ゾンビ・ストリッパーズ
Zombie Strippers!
2008/アメリカ/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/94分
出演:ジェナ・ジェイムソン ロバート・イングランド シャムロン・ムーア ジョーイ・メディナ ティト・オーティズ
監督:ジェイ・リー
http://www.zombiestrippers.jp/
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全米マスコミがシビれた、
予想以上のオモシロさ!
そう遠くない未来。第4期目に突入したブッシュ政権は各国で継続する戦闘活動によって慢性的な兵力不足に陥っていた。状況を打開するため、米軍とW産業は死人を甦らせる伝染力の強い極めて危険なウイルスを共同開発。ところが、そのウイルスは研究所で蔓延してしまい、次々と感染者が増殖し手の施しようが無い状況になり、掃討作戦で乗り込んだ兵士も感染。抹殺を恐れた兵士が逃げ込んだ先は・・・・なんと場末の違法ストリップ・クラブだった!人気No.1ストリッパーの感染をきっかけにクラブの様子は一変!連日、ゾンビ・ストリッパーズの大胆なポールダンスに釘付けになる男達でクラブは大盛況。卑しい館主はステージ後の惨劇をひた隠し荒稼ぎしていたが、やがてゾンビ化した男達が急増し場末のクラブは“ゾンビ・クラブ”と化す!ゾンビ+ストリッパー、衝撃の融合で贈るファン感涙の傑作!
PRODUCTION NOTES
新世代のゾンビ映画
『ゾンビ』シリーズやその系統のゾンビ映画とは違い、本作『ゾンビ・ストリッパーズ』は、イギリスのホラー・コメディ『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04/未)風のユーモアを追求している。そしておなじみのジャンルを押し広げ、切り裂き、はらわたを取り出し喰いちぎる。
『ゾンビ・ストリッパーズ』の基本構想は、“雑談中の冗談から生まれた”と製作者のアンジェラ・リーは言う。「最も商業的な映画はどんな作品だろうって冗談半分で話していたときに、誰かが言った“ゾンビ・ストリッパー”という言葉にみんな大笑いしたんです。案の定、数日後にはジェイが、“映画にできると思う”って言い出したんです」。
本作品の監督、脚本を務めるアンジェラの兄ジェイ・リーは、そのときの雑談について、「2年ほど前はホラー映画市場が非常にオープンだった。僕らは超低予算のホラー映画を1週間で撮ったよ。臆面もなくウケ狙いの映画をね。それでも少なくともゾンビ・ストリッパーよりはましだろうって大笑いしたんだ。そのときピンと来て、“ゾンビ・ストリッパーの映画を作ろうじゃないか”ってことになったんだ」と言う。
2人は以前にも低予算インディーズ作品『スローター/死霊の生贄』(06/未)を共に製作している。しかし、その処女作よりも今回のストーリーには大きな可能性がある、とジェイは考えた。「今まで僕らが作ってきた恥ずかしいほど市場向きの映画のときよりも、今回はゾンビ・ストリッパーというコンセプトの裏に隠された意味を持たせられる可能性があったんだ」。
脚本作りは2006年の夏に始まった。2人はまず、アダルト・エンタテインメントのパワープレイヤー、ジェナ・ジェイムソンにアプローチした。このプロジェクトがジェナの心をとらえたときのことをアンジェラはこう語る。「ジェイと彼女が会って話したところ、政治観が一致したことで彼女がこの作品にすごく乗り気になってくれたんです」。また、ジェナは「ただのストリッパー映画じゃなかったから出たいと思ったの。メッセージ性があると同時に、私の才能を見てもらえた作品だったわ」と語り、さらに、「何よりも、脚本に込められた政治的な部分に惹かれたわ。今の時代は、誰もが何らかの形で政治に関わっていると思うの。それにこんなに軽くて楽しい脚本なのにメッセージ性があるところが気に入ったわね」と語っている。
キャット役の次に必要としたのは、世界中の何百万ものファンによく知られ、かつホラージャンルにこの作品をしっかり固定してくれるホラー映画のスターだった。必然的に、名作『エルム街の悪夢』(84)のあのフレディ・クルーガー役で知られる、現代ホラー映画の伝説的存在ロバート・イングランドが、ストリップ・クラブのオーナーのイアンという重要な役を演じることになった。
アンジェラは、イアン役にイングランドを射止めたときの興奮についてこう語る。「ロバート・イングランドと契約できたときは有頂天になりました。ホラー映画のイコンとアダルト映画のイコンが揃ったんですから」。イングランドも、「脚本を読んですごく気に入った。この映画はとにかく笑えるよ。矢継ぎ早に繰り出される面白い台詞や、素晴らしいユーモアがふんだんにあるんだ」と語った。
痛烈なメッセージを持った映画
監督、脚本を務めるジェイ・リーは、現在の政治的および社会的環境なら、風変わりで誇張した現実感を持ったジャンル映画が受け入れられると考えた。そこで彼は、ある往年の舞台劇の要素を取り入れて、不条理ホラースリラー・コメディ映画を作った。「この映画は、暴力的な社会体制を盲目的に受け入れることを描いている。元になっているのは、劇作家イオネスコの舞台劇「犀」(サイ)だ。これは1930年代のナチス政権の台頭と、その暴力的な政権が権力を握りつつあることに人々が目をつぶっていることに対する、イオネスコのコメンタリーと言える作品だった。我々の時代の社会的、政治的環境においても暴力的なことがたくさん起きている。そして多くの人々がそれに目をつぶっている」と、監督は言う。
「イアンをはじめ、登場人物の多くが舞台劇の歴史を元にしたジョークになっているんだ」と、ロバート・イングランド。「たとえばジュネという科学者が登場する。一言で言えば、彼はフランスの有名な不条理喜劇の監督、脚本だ。すごく不条理で奇妙で過激だ。こういう隠れたジョークを見つけるのは楽しい。『ゾンビ・ストリッパーズ』にはそれがふんだんにあるんだ」。
この風刺的作品のアクションの大半を担うのが、Z部隊の兵士達とストリッパー達である。ジェイが次のように説明する。「軍は死体を甦らせるウイルスを開発した。殺された兵士が死んだ後も戦えるようにね。ところがウイルスが研究所の中で漏れ出てしまい、ゾンビの脅威を取り除くために極秘部隊が送り込まれる。そのうちの1人が咬まれ、研究所から脱出し、ネブラスカ州の小さな町の違法ストリップ・クラブに隠れる。そしてそこのスター・ストリッパーがウイルスに感染し、ゾンビ化したことで一段とすごいストリッパーになるんだ」。
最初に咬まれるストリッパーが、ジェナ・ジェイムソン演じるキャットである。彼女がゾンビに“昇格”することで、店で働く女性たちの関係が複雑になり2つのグループに分かれてしまう。ジェイは言う「ゾンビになる必要があってスター・ストリッパーにつく者。そしてその必要がなく抵抗する者。でも彼女らも明らかに勝ち目がなくなりゾンビにならざるを得なくなる」。この長い物には巻かれろ、という考えがプロットをさらなる方向へと導く。「ストリッパーたちがどんどんゾンビ化するにしたがい、彼女たちは客を喰い始める。そしてゾンビ化した客達は、地下室の檻に押し込まれるんだ」。
撮影は閉鎖されたあの病院
『ゾンビ・ストリッパーズ』は、かつてリンダ・ヴィスタ病院として知られていたイーストロサンゼルスのボイルハイツにある堂々とした多層の建物で18日間かけて撮影された。ネット上のフリー百科事典ウィキペディアによると、1938年に建てられたこの病院は、サンタフェ鉄道会社の従業員のための保健施設であったようだ。ハワード・ヒューズも静養のためにしばしば利用し、滞在中はワンフロアをまるごと使っていたという。90年に病院が閉鎖されてからは、『アウトブレイク』(95)、『エンド・オブ・デイズ』(99)、『パール・ハーバー』(01)などの映画やTVシリーズ『ER 緊急救命室』の撮影に使用されてきた。
幽霊のように白く陰鬱な建物が、この作品になんとなく薄気味悪い雰囲気を添えている。病院の内部には、廊下や階段が迷路のように入り組んでいる。手術室は未だ明らかに手術室とわかり、低層階の薄暗い事務室には古い金属製のファイルキャビネットが並んでいる。そしてその中にはかつての患者たちのカルテがまだ入ったままだ。それほど多くのカルテが打ち捨てられている様子は、霊がその場に存在していることを示唆しているようである。事実、この古い病院には幽霊が出る、という噂がずっと以前からあった。
病院の中では、ウイルスが作られる研究所でのアクションシーンや、ストリップ・クラブ“ライノ”のステージ上で繰り広げられるシーンが撮影された。その他のシーンでは、これといった特徴のない部屋が煙霧機やペンキや小道具、そして特殊効果によって、監督ジェイ・リーが必要とする撮影場所に変身した。限られた時間の中、スタッフは作品に必要な雰囲気を手早く作り上げていった。ゾンビ化したクラブの客達がトラブルを起こすのを防ぐために、彼らを閉じ込めた地下の檻もその一つ。ことわざにもある通り、一度咬まれた者は用心深くなるのである。
この建物は06年に歴史的建造物としてナショナル・レジスター・オブ・ヒストリック・プレイシスに登録された。
女優としてもしなやかな
アダルト界の女王
製作者のアンジェラ・リーは、主演のジェナ・ジェイムソンについてこう語る。「まだ傷つきやすい年頃に業界に入り、(性の)対象として見られてきた彼女は、逆にそれをひとつのビジネスとして主導権を握ったんです」 。
ジェナが抗しがたい魅力を持っていることは、彼女のファンの多さが証明している。また、彼女がビジネスに関して鋭い洞察力を持っていることも証明されてきた。しかし、これまで彼女の少なからぬ才能に触れていなかった映画ファンは、アダルト界のスーパースターが本作で実存主義的パロディ・クイーン、キャットを見事に演じる姿を見て驚くことであろう。
今回彼女は、アダルト界での成功を可能にした技に加え、見事なコメディセンスも披露。コミカルな状況のシーンや台詞を、真っ黒なコンタクトレンズをはめ、血まみれになり、特殊メイクアップを施された姿で、完璧にこなしている。アンジェラは“素晴らしい女優であり楽しい仕事相手”とジェナを評している。
ジェナがキャットを演じるシーンの一つについて、アンジェラはこう話す。「脚本には、“そして彼女の飢餓感が高まる”と書いてありました。ジェナがそのシーンを演じるのを見ていたのですが、彼女は指示されたことを一つ残らずピタッとキメていました。見事でした。私も含め部屋にいた全員が、ただただ唖然として見てました。彼女はすごくセクシーで本当に素晴らしかった」。
ジェイ・リーも、ジェナを称賛する。「彼女はカメラの前でとても自然で、ものすごい存在感がある。台詞に関してもすごく自然なんだ。ジェナ・ジェイムソンは何をやってもうまい人だ」。
クラブ・アナウンサーのコール役で出演もした、共同製作のカルヴァン・グリーンは、ジェナについてこう言う。「ジェナのファンたちは、彼女が次にどんなことをするのか、かなり前から楽しみにしていたと思う。彼女はとても魅力的な女性で、多くの人の想像力をかきたてる。皆、そろそろ今までとは違うものを見たいと思っていたんじゃないかな。この作品はそういったファンたちの心に訴えると思うよ。また、新たに彼女のファンになる人たちもいると思う」。
衣装デザイナーのキャノンは、ジェナのこれまでの作品のファンだと言う。「僕がこの仕事をやったのは、ひとえにジェナとストリッパーたちが出ているからだね。楽しい仕事だったよ。どのキャラクターもそれぞれに風変わりで気まぐれでセクシーで、クレイジーで生意気でロックスターだった。一人残らずね。キャラクターたちに負けず劣らずのクレイジーさだったよ」。
作品の題材に対するジェナの気安さは第二の天性とも言えるかもしれない。彼女はホラー映画が大好きだと言う。「私を知っている人なら誰でも、私がインタビューでは必ず、ホラー映画の大ファンだって言ってることを知っているわ」。
人気ストリッパー“キャット”
「キャットは嫌な女だから、現実の私とそうかけ離れていなかったわ」とジェナ・ジェイムソンは笑う。「この役を演じるのはそれほど苦労しなかったのよ。すごく楽しい役だった。ストリップの経験はたくさん積んでいるから自分の過去にさかのぼって、舞台裏での陰険さや意地の悪さを思い出しながら演じたわ。面白いのは、今回私が死人だっていうことね」。「キャットはニーチェの愛読者で、ただのストリッパーで終わるつもりはないの。もっと奥行きのある、他人から尊重される人間になりたいと思っているのよ。そして彼女は死んだことで哲学に対する理解を深める。自分が死んでゾンビになったらどうなるだろうってね、皆が考えるものにちょっと捻りを加えたものなの」。
キャットがポールダンスをするシーンの撮影で、スタッフを驚かせたのはジェナのみごとなタップダンスだった。「実は私、ダンサーのトレーニングをずっと受けていたの。私の生い立ちや、私の著書“How to Make Love Like a porn Star”を読んだことがある人なら知っていると思うけど、私は小さい頃からショーガールになりたいと思っていたから、15年以上もバレエ、タップ、ジャズなどのダンス・トレーニングを受けていたのよ。今回、その経験を生かすことができて嬉しかったわ」とジェナ。
しかし、豊富なダンス・トレーニングや舞台経験を持ってしても、キャットからゾンビへと変わるための準備は十分ではなかった。キャラクターたちが最初に咬まれてから完全にゾンビ化するまでの過程を作ったのは、特殊メイクアップのパトリック・マギーだ。そして、ジェナは、他のゾンビ役の役者達と共に、長時間のやっかいなプロセスに耐えなければならなかった。
ジェナのメイクにはおよそ4時間半かかり、役者によってはそれ以上かかる場合もあった。ゾンビになるまでには、3つの段階を経なければならず。第1段階は、咬まれた傷を作る。第2段階は真っ黒なコンタクトレンズをつけ、血の色を濃い赤にする。そして第3段階は、腐敗した効果を含め身体や顔をさらに変えてゆく。特殊効果のために、頭部の型がとられたり、アニマトロニックのダミーを作るために身体の型をとられたり、さらには、全身メイクアップに耐えなければならない役者達もいた。しかし、ジェナをはじめ全員が、文句ひとつ言わずに応じたという。
ホラー界を牽引する男
ロバート・イングランドは、自分の名前と切っても切れない関係になっているジャンルに対し、そして世界中どこの国に行っても自分のファンがいるという事実に感謝している。「1980年代半ばになってようやく、アクション映画同様、ホラー映画にも世界中にファンがいるということに気づいた。ニューラインシネマのためにPRをするよう命じられたことがうれしくてね。ローマでの映画祭にも出席したし、僕を真面目に受け止めてくれるファンがいたよ」とイングランド。
その努力の甲斐があって、イングランドはヨーロッパで9作品に出演している。彼自身の概算によると、これまで出演した75本あまりの映画のうち、12本はホラー映画だという。それに加え、テレビでは4本のシリーズ番組での主演やゲスト出演をはじめ、さまざまなテレビ番組に出演してきた。03年に出演した『フレディVSジェイソン』により、ホラージャンルに対する興味を再びかきたてられたという。また、この作品でロバート・イングランドの名前が広く知られることになった。イングランドは「あれ以来、ベッドの上に脚本の山ができてるよ。ほとんどは、若い監督とプロデューサーチームによる低予算作品だけどね。2005年以降、たくさんの低予算ホラーに出演してきたけどすごく楽しいよ」と語る。
これらの経験は、70年代の映画作りを思いださせるという。当時、ホラー映画はほとんど独立系の作品だった。イングランドはこうは語る「新しいレベルのホラーを作っている若者たちと一緒に仕事をすることで、生き返った気がするよ」。