コッポラの胡蝶の夢
Youth Without Youth
2007/アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・ルーマニア/CKエンタテインメント/124分
出演:ティム・ロス アレクサンドラ・マリア・ララ ブルーノ・ガンツ
監督:フランシス・F・コッポラ
http://www.kochou-movie.jp/
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10年の沈黙を経て、巨匠フランシス・F・コッポラから届いた挑戦状
眠れる映画界の巨匠の創作意欲を目覚めさせたのは、現代ルーマニア文学の巨匠が残した一編の幻想奇譚だった――。
『ゴッドファーザー』3部作、『地獄の黙示録』と映画界に偉大な功績を残しながら、長年、映画の撮影現場から離れていたフランシス・フォード・コッポラ。当時、66歳にして欲求不満だったという彼は、ミルチャ・エリアーデが円熟期に著した「若さなき若さ(Youth Without Youth)」に出会い共感、すぐさま映画化を決意する。それが『レインメーカー』以来、10年ぶりとなる監督・脚本作『コッポラの胡蝶(こちょう)の夢』だ。人生の最終章に再生する魂を得た一人の男ドミニクの数奇な運命を通じて、観る者を摩訶不思議な世界へと誘う。
人生の最終章に再生する魂を得た一人の男が、ヨーロッパを旅する幻想奇譚
物語の始まりは第二次世界大戦が近づくルーマニア。言語学者ドミニクは、人生の折り返し地点をとうに過ぎながらも、自身の研究を全う出来ないことに焦りを感じていた。頭に浮かぶのは、かつて愛した女性ラウラのことばかり。孤独な死を待つだけの日々に耐え切れず、自殺を決意した復活祭の夜、彼に落雷が直撃する。やがて奇跡的に一命をとりとめた彼の肉体と頭脳は驚異的に若返り、さらに超常的な知的能力を発揮。その謎をめぐって時代の黒い影が忍び寄る中、彼はラウラに生き写しの女性ヴェロニカに出会う……。
主演は、俳優を夢見る10代の頃からコッポラ監督との仕事を熱望していたという実力派ティム・ロス。26歳から101歳までのドミニクを、知性と孤独を湛えて熱演する。ドミニクの愛を一身に受けるヒロインに抜擢されたのは、ルーマニア出身のアレクサンドラ・マリア・ララ。『ヒトラー 〜最期の12日間〜』に続き『コントロール』でも強い印象を残し、2007年のヴァラエティ誌では「今年注目の欧州系俳優10人」にも選ばれたスター候補生だ。そのマリア・ララと『ヒトラー 〜最期の12日間〜』で共演したブルーノ・ガンツが脇を固めるほか、日本でも人気の高いマット・デイモンがカメオ出演している点も見逃せない。
巨匠コッポラのもとに集まった、国際色豊かな精鋭たち
パーソナルな映画づくりの原点に戻るべく、ハリウッドから遠く離れたルーマニアで84日間にわたって撮影された今作。コッポラは当地の才能を多く起用しているが、中でも撮影のミハイ・マライメアJr.は期待に見事に応え、第23回インディペンデント・スピリット賞の撮影賞にノミネートされた。その他、音楽に『耳に残るは君の歌声』のオスバルド・ゴリホフ、ヘアメイクに『アイム・ノット・ゼア』、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ソード・キングなど、国際色豊かなスタッフが顔を揃えている。
8月30日より(渋谷Q-AXシネマ改め)渋谷シアターTSUTAYAにて公開