ICHI
2008/日本/ワーナー
出演:綾瀬はるか 中村獅童 窪塚洋介 柄本明 竹内力 利重剛 佐田真由美 島綾佑 杉本哲太 横山めぐみ 渡辺えり 大沢たかお
監督:曽利文彦
http://wwws.warnerbros.co.jp/ichi/
その女、座頭市。
INTRODUCTION
愛が見えたら、きっと泣く。
何よりも強く、誰よりも孤独──彼女の名は、市
いつからだろう、たった一人で歩き始めたのは──。いつまでだろう、愛を知らずに生きるのは──。今日も町から町へとさすらう「離れ瞽女(ルビ:ごぜ)」、市(ルビ:いち)。集団で旅をしながら三味線と唄で暮らしを立てる盲目の女たちを瞽女と呼ぶが、彼女たちには戒律がある。男と関係を持った者は、一座を追われて「離れ瞽女」となるのだ。たとえ市のように、乱暴された場合でも……。今の市の身を守るのは、自らの剣。ひとたび仕込み杖に隠されたそれを抜けば、屈強な男たちを鮮やかに素早く、完璧に斬り捨てる最強の女に変わるのだ。
気がつけば、誰かに愛されたこともなく、何かを愛したこともない。そんな彼女の固く閉ざした心の扉を叩くのは、侍なのに刀を抜けない男、藤平十馬(ルビ:とうま)。旅の途中で偶然出会った2人は、男たちの命を賭けた闘いに巻き込まれていく。激しく反発しながらも惹かれ合う、孤独な2つの魂。市がなぜ人を斬るのか、十馬がなぜ人を斬れないのか──やがて明かされるそれぞれの過去の秘密。初めて市にも愛とは何かが見えかけた時、過酷な運命が2人に襲いかかる。
市にはわかっていた──愛が見えたら、きっと泣く。涙よ、力をくれ。最後の闘いのために──。
“座頭市”が、女になって生まれ変わる
日本を代表する傑作時代劇「座頭市」。盲目の逆手居合い斬りの達人を勝新太郎が演じて、熱狂的な人気を集めたTVシリーズや映画は、現在でも世界各国で放映されている。まさに日本が世界に誇るダークヒーローだ。近年では、海外でも高く評価された北野武監督・主演の『座頭市』も話題を集めた。
強烈な個性を放つ2人の座頭市に続く3代目は、なんと女。それも、2008年には映画『僕の彼女はサイボーグ』、『ザ・マジック・アワー』などの話題作に立て続けに出演し、ドラマ、CMでも活躍、時代の顔となった綾瀬はるかだ。透明感のある美しさが魅力的な彼女が優しい笑顔を封印、他人に背を向けて生きる市になりきった。
しかし、今回の座頭市の最大の見どころは、強さだけではない。座頭市を女性にすることによって、従来の作品では描かれていなかった主人公の内面に、初めて焦点をあてたのだ。悲しみと絶望を抱えて投げやりに生きてきた市が、愛に目覚め、本当の強さとは何かを知っていく過程を描くことで、殺伐とした現代を生きる私たちが共感できる、新たなる座頭市が生まれた。
正統派にして革命的、新たなる時代劇の誕生!
監督は、ハリウッドの超大作『タイタニック』のCGから、CGアニメ映画『ベクシル』や実写映画『ピンポン』の監督まで、国境もジャンルも自由自在に飛び越えて活躍する曽利文彦。映画の伝統と新しい挑戦の双方を愛する才能が、正統派にして革命的な時代劇を生み出した。
脚本には、現代の女性たちが自己投影できる市を描き出すために、大ヒットドラマ「ラスト・フレンズ」、映画『NANA』そして時代劇ドラマ「大奥」を手がけた浅野妙子が起用された。
市と運命的な出逢いを果たす男、藤平十馬を演じるのは、『Life 天国で君に逢えたら』の大沢たかお。また、『ピンポン』のはじけた演技で観客を虜にした窪塚洋介と中村獅童が、敬愛する曽利監督のもとに再び重要な役どころで集結した。その他、柄本明、竹内力、利重剛、佐田真由美、杉本哲太など、存在感の強い演技派俳優たちが脇を固めた。
アカデミー賞受賞作品『グラディエーター』や『ヒート』を手がけたハリウッドの一流音楽家リサ・ジェラルドが、初めて日本の時代劇の音楽を担当。「市の気持ちが、よくわかる」と語る彼女の情感溢れる音楽が胸を打つ。さらに韓国のSunMin(ソンミン)が、ラストの主題歌を担当。彼女が主題歌を歌った『日本沈没』のプロモーションビデオを制作した曽利監督の熱望で実現した。
STORY
一人で旅を続ける女がいる。彼女の名は、市(綾瀬はるか)(ルビ:いち)、三味線を弾きながら唄う盲目の旅芸人、瞽女だ。人と関わりたくない市は、自分と同じ盲目の女が、男たちに脅されていても素知らぬ顔。彼らが今度は市に手をかけようとした時、一人の侍が止めに入るが、なぜか刀を抜くことが出来ない。その瞬間、仕込み杖から抜いた市の剣が、男たちを容赦なく斬り捨てる。
侍の名は、藤平十馬(大沢たかお)(ルビ:とうま)。とある宿場町にたどり着いた十馬は、賭場でひと儲けした帰り道に5人の男たちに囲まれる。そこでもやはり刀を抜けず、一瞬でカタをつけたのは、またしても市だった。
市に斬られた男たちは、町はずれの山に根城を構えて町を荒らす万鬼(中村獅童)(ルビ:ばんき)の手下だった。町を仕切る白河組の2代目虎次(窪塚洋介)(ルビ:とらじ)は、彼らを倒したのは十馬だと思い込み、彼を用心棒に雇う。
万鬼はかつて幕府指南役に推挙されるほどの侍だったが、顔に酷い火傷を負って失脚し、無法者と成り果てる。万鬼は殺された手下たちの傷跡を見て、かつて闘った、居合い斬りの名手の技だと気付く。
町の不穏な空気の中で、十馬と市は反発しながらも惹かれあう。悲しみが滲む市の唄声に心を揺さぶられる十馬。市もまた、偶然触れた十馬の手の温かさに心を乱される。ある日、市の心を開きたいと願う十馬は、自分が刀を抜けない理由を打ち明ける。
遂に、万鬼党が町を襲撃する。十馬を連れ去ろうとする奴らの前に、立ちはだかる市。屈強な男たちを次々と斬り、自分が何者かをあかす市。実は逆手居合い斬りの男を捜している市は、彼を知る万鬼と対決するつもりなのだ。
連れ去られた市を助けるため、力を振り絞って立ち上がる十馬。果たして、2人の運命は──?
2008年10月25日(土) サロンパス ルーブル丸の内 他全国ロードショー
『ICHI』曽利文彦監督に学ぶ映画製作 (フィルムロジック)
9月30日(火)、秋葉原のデジタルハリウッド大学にて、『ICHI』の曽利文彦監督が講師として招かれ、映像作家を目指す学生達の前で1時間の講義を行った。