代考証に加え、高いレベルの創造性とオリジナリティーを保つ事が要求される歴史物を担当するに当たり、パウエルは「常にアーティスティックな"何か"が必要なの。昔のものを完全に再現することは出来ないし、大体、何が本物かなんて誰にも分からない。衣装に関する完全な情報など残っていないし、当時と同じ素材も現代には無い。だから、リサーチを重ねた後に、キャラクターや、俳優、シーンや、映画全体、語るべき物語に合わせて私たちのバージョンを創り上げた」


アンとメアリー

 アンとメアリーの違いをどう表現するか、これが衣装作りの大きな鍵となった。パウエルが言うには、「チューダー朝のドレスには、それほど多くの種類の形やシルエットの違いはない。娘たちは家でも、宮廷でも、同じ環境で同じような生活をみんな送っていた。だから、色合いを変えることで、差別化を図ったわ。メアリーはアンに比べて柔らかく、ロマンチックで、一方アンはメアリーより力強く。赤と青みたいな分り易い違いではなく、色調の違う衣装を用意したの」。
 パウエルは、衣装に当時の世相も微妙に反映させている。「例えば、父のトーマス・ブーリンの衣装は次第に豪華になり、最後には悪趣味なほど品のない豪華さを極めていく。現代でも成り上がりの新興階級の人は、富を得れば得るほど、それを見せびらかしたいと思うのと同じね」。
 「衣装にはいつも助けられているわ」と語るのはヨハンソン。「それは、歴史物に限ったことではないの。衣裳を着けると、どんな振る舞いをするのか、どんな気分になるか自然に分かるのよ。メアリーの衣装は、彼女の性格の変化に合わせて変わっていく。田舎では、動きやすい綿のドレス、映画の後半では母親らしい格好になっていく。子供を膝にのせながら、宮廷の大きくて豪華なドレスを身につけることは出来ないでしょう。キャラクターの変化を衣装でも感じることができるのよ。」


ロケ地について

 ブーリン家の田舎の邸宅として使用されたのは、ウィルトシャー州のグレート・チャルフィールド・マナーの邸宅と庭。メアリーとウィリアム・ケアリーの婚礼と、ヘンリー8世がアンとジョージと一緒に狩りに出かける、2つ重要なシーンで登場する。

 南コッツウォルズのレイコック修道院は、ホワイトホール宮殿の庭、回廊として、さらにキャサリン王妃が初めてブーリン姉妹と対面し、アンがヘンリーに後継ぎが欲しいことを思い出させるように仕掛ける部屋のロケで使用された。この修道院は13世紀にソールズベリー伯爵夫人によって建てられ、常に15人から25人の修道女たちが暮らしていた。地元の村は、修道女たちが配給する食べ物や金銭によって恩恵を受け、土地を耕す村人の大部分が修道院から土地を借り、穀物や、動物の皮、羊毛などを納めていた。ヘンリー8世がローマ教会と分裂すると、レイコック修道院は、その他の宗教建築物と同様に裕福な地主に売却され、16世紀から同じ一家が所有し続けている。

 ロンドンのスミスフィールドにあるセント・バーソロミュー教会は、キャサリン王妃の裁判とアン・ブーリンとヘンリー8世の暗澹とした結婚式の2つのシーンで使用された。この一角は、最近バーやレストランが増え、人気のスポットとなっている。セント・バーソロミュー病院とスミスフィールド・マーケットに隣接したこの教会は1123年、ウィリアム征服王の息子ヘンリー1世の統治時代に建設され、今でも英国国教会として利用されている。1666年のロンドン大火や、第一次、第二次世界大戦下の爆撃を逃れた建築物である。

 実際はロンドン塔で行われたアンとジョージの処刑のシーンは、ドーバー城で撮影された。イギリス南東部、英仏海峡を見下ろす崖に聳え立つドーバー城は、ローマ時代から要塞の役割を果たしていた。ヘンリー8世はキャサリン・オブ・アラゴンと離婚し、スペイン、フランスとの平和条約を解消した際に、沿岸の砲兵装備を強化し、国家防衛に力を注ぐように命令。1539年には、要塞の防衛強化の進捗を確かめるため、自ら城を訪れている。

 イギリス南東部のケント州にある重厚な邸宅ノール邸は、365の部屋があることから"カレンダー・ハウス"として知られている。カンタベリー大主教からヘンリー8世が受け継ぎ、狩りの別荘として使用していた。映画の中では、ホワイトホール宮殿の外観のシーンで使用され、屋根の部分は、メアリーが宮廷から田舎のウィリアム・スタフォードの元へ逃げ出す際の、夜のロンドンの尖塔として使われている。

 メアリーが馬に乗って旅するシーンは、ダービシャーに広がる英国の最初で最大の国立公園ピーク・ディストリクトで撮影された。メアリーがウィリアム・スタフォードや子供たちと幸せに暮らすシーンでは、ノース・リーズ・ホールの外観を見ることが出来る。ここは、シャーロット・ブロンテの「ジェーン・エア」で登場するソーンフィールド館のモデルになった家としても有名だ。

 ピーク・ディストリクト内のハドン・ホールの部屋は、ブーリン家の内観に使用されている。ハドン・ホールはイギリスで最も美しいチューダー朝の邸宅の一つであり、「現存する中で最も完璧な中世の邸宅」と称されている。
 ペンスハースト・プレイスは同じくケント州に位置し、ホワイトホール宮殿の庭や 大広間のシーンで使用された。このマナーハウスは、14世紀の国内建築の例として、現存する中では最も完璧な邸宅である。ヘンリーの息子エドワード6世が1552年にウィリアム・シドニー卿に譲渡し、以後この一家が所有している。


ヘンリー8世と6人の妻

 ヘンリー・チューダーは、1491年、イングランド王ヘンリー7世の第二子として誕生した。1501年、兄のアーサーの急死に伴い皇太子となり、父の死により1509年にヘンリー8世として即位した。その2ヶ月後、未だ喪中の兄の妻であり、寡婦となったキャサリン・オブ・アラゴンと結婚した。キャサリンとの間には、一人娘メアリー1世しか成長しなかった。
 その後アン・ブーリンと恋に落ち、妊娠したアンと再婚。しかし産まれたのはまたもや女の子エリザベスだった。3年後、アンは国王暗殺と不義密通の反逆罪に問われ、処刑される。その翌日、ヘンリーはジェーン・シーモアと結婚。彼女は待望の男の子、後のエドワード6世を出産するが、出産後に死亡する。
 ヘンリーは、次にハンス・ホルバインの描いたアン・オブ・クレーブの肖像画に魅了され、結婚を決める。しかし実際の彼女は美しくなく、結婚はすぐに解消された。その後、アンの叔父でもあったノーフォーク公爵の姪であるキャサリン・ハワードが次なる妻となるが、2年で反逆罪で処刑される。6番目であり、最後の妻となったキャサリン・パーは、1547年に56歳のヘンリーと死別した。
 ヘンリーの死後、9歳のエドワード6世が王位を継ぐが、その統治は6年間しか続かず、エドワードの死によって幕を閉じる。エドワードの死後、もともと継承順位が低かったレディ・ジェーン・グレイが王位を継承するが、9日後にキャサリン・オブ・アラゴンの娘メアリー1世が即位を宣言。メアリー1世はプロテスタント信者を次々と処刑し、"血まみれのメアリー"と呼ばれた。メアリーの死後、アン・ブーリンの娘エリザベスが王位に就き、"ゴールデンエイジ"と呼ばれる有名な黄金時代を築き上げた。
 ヘンリーはイングランド王室史上最高のインテリであるとされ、ラテン語、スペイン語、フランス語を理解し、舞踏、馬上槍試合などスポーツにおいても優れた才能を発揮した。若くて勢いのあった彼は、フランスに侵攻し、フロドンの戦いでスコットランドを破り、教皇から"信仰の擁護者"の称号を授かるほどの熱心なカトリック信者であった。
 しかし男子の後継者に固執するあまり、キャサリン王妃との離婚および、アン・ブーリンとの再婚を巡り教皇と対立。1534年、国王史上法を発布。自らをイギリス国教会の長とすると共に、ローマ・カトリック教会から訣別。ヨーロッパのキリスト教世界を一変させ、ローマ教会の絶対権力を破壊することとなった。

10月25日(土)シャンテ シネ他全国TOHOシネマズ系にてロードショー!